初盆は、何度も体験するわけではありません。
大切な人を見送ったことで初めて体験するものです。
でもそんな初盆だからこそ、滞りなくきちんと迎えたいと思いますよね?
そこで今回は「初盆の準備の仕方」についてポイント解説!
初盆の意味をはじめ、どのように準備を進めていけばよいのかをわかりやすく解説していきます。
初盆にはどのような準備をすれば良いの!?
・初盆の準備は1か月前から始めるのが基本
初盆の場合は、お坊さんの読経供養も大事な意味があります。
ですからまずはお坊さんの手配をすることから準備はスタートします。
とはいえ一般の盆供養でもお坊さんをお願いする人が多いので、直前になってお坊さんを手配しようとしてもなかなかうまくスケジュールが合いません。
でも概ね1か月前であれば、お坊さんのスケジュールにも余裕があります。
ですから初盆の準備は1か月前までに始めることを目安にするのがおすすめです。
・招待客の手配をする
お坊さんの手配が出来れば、初盆供養のスケジュールが決まります。
ここで初めて招待客の手配をします。
お葬式や一年忌法要と同じように、初盆は遺族・親族であれば参加するのがマナーです。
もちろん友人・知人を招いてもかまいません。
ただし「いつ行うのか」「どこで行うのか」「何時から行うのか」を伝えなければいけません。
さらに招待をするからには、参加者へのおもてなしも大事です。
ですから招待する人に出欠確認をします。
ごく限られた遺族・親族だけで行うのであれば電話連絡でも問題ありません。
ただ初盆は「亡くなった人の供養」であると同時に、「亡くなった人を偲ぶ場」でもあります。
ですから多くの人と接し故人の思い出話をきかせてもらうことは、悲しみと向き合う時の助けになります。
もちろんこれは喪主の判断で構わないのですが、遠く離れた場所に住んでいる親族や故人の友人・知人などを招待する場合は招待状を送るのがよいです。
またこの時には出欠確認が出来るように、返信用はがきを利用するのが良いですよ。
・招待客の対応準備
招待した方への対応の準備をします。
自宅で行う場合は、食事の手配をどのようにするのかまで考えましょう。
仕出し弁当やケータリングサービスを利用することもできますが、この場合は注文できる最小個数に指定があるので業者選びも重要です。
もちろん事前予約制となっています。
自宅以外の場所を利用する場合は、法要を行うことが出来る場所を選ぶことがポイントです。
法要に対応している飲食店では法要会場と食事会場が別に分かれているケースもありますし、食事会場で法要が出来るケースもあります。
これは店によって対応が変わるので、メニューだけでなく会場についてもきちんと調べてから選ぶようにしましょう。
・返礼品の準備
初盆の参加者は香典を持参するのがマナーです。
そのため招待する側はお礼の品を渡すのがマナーです。
もちろん地域によっては返礼品の必要がないこともあります。
金額の相場も地域によって違いますので、ギフト専門店または法事・仏具業者に相談してみると良いでしょう。
・精霊棚を準備する
精霊棚を準備します。精霊棚は供物を置く祭壇のようなものなので本来であればひな壇になったものを使いますが、最近は簡易的な一段の盆棚を利用することが増えています。
基本的に仏壇の前に置きますが、仏間または客間でも場合によっては構いません。
・供物を準備する
盆棚にお供えする供物のほかにも、精霊馬なども準備しておきます。
・お布施の準備をする
お坊さんを手配するのですから、お布施は必要です。
通常の盆供養のお布施は5千円~1万円が相場ですが、初盆供養は通常の盆供養とは異なります。
そのためお布施の金額も1~5万円が相場です。
またお布施とは別に「お膳料」「お車代」が必要になります。
お膳料はお坊さんが会場で食事をされる場合は必要ありません。
ただしお盆シーズンのお坊さんは非常に忙しいので、食事をせずに退席することがほとんどです。
ですからお膳料はあらかじめ準備しておいた方がよいです。
・盆提灯を飾る
最後に玄関先と盆棚にそれぞれ白い提灯を飾ります。
初盆とお盆の違いって!?
初盆は、普段の年中行事としてのお盆とは意味が違います。
それは亡くなった人のために行う初めての盆供養になるからです。
ですから全国的に見ると「初盆は盛大に行う」というのが一般的です。
・初盆はお盆と何が違うのか?
初盆の場合には、玄関先に飾る提灯の色が違うのが大きな特徴です。
一般的なお盆では色鮮やかな盆提灯を飾りますが、初盆の場合は白い提灯を飾ります。
白い提灯を初盆のときだけ飾るのは「初めての盆に亡くなった人が迷わず戻ってくるための灯り」という意味があります。
ですから色がつかない白い提灯を使い、明るく照らす必要があるといわれています。
初盆の由来とは!?外国の例も交えて解説します。
お盆行事というと、墓参りをして仏壇の前で読経供養をするというイメージがありますよね?
