四十九日法要が終わり、初めて迎えるお盆を「初盆」と言います。
初盆は通常の盆供養とは違い、お葬式・四十九日法要と同じくフォーマルな席として遺族・親族が参加します。
ですからここでも喪主としてしっかりと準備をしていく必要があります。
ただ初盆は1回きりのことです。
喪主を何度も体験することはありませんから、誰でも不安になるものです。
でも準備の手順さえわかっていれば心配することはありません。
そこで今回は初盆を迎えるために喪主がすべき準備の手順をポイント別に解説していきます。
初盆に喪主が準備すべき事とは!?
初盆は「初めてのお盆」ということで遺族や親族にとっては特別な意味を持ちます。
ただし初盆を行う時期は一般的なお盆と同じです。
ところが全国どこでもお盆の時期が同じとは限りません。
お盆の時期は3タイプあります。
最もオーソドックスなのが「月遅れ盆」と言って8月13~16日の4日間に行うものです。
でもこれは古くからの慣習とは違い、比較的新しい慣習です。
かつては新暦で行う7月13~16日の4日間が一般的でした。
なぜなら現在のように会社勤めをするのではなく農業や養蚕、林業など一次産業がメインで、ちょうど新暦の7月中旬は仕事の一休みとなり時間的にもゆとりが出来たのです。
そのためこの時代は7月に行うのが一般的でした。
とはいえ高度経済成長期を迎えると、若者たちは次々と地元を離れ都会で会社勤めをするようになります。
夏休みも丁度仕事がひと段落つく8月に集中します。
そのためこれまでのように新暦の7月にお盆を行うと、地元を離れ都会で仕事をしている子供たちが休みを取ることが出来なくなり盆行事に参加できなくなってしまいます。
そこで東京や関東の一部地域及び東北地方を除き、都会に出た子供たちでも参加しやすい月遅れ盆(8月13~16日)で行うようになりました。
それが全国各地に広まり、現在では「盆と言えば8月」といわれるようになりました。
ちなみに新暦でも月遅れ盆でもない「旧盆」でお盆を行う地域もあります。
旧暦は月の満ち欠けなどによって暦を決めるため、毎年盆の時期が変わります。
ですから旧盆で行う地域では毎年日付が異なります。
このように日本のお盆は地域によって行う時期が異なります。
また親族のしきたりによっても行う時期が違います。
ですから喪主として初盆の準備をする第一歩は「いつ、初盆を行うのか」ということをきちんと確認するところから始めます。
・寺の手配をする
初盆供養ではお坊さんにお経をあげてもらうのが一般的です。
ただしこの時期のお坊さんはほかにも盆供養の依頼もたくさんあります。
ですからできるだけ早めに予約を入れておきます。
お坊さんを依頼する日程・時間が決まったら、いよいよ初盆の本格的な準備に取り掛かります。
・どこで初盆供養を行うかを決める
初盆供養は自宅以外でもできます。
例えば法要会場として利用が出来る料理店や割烹料理店などを利用する方法もありますし、寺や法事専門ホール、葬儀ホールを法事用として利用することもできます。
自宅で行うメリットはやはり仏壇の前できちんと初盆供養が出来るという点です。
ただし参加者がゆとりをもって参加することが出来る十分な広さがないと、せっかく足を運んでいただく参加者に対して失礼になります。
さらに料理や飲み物の手配、接客などをすべて家族だけで行わなければならず、その点が負担となるのがデメリットとしてあります。
これに対して自宅以外を会場とした場合は、初盆当日でも慌ただしさを感じずに済むという点がメリットとしてあります。
また参加者のおもてなしや接客などもスタッフがある程度対応してくれるので、気持ちにもゆとりをもって臨むことが出来ます。
その代り式場使用料や料理代などが別途かかるので、自宅で行うよりも費用の負担が大きくなります。
さらにこうした式場で盆供養を行う人が増えてきているので、早めに会場の予約を入れないと希望通りに初盆供養をすることが出来ないという点もデメリットになります。
