お葬式で男性の服装は「ブラックスーツ」が基本です。
ブラックスーツは男性喪服の定番となっており、ジャケットには白いシャツを合わせるのも基本です。
ただスーツを着るのですから、ネクタイ着用は原則です。
とはいえお葬式でつけるネクタイは「色が黒い」というだけではダメです。
また結び方にもお葬式用の結び方があります。
そこで今回は男性喪服の基本であるネクタイの選び方やつけ方、マナー違反とならないためのポイントや注意点などを葬儀社のスタッフがまとめて紹介します。
お葬式の服装で男性のネクタイ選びの基本
・ネクタイ選びの基本
お葬式のネクタイは「黒い色のネクタイ」が基本です。
ただし黒い色のネクタイでも「光沢があるネクタイ」はNGとなります。
これはネクタイに限ったことではなくお葬式の服装全般に共通しているルールになります。
・喪主におすすめのネクタイ素材
本来であれば喪主は「正喪服」を着るのがマナーです。
男性用の正喪服はモーニングコートのことをいい、最も格式の高い喪服に位置付けられます。
ただし最近のお葬式では、喪主であってもモーニングコートではなく「準喪服」に分類されるブラックスーツを着用するのが一般的です。
とはいえ喪主が安いブラックスーツを身に着けているのはさすがに見栄えがよくありません。
ですからブラックスーツの中でも上質な生地を使っているものを選ぶのがポイントです。
ちなみにこの時にネクタイもセットで購入するはずですよね?
でもここでも注意すべきポイントがあります。
お葬式のネクタイは「スーツの素材に合っているということ」がポイントです。
ネクタイの素材には天然素材と化学繊維素材があります。
天然素材のネクタイは値段も高いですが、上質な色合いと肌触りのよさが特徴にあります。
特に喪主用のブラックスーツでは濃い黒い色の生地を使っていますので、それに合う深みのある黒いネクタイでなければバランスが崩れてしまいます。
その点でいえば天然素材のネクタイが良いといえます。
化学繊維素材には主にポリエステルやレーヨンなどが使われていますが、天然素材のネクタイと比べると明らかに安っぽく見えます。
一般弔問客が身につけるのであれば十分なのですが、喪主の場合はやはり上質感のあるネクタイを選ぶのが大事です。
ちなみに喪主用としておすすめしたいのはコットン素材のネクタイです。
光沢は抑えられていますが、マットで深みのあるブラックなので非常に上品に見えます。
またシルク素材のネクタイもおすすめです。
コットン素材と同じく深い色合いと上質な肌触りが特徴にあります。
ですからネクタイ選びに迷ったときは、この2つから選ぶようにするのがおすすめです。
・ネクタイに合わせるシャツはレギュラーカラーシャツ
ネクタイがいくら上質であっても、シャツの襟の形の基本が間違っている台無しです。
男性の正装用として一般的なのは「レギュラーカラーシャツ」です。
ここで名称に出てくる「カラー」は「襟」のことを意味していて、襟が長くきっちりとした印象に見えるのが形を「レギュラーカラーシャツ」といいます。
きちんとしたネクタイを手に入れたのならば、やはり襟のデザインも正装用のものを選ぶようにしましょうね。
・結び方の基本
お葬式ではネクタイの結び目は「小さくする」が基本です。
結婚式の時には大きく結び目を作るのがポイントなのですが、あくまでもお葬式なので結び目が目立ちすぎるのはマナー違反になります。
お葬式用ネクタイの結び方のポイント
・基本は「プレーンノット」
プレーンノットは最もシンプルなうえに結び目も小さいので、お葬式では正式なネクタイの結び方とされています。
【プレーンノットの結び方】
・大剣を長めに取り首に巻きます。
一周させたら小剣の上に大剣を乗せるような感じでクロスさせます。
・クロスした大剣は小剣を中心にして一周させます。
・一周し終わった大剣の前部分にループを作ります。そのループの中に内側から大剣を通します。
・結び目が小さくなるように注意しながら固く絞って形を整えます。
・形が整ったら小剣を引っ張りながら結び目を上にあげます。
・型崩れしにくいのは「ウィンザーノット」
