お葬式が終わった後の遺品の整理は、なかなか難しいものですよね?
遺品の一つひとつには思い出があります。
でも中には家族であっても「どうして最後まで大事にしていたのかわからない」という遺品もあります。
そんな遺品の中でも一番整理が難しいのが、写真やアルバムではないでしょうか?
写真には大切な思い出が残っていますし、今は見ることが出来ない人の元気な笑顔に出会える貴重なものです。
でも写真に写っているのがあなたの知っている人物だけとは限りません。
古い写真の場合は、家族であるあなたであっても「この人誰?」と思う人がたくさんいるはずです。
かといって処分をするというのもなかなか難しいものです。何よりもそこには人の姿が写っているからで、「もしも処分して何かあったらどうしよう?」という変な心配もしてしまう人も多いです。
そこで今回は遺品整理の中でもなかなか作業がしづらい「写真・アルバムの処分」について紹介してみようと思います。
遺品の写真やアルバムの整理は難しい
遺品の整理は、どれ一つとっても大変です。
物の移動・処分には時間も必要ですし体力も必要です。
それに比べて写真やアルバムの整理は、処分や整理にそれほど体力はいりません。
その代りそこに写っているのが今は会うことが出来ない人の姿や大切な思い出なので、気持ちの整理がつかないのが大きな問題ですよね?
確かに写真やアルバムの整理は心の負担が大きいです。
その理由を3つに分けて説明してみます。
・写真1枚にたくさんの思い出がある
写真には亡くなった家族の姿だけが移っているものではありませんよね?
例えば家族旅行先で撮った写真であれば、旅行で一緒に観光した場所やその時に見えた景色が背景に映っています。
その写真を見るとその時の会話の記憶も一緒に浮かんできます。
しかも写真を撮ったその瞬間の記憶だけでなく、その前後の記憶も浮かんできます。
「この写真を撮る前に、一緒にソフトクリームを食べたなぁ」
「車でたまたま流れていたのは確かお父さんがカラオケでよく歌っていた曲だったっけ」
そんな家族旅行での記憶が、たった1枚の写真を目にするだけで頭に浮かんできます。
それはとても楽しい記憶ではあるのですが、それと同時に二度と味わうことが出来ない体験だということも自覚します。
これが本当は一番辛いのですよね?私も経験したことがあるからよくわかります。
だから写真やアルバムって処分が難しいのです。
・デジタル遺品の存在
スマホや携帯のおかげで写真を撮ることが簡単にできるようになったことで、写真の保存の方法も変わってきました。
そこで今問題になっているのが「デジタル遺品」です。
スマホや携帯に残っている写真データには、意外な写真もたくさんあります。
カメラとは違い手軽にどこでも簡単に写真を撮ることが出来るようになった分、残されたデータにはいろいろな写真が残っています。
ただデジタル写真はデータを処分してしまえば、簡単に処理できます。でも簡単に処分が出来ないのもデジタル写真です。
何しろデジタル写真は、一般的な写真のように手に取ればすぐに見ることが出来るものではありません。
見ようと思わなければ一生その内容を見なくても済みます。
でも見なくてもそこには亡くなった人が大切にしたいと思っていた出来事が写っていることは想像できます。
だってあなたのスマホや携帯電話のデータにある写真も、それに近い想いがあるから保存しているんですよね?
つまりあなたは、そのデータの写真に込められた亡くなった家族の想いがわかるわけです。
だからあなたはやろうと思えば簡単にできるデジタル写真の処分を今もできずにいるのです。
・「処分した後に後悔したら」という想いが必ずある
デジタル写真は、データを消去したとしても復元作業をすればもとに戻すことが出来ることもあります。
でも写真やアルバムは、処分をすれば2度と元に戻ることはありません。
あなたが気持ちを切り替えるために思い切って処分したとしても、気持ちがそのことを本当に受け入れているかどうかはわかりません。
処分した後で「あの時処分せずにとっておけばよかった」と思うこともあります。
でもそのときにはもう遅いのです。すでに写真やアルバムは燃やされ、跡形もなくなっているはずです。
2度とその写真を手に持ってみることはできないのです。
そんなことをやはり考えてしまうと、どうしても写真やアルバムは処分が出来なくなります。
大切な人が亡くなったことだけでもたくさんの後悔をしているのにさらに後悔が増えるかもしれないと考えると、それだけで恐ろしくなります。
だからすぐには処分が出来ず、そのまま手元に残されてしまうのです。
遺品の写真やアルバムはどのタイミングで処分する?
