古くなった実家のリフォームや遺品の整理をしていると、必ずと言っていいほど出てくるのが「古い遺影写真」です。
あなたや家族が分かる人の写真であれば「仏壇と一緒に引き取る」という選択肢も出てくるはずですが、あまりにも古い遺影写真の場合は悩みますよね?
「処分したい気持ちはあっても何か祟りのようなものがあったら怖い…」というのもよくきく話です。
ではこのような古い遺影写真をどうしても処分したいときには、どんな方法があるのでしょうか?
遺影写真を処分したい時はどうすれば良いの!?
一言で言うと「遺影写真が必要な時期を過ぎたら処分しても構わない」です。
遺影写真はお葬式で必要になります。
最近ではあらかじめ遺影写真を自分で準備しておくという人も増えてきていますが、それはあくまでも一部の人に限られています。
一般的にはお葬式のために手元にある写真の中から一番良いと思われるものを選び、それを遺影写真として加工したものをお葬式で使います。
ただ遺影写真はお葬式以外でも使います。
お葬式が終わった後に行われる追善供養(法事)では、位牌と写真はセットで必要になります。
また初盆や三回忌までの法事は遺族・親族は参加するのがマナーです。
この時にも位牌と写真は必要になります。
ただし三回忌以降の年忌法要については徐々に規模を小さくするというのが一般的なので、参加する人も家族単位となります。
つまりお葬式のために作った遺影写真は、最低でも三回忌を過ぎるまでは保管する必要があるというわけです。
でもこれを言い換えると「三回忌を過ぎれば処分しても問題はない」ということになります。
もちろん家族の遺影写真であれば三回忌を過ぎた後も何らかの方法で保管している人が多いですが、古い遺影写真となるとさすがにどうすればよいのかわからないという人の方が多いはずです。
遺影写真の正しい保管の仕方とは?
遺影写真は仏壇がある部屋に飾るのが一般的です。
仏壇は床の間に置くことが慣習としてあるので古い家などの場合は床の間に立派な仏壇が置かれ、その壁に亡くなった順に先祖の遺影写真が飾られています。
ただ最近は持ち家であっても床の間を作らない人も増えています。
また賃貸住宅に住んでいるという人の場合は、部屋の間取りの関係で床の間がないこともよくあります。
さらに「床の間に遺影写真を飾る慣習がない」という地域もあります。
このような場合の保管方法には2つの方法があります。
仏壇がある場合は、お葬式で使った写真を仏壇に収められるような小さなサイズにプリントしなおしてもらいます。
こうして仏壇に飾っておけば、大きな遺影写真は必要がなくなります。
ですから写真額から遺影写真を取り出し、写真額は燃える部分は燃やせるゴミ・燃えない部分は燃やせないゴミとして処分します。
写真は燃やすことが出来ますので、特に気にならなければそのまま燃やすごみとして処分します。
もう1つは風呂敷などに包んで保管する方法です。
三回忌までは様々な法事で遺影写真が必要になります。
でもそれまでの間の保管場所に困るようであれば、遺影写真を風呂敷に包み傷がつかない場所(戸袋や押し入れでも構いません)に保管します。
遺影写真は「○○に保管しなければいけない」ということもありませんし、必ずしも飾らなければいけないということもありません。
ただ粗末にすることはよくないとされています。
ですから傷がつかないように風呂敷などに包んで保管するのであれば問題ありません。
・家族の写真だけど処分したいというのはあり?なし?
葬儀を済ませた遺族からの相談の中には「遺影写真を飾りたくない」という相談もあります。
場所の問題から飾ることが出来ないという人もいますが、どちらかというと「写真を見ると思い出してしまってつらいから飾りたくない」という人の方が多い気がします。
この場合は無理に飾る必要はないです。
お葬式は人が亡くなったなら必ず行わなければいけません。
でもお葬式が終わったからと言って悲しみがすぐに消えていくということではありません。
もちろん四十九日や喪が明けても悲しみが続くことはよくあります。
悲しみは乗り越えることが困難です。
また大切な人の死を心から受け入れるために必要な時間は人によっても違います。
ですから「写真を見ているだけで苦しい気持ちになる」というのであれば、家族の写真であっても無理に飾る必要はありません。
考えてみてください、この世を去ってしまった大切な人があなたの悲しむことを本当に望むでしょうか?