プレーンノットと比べると結び目は大きくなりますが、しっかりと結ぶので型崩れがしにくいです。
結び目の形は生産家計正三角形のように見えます。
ちなみにウィンザーノットの場合は「レギュラーカラーシャツ」よりも「ワイドカラーシャツ」の方が似合います。
さらに体格が大きくがっしりとしている人や顔が大きい人は、結び目が小さいプレーンノットよりもウィンザーノットの方が全体のバランスがスッキリします。
【ウィンザーノットの結び方】
①小剣はプレーンノットよりもかなり短く取っておきます。
このポイントを抑えながらプレーンノットの結び方の③まで同じように進めていきます。
②一周させた小剣を折り曲げて大剣の前に持っていきます。
③大剣で前部分にループを作りながら小剣を中心に一周させ、前部分に造ったループの中を通します。
④結び目の形がきちんと正三角形になるように形を整えて固く結びます。
⑤形が整ったら小剣を引っ張りながら結び目を上に引き上げます。
・マナー違反は「ディンプル」
ディンプルはネクタイの結び方とは違うのですが、結び目にくぼみを作ることを「ディンプル」といいます。
ディンプルは「仕上げにくぼみを作る」というだけなのでどのスタイルでもできます。
ただしオシャレに見せるテクニックでもあるので、お葬式ではNGです。
お葬式の服装で男性のネクタイのマナーや注意点
・ネクタイピンは装飾品としてみなされる
ネクタイにネクタイピンを合わせるのは常識と思うでしょうが、お葬式のマナーには「光るものは避ける」というルールもあります。
このルールから考えると、ネクタイピンはマナー違反になります。
基本的にネクタイピンは「つけなければいけないもの」ではありません。
あくまでもアクセサリーとしての意味でつけるものなので、マナー違反として指摘されるよりは初めからつけない方が良いでしょう。
・パールのネクタイピンはカフリンクスであればマナー違反にならない
パールは「涙の象徴」といわれています。
そのためお葬式で身に着けることが出来る宝石でもあります。
どうしてもネクタイピンをつけたいのであれば、ホワイトパールまたはブラックパールのネクタイピンをつけてください。
これであれば「装飾品」とはみなされないのでマナー違反にはなりません。
またカフリンクスをつける場合も、金属ではNGですがホワイトパールまたはブラックパールであれば正装として見られます。
・ネクタイ選びで困った時は「弔事用ネクタイ」を選ぶ
ネクタイ選びで困った時には、素直に「弔事用」と書かれているネクタイを選んでください。
弔事用ネクタイは「光沢がない」「濃い黒い色をしている」「無地」の3つの条件をすべて満たしています。
お葬式のマナーをあまり知らない人が自己判断でネクタイを選んでしまうと「マナー違反」と指摘されてしまうこともあります。
さすがに社会人になってネクタイの件でこのような指摘を受けるのはイヤですよね?
それにお葬式では個性を出す必要は一切ありません。
ですからありきたりに思えるかもしれませんが最もスタンダードな「弔事用ネクタイ」を選んだ方が無難なのです。
・ネクタイを一人で結べない時は…
私がお葬式の現場でスタッフとして立ち会っていると「ネクタイを結んでほしい」と頼んでくる若い男性によく出会います。
また「自分で結んできているけれど、明らかに失敗している」という男性も見かけます。
このような場合は式場の葬儀スタッフに頼めばその場で簡単に結んでくれます。
ノーネクタイで式場に入場するのはマナー違反ですが、式場の手前にはたくさんの葬儀スタッフがいます。
1人でネクタイが結べなくて困った時には、式場近くにいる葬儀スタッフにお願いすれば問題ありません、ですからネクタイが結べなくて困ったなら、気軽に葬儀スタッフに声をかけてみてくださいね。
まとめ
葬儀のネクタイにも選び方や結び方、つけ方に細かな注意点があります。
同じ冠婚葬祭であっても結婚式とお葬式ではマナーが違います。
ですから「同じフォーマルなシーンでもお葬式と結婚式ではネクタイのマナーが違う」ということを覚えておいてくださいね。