家族がなくなりお葬式で喪主を務めることになった場合、亡くなったことに対する悲しみも深いですが「喪主としてきちんと務めを果たさなければいけない」という使命感も強く感じるはずです。
とはいえお葬式は普段から身近に起こることではありません。
ましてお葬式で喪主を務めるとなれば、一生に一度体験するかしないかです。
お葬式に参列した経験もあり時間的にも余裕がある人であっても、実際に喪主を務めてみるとほとんどの人が「喪主は大変だ」という感想を述べます。
ではお葬式で喪主を務めるとなると、一体どのくらい忙しいのでしょうか?
喪主でなければできないことには、どのようなものがあるのでしょうか?
喪主は家族が相談して決めるもの
お葬式における「喪主」の務めとは、お葬式の主催者としての務めといえます。
そもそも喪主の決め方に法的な決まり事はありません。
あくまでも慣習として「故人に最も近い人物」が務めるとなっています。
もっとも一般的なのは、故人の配偶者となります。
亡くなった人が夫であれば妻が喪主を務めますし、妻が亡くなったのであれば夫が務めるのが慣習です。
もちろん独身のまま生涯を閉じるという人もいますし、結婚はしたものの離婚をしたという場合は配偶者がいないことになります。
この場合は前者であれば「親または故人のきょうだい」となりますし、後者であれば「子供」となります。
さらに親・子供・きょうだいがいない場合は、親族の中で個人と最も近い年長者が務めることもあります。
とはいえこれらはあくまでも一般論です。
たとえ故人の配偶者がいる場合であっても、喪主を故人の子供やきょうだいが務めることもあります。
つまり喪主は「家族が相談して決める」が基本なのです。
喪主になったら何をしなければいけないの?
喪主はお葬式の主催者ですが、併せてお葬式の責任者でもあります。
規模の大きなお葬式であれば喪主とは別に「施主」と呼ばれる人をたてることがあります。
施主は「お葬式を取り仕切る責任者」という役割があるため、喪主の代わりに様々なことを決定していく役割があります。
ただ現在のお葬式は規模も小さくなっており、参加する人も家族や親族、故人と付き合いの深かった人などを含め概ね20~30名程度で行うお葬式が主流になっています。
このような規模の小さなお葬式を行う場合は、わざわざ喪主とは別に施主をたてるのではなく、喪主が施主を兼任するというのが慣習になっています。
ですから喪主になったなら、お葬式に関する様々なことを最終的に判断して決定していくという役割も加わります。
お葬式に関する事柄といっても、喪主の仕事はお葬式だけの話ではありません。
お葬式後に行われる納骨やその後の供養などでも、喪主は様々な判断を迫られます。
そのためお葬式で喪主を務めるということは大変なことなのです。
お葬式の経験がなくても喪主は務まるの?
お葬式の経験がなくても、お葬式を行うには喪主を立てる必要があります。
これは喪主がお葬式を行う上での責任者でもあるからです。
お葬式が無事に終わったとしても、喪主が行わなければいけないことはたくさんあります。
ただしそれほど難しく考える必要はありません。
あくまでも喪主は最終決定権を持つ人ではありますが、すべてのことを喪主が行わなければいけないということではありません。
お葬式の事情に詳しい親族がいれば、サポートをお願いすることも一つの方法です。
また葬儀社に相談してみることで、アドバイスやサポートを受けることもできるでしょう。
なにしろ喪主を務めるとなれば、お葬式が終わるまでが忙しいということではありません。
お葬式が終わった後も、葬儀代金の清算や納骨・法要に関する手配、死亡に伴う各種手続きなども行わなければいけません。
最終的な判断は喪主にありますが、「信頼できる人物にサポートをしてもらいながら喪主としての役割を果たす」というのが最も良い選択肢といえます。
喪主を決めずにお葬式をすることはできる?
様々な事情があって喪主を決めずにお葬式をしたいという人もいるでしょう。
あまり一般的なケースとは言えませんが、どうしてもそのようにしなければいけない事情がある場合は可能です。
ただしこの場合は、お葬式の責任者として「施主」を決める必要があります。
お葬式を行うとなると、様々な契約や手続きが必要になります。
また限られた時間の中ですべてのことを手配しなければいけないわけですから、窓口が1つでなければうまく物事は進みません。
最近は喪主が施主を務めることが一般的になっているので、必然的に喪主がお葬式の責任者となります。
ですがその喪主がいないのであれば、喪主に代わる「お葬式の責任者」を決めなければいけません。
施主にはお葬式の責任者としての役割もありますが、お葬式の費用を負担する役割もあります。
ですから喪主を決めない場合は、施主が最終的に判断したことが決定事項となります。
喪主になるとどれくらいの期間休みをもらう必要があるのか?
喪主になるにしても、仕事をしている場合は忌引き休暇をもらう必要があります。
問題なのは「いつまでの休みをもらう必要があるのか」ということなのではないでしょうか?
この質問に対する結論からいうと、「初七日の翌日までは休みをとるべき」となります。
お葬式が終わってからも、当日式に参列することが出来なかった人が自宅に弔問に訪れることはよくあります。
またお葬式にかかった費用の清算や初七日法要や納骨のための準備・打ち合わせなどもすぐに始めていかなければいけません。
さらにこれらのことを進めながらも、死亡に伴う様々な諸手続きを行っていく必要もあります。
そのことから考えれば、最低でも初七日の翌日までは休みをもらうことをお勧めします。
訃報連絡を会社に入れる際に喪主を務めることを伝えておくとスムーズ
お葬式で喪主を務めるとなれば、様々な事柄に対応しなければいけないことは職場の関係者も理解できます。
でも喪主とその他の遺族では、その役割にも大きな違いがあります。
ですから喪主を務めることが分かったら、職場に訃報連絡を入れる際にそのことをあらかじめ伝えておくと休みの調整もしやすくなります。
もちろん職場の規定によってあらかじめ忌引き休暇の期間は決められています。
どうしても忌引き休暇だけでは休みが足りないという場合は、有給休暇を利用することが出来るか相談しておくことも大切です。
喪主は忙しいからこそお葬式に専念できる環境を整える
喪主がやらなければいけないことを知ると、実際に喪主を務める前から気がめいってしまうはずです。
でも亡くなった人に対して家族がしてあげることが出来るものも限られています。
確かに喪主は亡くなってからお葬式が終わるまでは、寝る暇はほとんどありません。
精神的にも肉体的にも疲労のピークを越えます。
それでも喪主の判断が必要となることは山のようにあり、それらを一つずつ整理しながら進めていくしかありません。
だからこそ喪主を務めると決まったからには、お葬式に専念できるような環境づくりをしておくことが大切です。
仕事でどうしてもすぐに駆け付けられない場合は信頼できる人物に一時的に喪主代理をお願いし、きちんとお葬式に向き合える環境を整えておくということも大事なことです。
まとめ
喪主の仕事は、実際に体験してみなければその大変さはわかりません。
でもお葬式は、亡くなった人に対して最後に家族がやってあげられることでもあります。
すべてを一人で抱え込もうとしては、お葬式まで無事に済ませることはできません。
頼ることが出来る人がいれば、事情を説明してサポートしてもらうようにしてください。
そうすればたとえお葬式の経験がなくても、きちんと喪主としての役割を果たすことはできます。