遺品の写真やアルバムの処理は、気持ちの面でなかなか作業が進みません。
それは仕方のないことだと思います。
そこで私は「一気にすべて処分する」ではなく「整理→周囲に相談→少しずつ処分」を繰り返す方法をおすすめしています。
・年忌法要の前までに写真を整理
お葬式の後も親族であれば年忌法要(追善供養)で集まります。
この時が写真やアルバムを整理する良いタイミングです。
遺品の写真やアルバムには、亡くなった本人以外が写っているものもありますよね?
本人の写真であれば家族であるあなたが処分をする・しないを決めればよいのですが、あなたが知らない人が写っている場合はそう簡単に気持ちを切り替えることはできません。
特に古い人物写真の場合は、あなたが生まれる前に亡くなった親族や故人の家族かもしれません。
そんな風に思うと簡単に処分が出来ません。
こんなときには親族に相談するのが一番です。
そもそも「誰が写っているのか?」がはっきりしないから、勝手に処分をしたらダメなのではないかと思うのではありませんか?
それならばそのことをはっきりさせてみれば、気持ちの整理もつくはずです。
そのためにも年忌法要で親族が集まる前に、手元に残された写真を分類するところまでは頑張ってみましょう。
特にあなたが知らない人物が写っている古い写真は、法要で集まる親族に見せることが出来るようにしておくといいですよ。
・周囲に相談する
あなたが処分に困っている古い写真に写る人が誰なのかは、あなた以外の親族が分かることもあります。
もしも写真を見せてその人物が誰なのかが分かったのなら、その親族に処分をどうすればよいか相談してみてください。
相談するときも「私自身は会ったことのない人なので、どんなふうに処分をすればよいか困っています」と言ってみてはいかがですか?
そうするともしかしたら親族の中から「それならば私がいただいてもいいかしら?」と手を上げる人が出てくるかもしれません。
もらいたいという人がいるのであれば、素直に差し上げればよいのです。
でも古い写真の場合、親族に相談しても誰も知らないということもあります。
この場合はあなたが処分したいかどうかが問題になります。
・少しずつ処分する
亡くなった人が写っている写真も、古い写真と同じです。
最初はおおざっぱでいいので「残したい写真」「処分してもいい写真」に分けます。
処分してもいい写真は、思い切ってさっさと処分しましょう。
でも残したい写真の場合は「手元に残したい写真」と「この世に残しておきたい写真」に分けます。
この世に残しておきたい写真は「存在がなくなってしまうこと」が辛いだけなので、手元になかったとしても存在しているのであればあなたは納得できるはずです。
つまりあなた以外の人が持っていても、それはそれで受け入れられるはずなのです。
このような写真は、いつでも手渡せるように見える場所においておくのがおすすめです。
ただ気持ちの整理がつかず手元にまだ残しておきたいと思う写真があるのであれば、それは大事に保管しておいてください。
この作業を繰り返すことによって手元に残す写真の数を少しずつ減らしていきます。
これを何年か繰り返せば、今目の前にある遺品の写真・アルバムもかなり数が減ってきますよ。
遺品を処分する方法は!?
写真やアルバムの処分に法律的な決まりはありません。
写真の場合は燃えるごみと一緒に捨てることもできますし、アルバムも各自治体のごみ処理方法に併せて適切に処分をすればよいのです。
ごみとして処分するときにどこか気持ちが引っかかるというのであれば、写真だけを指定のごみ袋に入れその上から塩を振るだけでも構いません。
塩には「浄める」という効果がありますので、あなたの気持ちも少しは楽になるはずです。
もちろんほかにも方法はあります。
・寺でお焚き上げしてもらう
写真のお焚き上げは、お寺でも引き受けてくれます。
お焚き上げ料がかかるのが一般的ですが、きちんと処分をしてくれるという安心感は代えがたいものがあります。
・デジタル写真として保存した後処分する
写真を2度と見ることが出来ないと思う気持ちがたぶんあなたの中に強くあるのでしょう。
それならば写真をスキャナーでデータ化した後で処分する方法はいかがでしょうか?
データ化した写真の保管はそれほど場所を取りません。
またいつか見たいと思ったときにもパソコンを使ってみることが出来ますので、存在そのものがなくなってしまうことはありません。
写真は処分をしても、そこに写っている人物や風景はいつでも見ることが出来るのですから、あなたの心の負担は随分と楽になるはずです。
それにいつか処分をする時が来ても、デジタルデータを処分すればよいだけですから作業の手間もほとんどいりません。
まとめ
写真やアルバムの処分は難しいです。
いつまでに処分をしなければならないというものではありませんが、もしも処分が出来ないままあなたがこの世を去ったとすれば同じ苦労をあなたは残す子どもたちに押し付けることになります。
ここまで考えることが出来たならば、きっともう少しすればあなたの気持ちも前向きに変わるでしょう。
それまでは今しばらくそのままにしておいたとしても、私は問題がないと思いますよ。