どちらにしても「どこで行うのか(会場の決定)」がないと、参加者への案内状の発送が出来ません。
ですからお寺の手配と同時に会場の手配をするようにしてください。
・案内状の発送
日程と会場が決まったら、招待客に案内状を送ります。
この時に返信用はがきで参加の有無が確認できるようにしておくと良いです。
こうしておけば料理や返礼品の手配も過不足なく準備することが出来るようになります。
・白提灯を準備する
初盆では絵柄の入った提灯ではなく白提灯を使います。
これは使い切りとなるので、貸し出しはありません。
慣例で言えば白提灯は親族が準備します。
ただ実際には現物を準備するのではなく「御提灯代」として現金を渡されます。
ですから手配は家族が行います。
・料理と返礼品の手配
返信ハガキで参加人数が確定したら、料理と返礼品の手配をします。
・精霊棚を作る
自宅以外で初盆供養を行うにしても、自宅に死者の魂をお迎えする準備は必要です。
供物を供えるための専用の精霊棚を作ります。
正式にはひな壇になったものを使うのですが、最近では簡略化して一段のテーブル状の物を使うこともあります。
ただしこの精霊棚は地域の慣習が強いものです。
一般的な飾り方もありますが、しきたりに厳しい地域では初盆供養バージョンの飾りつけをしないと怒られてしまうこともよくあります。
ですから簡単にネットなどで調べて準備するのではなく、地域の風習に詳しい人に相談することがおすすめです。
・墓掃除をする
新盆行事の始まりはお墓参りから始まります。
当日はお迎えに行くために墓参りに行くわけですから、それまでに墓掃除は済ませておいた方がよいでしょう。
時間の都合がつかない場合は盆の入りに墓掃除をしてもかまいません。
・お供え物を準備する
お供え物も地域の慣習やしきたりがあります。
ですから精霊棚の準備のときにお供え物の内容についても相談・確認しておきましょう。
当日に慌てないように盆入りの前日までにはすべてが準備できているようにしましょう。
初盆の4日間にわたる行事の流れ【ダイジェスト版】
・盆の入り(13日)
墓参りをして初盆であることを伝えます。
夕方になったら白提灯に火をともし、迎え火を焚きます。
・中日(14日・15日)
お坊さんを呼んで初盆法要を行うのは中日です。
一般的に初盆供養が終わると参加者とともに会食をします。
会食がないケースや料理の代わりに茶菓子のみで対応するケースもあります。
・盆明け(16日)
送り火を焚き、故人が無事にあちらの世界にたどり着くように見送ります。
精霊馬と白提灯は送り火で燃やすのが正式なのですが、最近では住宅事情などもあって送り火で白提灯を燃やすことはほとんどありません。
初盆供養のときには喪主の挨拶があることを忘れずに!
初盆供養に参加していただいた方々への挨拶は、喪主であり初盆供養の施主であるあなたが行います。
お葬式のときの挨拶のような堅苦しい文章でなくてかまいませんが、感謝の気持ちと足を運んでいただいたことへのお礼の言葉は最低限必要になります。
また最近の挨拶をきいていると、文中に故人のエピソードを盛り込んでいるケースが増えています。
もちろん「親しき中にも礼儀あり」が日本文化の基本となりますので、「今後ともよろしくお願いします」の一言も挨拶には必要になります。
ただほとんどの人がその場の雰囲気に合わせて挨拶をしていますので、あまり堅苦しく考えずに無事に終わったことへの感謝とお礼の言葉がきちんと伝わればよいと思っていてください。
ちなみに挨拶のタイミングは「会食の前」で、挨拶の後に献杯をして会食スタートとなるのが一般的な流れです。
まとめ
初盆の準備は何もかもが初めてのことで不安になると思いますが、どのタイミングで何を準備すればよいか簡単な流れだけでもわかっておけば大丈夫です。
ただ直前に慌てて準備をすると手配漏れなどが出てきます。
ですから「ちょっと早いかも…」というタイミングで準備を始めると安心ですよ。