もちろん読経供養となるとお坊さんをお願いするわけですから、あなたのイメージの中に「仏教の行事」というものが含まれていませんか?
確かに仏教ではお盆の供養は大切な宗教行事としてあります。
それは「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という仏教のお話が由来にあるといわれています。
・仏教の盂蘭盆会とは?
お盆に仏教行事を行う由来は、お釈迦様の内弟子の1人である「目連(もくれん)」という人の話が最も有力です。
目連はお釈迦様の十大弟子の1人といわれている人です。
しかも弟子の中でも神通(仏教における超能力のようなもの)が最も優れていたと言われています。
お釈迦様の弟子の中で神の力を持つといわれていた目連は、ある日、亡くなった実の母が天上界に生まれ変わっているのか確認するために天界を見ることが出来る「天眼」を使います。
ところがいくら天眼を使って神の世界にいるはずの母の姿が見つかりません。
「これはどうしたことか?母はどこに生まれ変わったのだ?」と思った目連は、天眼を使ってあらゆる世界の中から母の姿を探します。
すると驚いたことに母は天上界ではなく餓鬼界にいたのです。
しかもそこで見たのは、逆さ吊りにされて責め苦を受けている母の姿でした。びっくりした目連はすぐに供物を捧げ、母を地獄から救い出そうとします。
ところが目連の供物は捧げた瞬間に炎と共に燃え尽きてしまいます。
これに困り果てた目連は、師匠であるお釈迦様に相談します。
するとお釈迦様は餓鬼界に堕ちた死者を救うための秘法を目連に伝授します。
目連はお釈迦様に授けられた秘法を早速実践します。
すると逆さ吊りの刑を受けて苦しんでいた母親はたちまちその苦しみから解かれ、喜びの舞を踊りながら昇天します。
この話が由来となり仏教ではお盆になるとお供え物をし、亡くなった人が穏やかな天上界に生まれ変わることを願うようになったといわれています。
ちなみに目連が母のために秘法を行ったのが7月15日。
そのため7月15日を含む数日間を仏教では「盆供養(盂蘭盆会)」とするようになりました。
・お盆行事は仏教だけでなく民間行事でもある
お盆になるとお坊さんを呼んで仏壇の前で供養をするのは、目連が由来である盂蘭盆会が関係していることがわかりました。
でもお盆行事は仏教行事だけではありません。
お盆になると各地でいろいろな盆祭りが行われますよね?
盆祭りのメインと言えば「盆踊り」です。
盆踊りの由来は「讃岐の踊念仏」といわれています。
この踊念仏を最初に行ったのは菅原道真公といわれています。
讃岐国司を務めていた道真公は、夏の農作業が終わった後のこの時期に、豊作を祈願して雨乞いの踊りを奉納します。
これに深く感謝した農民たちは、翌年の同じ時期に道真公への感謝の気持ちを表すために踊りました。
これが盆になると村人たちが集まり踊る「盆踊り」のルーツになったといわれています。
この踊りが「念仏踊り」となるようになったのは、宗教上の争いに巻き込まれ讃岐に流されてきた法然上人が関係しています。
村人たちが雨乞い儀式として踊っている様子を見た法然上人は、踊りのセリフの代わりに念仏を唱えるように伝えます。
これによって民間行事だったにすぎない踊念仏に仏教の要素がくわわり、「念仏踊り」といわれるようになります。
ちなみに讃岐では法然上人がきっかけでしたが、そのほかにも「空也上人説」「一遍上人説」もあります。
時代としては空也上人の方が平安時代と最も古いので、念仏踊りを「空也念仏」と表現することもあります。
・死者の霊を慰める習慣はほかの宗教でも見られる
日本では仏教凝視・民間行事としてお盆を行うのが風習となっていますが、世界に目を向けてみると国によって死者の霊を慰める行事があることがわかります。
例えばキリスト教圏の国では、春に行われる復活祭(イースター)があります。
これはキリストの復活を祝うのと同時に受難と死について考える大事な時期といわれています。
中国圏では4月5日に「清明節」が行われます。
清明節は日本のお盆行事とよく似ていおり、墓参りをし墓前で先祖の供養をします。
時期は日本と異なりますが、行われる内容や意味としては現在の日本のお盆と非常に近いです。
ただ仏教国であってもミャンマーには死者の霊を慰める行事はありません。
もともとミャンマーでは「お墓を受け継ぐ」という考え方がありません。
もちろん仏教儀式は大切にしますが、死者の霊を慰めるためにお墓参りをするということはありません。
まとめ
初盆の準備は一般的なお盆の準備とは違います。
それは亡くなった人を初めて盆に迎えるためだからです。
準備の仕方は宗教・宗派だけでなく地域によっても違いがあります。
また初盆法要としてお客様を招待するのであれば案内やおもてなしの準備が必要になります。
ですから「少し早いかな?」というタイミングで準備を始めるのがおすすめですよ。