あなたの大切な人が「写真を見るたびにつらくて涙が出てしまう」というあなたの様子をみて、それでもあなたに「私の写真を飾っておきなさい」というでしょうか?
その答えは、今あなたの中に浮かんだ言葉で正しいです。
「私の大切な人はそんな風にはおもわない」というのであれば、あなたがいつか写真を見てもつらくならなくなる時までどこかで保管しておけばよいのです。
「やっぱりそんな人かもしれない」というのであれば、普段は目につかないように仏壇の中に収められる程度の小さなサイズの写真にプリントしなおして飾っておきましょう。
どちらの選択をしたとしても間違っているとはならないのです。
ただし家族や親族にはきちんとあなたの気持ちを話して理解してもらう努力はしてください。
たとえ家族・親族であっても大切な人を想う気持ちはあなたと同じようにあります。
ただし誰もが同じように感じているとは限りません。
でもあなたがつらい気持ちを話しそれを理解してもらうことが出来れば、家族や親族なのですから必ずわかってくれます。
ですからその努力だけはきちんとしておきましょうね。
遺影写真をお焚き上げしてもらうには!?
古い遺影写真を処分する方法として最もポピュラーなのがお寺にお願いしてお焚き上げをしてもらう方法です。
もちろんお焚き上げを依頼するにはお焚き上げ料が必要です。
お寺によっても異なりますが、どのお寺に行っても無料で引き受けてくれるということはありません。
ただ「やっぱりゴミとして処分するのは気持ちがすっきりしない」というのであれば、区切りとしてきちんとお寺さんにご供養していただくのが一番です。
でもお焚き上げといっても長い間仏間に飾られていた古い遺影写真には魂が宿っているといわれています。
ですからまずは遺影写真から魂を抜いてもらうことから始めます。
遺影写真のお焚き上げの流れ
・お焚き上げの依頼をする
お付き合いがあるお寺があるのであれば、まずはそちらに相談するのが良いでしょう。
特にお付き合いがあるお寺がない場合は、自宅近くでお焚き上げをしていただけるお寺に依頼すると良いです。
・遺影写真から魂を抜く
魂が宿ったままお焚き上げをすることはできません。
ですからお坊さんに読経供養をしていただき、遺影写真を依り代としている魂を抜いていただきます。
これはお寺に直接持ち込む方法もありますし、お坊さんに自宅へ来ていただく方法もあります。
・遺影写真を引き取ってもらう
お焚き上げはお寺で行います。
ですから魂を抜いてもらった遺影写真はお寺が引き取ってくれます。
基本的にお焚き上げは日を決めてまとめて行うものなので、当日その場でお焚き上げに立ち会うということはない場合がほとんどです。
遺影写真の処分をお寺以外で引き受けてくれるところはある?
基本的にこうしたことをお願いする場合には、何らかのお金が必要だということは予め理解しておいてください。
そのことを踏まえたうえで「お寺以外で処分を引き受けてくれる場所」というと、お葬式を担当した葬儀社になります。
葬儀社にもいろいろなタイプがあり、このような遺影写真の処分も「葬儀のアフターサービス」として取り組んでいるところもあります。
こうした葬儀社であれば、お寺でお焚き上げをするよりも安い値段で処分を引き受けてくれることもあります。
あとはお葬式の際に棺に入れて処分をするという方法があります。
これは遺影写真に限らず古い写真の処分方法としてもおすすめです。
ただしあまりにも大量の写真となると、火葬場の利用条件に反するとして断られることもあります。
ですからお葬式の際に棺と一緒に処分する場合は、事前に担当葬儀社に相談をしておくと良いですよ。
まとめ
古い遺影写真の処分に困っているのはあなただけではありません。
ただ日本人の死生観の中に「死者の魂は写真に宿る」というものがあります。
そのため人によっては「遺影写真を処分するなんて罰当たりな!」と考える人もいることは理解しておいてください。
でも管理する・処分するのは判断をするのはあくまでもあなたになります。
ですから最終的にはあなた自身が納得できる方法を探すことが大事なポイントだと思いますよ。