お葬式の服装にはマナーがあります。
最近は家族葬といわれる小規模なお葬式が主流になっていますが、家族だけで行うお葬式のことを家族葬というわけではありません。
そのため家族葬に参加するにしても、遺族や親族であればきちんと喪服を着ることがマナーになります。
その点でいえば女性がスーツでお葬式に参加するということはマナー違反になります。
スーツは平服に分類されるため、喪服の種類の中で最も格下である「略喪服」となります。
とはいえ事情があってどうしてもスーツで参加しなければならないこともありますよね?
この場合はインナー選びが重要になります。
そこで今回は女性がスーツでお葬式に参加する場合に注意したいインナーについて分かりやすく解説!
インナー選びの基本やスーツで参加するからこそ注意したい点なども併せて紹介します。
お葬式にスーツを着る場合の女性用インナーの基本
スーツのインナーを選ぶ前に理解しておくべき2つのマナーがあります。
まずお葬式においてはジャケットを脱ぐということは基本的にありません。
フォーマルなシーンではジャケットを着用することがマナーとされていますし、ジャケットのボタンを開けるのもマナー違反です。
また「肌の露出は避ける」ということもお葬式の服装のマナーになります。
そのためスーツのインナーで注意しなければならないのが襟元です。
襟元が広く開いていればその分涼しいですので、夏のお葬式であればこちらの方が快適に過ごせることは間違いありません。
ただし襟元が広く開いていれば、その分胸元の露出度が多くなります。
これはお葬式だけでなくフォーマルなセレモニーでの服装としてもマナー違反です。
この2つは、どのようなインナーを選ぶにしても守らなければならない大事なポイントです。
その上でインナー選びの基本について詳しく解説していきます。
・ノースリーブのインナーはNG
お葬式ではジャケット着用が基本と言いましたが、休憩中や移動中ではジャケットを脱いでも問題はありません。
ところがノースリーブのインナーをつけていると、こうしたシーンでもジャケットを脱ぐことはできません。
いくら休憩中や移動中とはいえ、お葬式に参加しているということに変わりはありません。
お葬式では「肌の露出は避ける」という大前提がありますので、どんなに夏の暑い中であったとしてもインナーがノースリーブの場合はジャケットを脱ぐのはマナー違反になります。
基本は長袖ですが、七分袖または半袖(二の腕が隠れる程度の長さ)は許容範囲内となります。
もちろんこの場合も儀式に参加する時には必ずジャケットを着用してくださいね。
・サイズが合わないインナーはNG
スーツの場合、胸元が開いているジャケットとなりますよね?
そうなるとどうしてもインナーの胸元は正面から見えることになります。
そこで注意してほしいのが「インナーのサイズ」です。
小さいサイズのインナーを着てしまうと、胸元が強調されてしまいます。
女性らしさを強調する服装は弔事ではNGです。
ですから小さいサイズのインナーは避けるのが無難です。
逆に大きなサイズのインナーの場合は、胸元にしわが寄ってしまいだらしない印象に見えます。
お葬式はフォーマルなセレモニーですから、清潔感のある服装を心がけるということも大事なポイントです。
そのため大きすぎるインナーもおすすめできません。
その点女性用の喪服は胸元がしっかりとジャケットで隠れるようになっています。
またワンピースタイプの喪服も多いので、胸元に視線が集中することもありません。
でもスーツの場合はジャケットのデザインそのものが喪服のジャケットと異なります。
だからこそお葬式でスーツを着る場合は、体のサイズにきちんとあったインナー選びをすることが重要になります。
・シャツを着る場合はボタンが首元までついているものを選ぶ
シャツをスーツのインナーとして選ぶ場合は、首元までボタンがあるデザインを選びます。
ビジネス用のレディースシャツだと首元が開いたデザインのものが主流ですが、これはお葬式では「露出がある」と判断されるのでNGです。
もちろん首元までボタンがあるのにわざとボタンを開けるのも、お葬式ではマナー違反です。
本来であればきちんと喪服を着る必要があるのですから、少しでもマナー違反とならないように心がけることは大事なことですよ。
・シースルーのブラウスはNG
シースルーのブラウスは、スーツを着てお葬式に出席するのであれば避けましょう。
喪服でも夏用の場合は、袖の部分だけシフォン素材を使うなど暑さ対策のデザインとして使われることはあります。
でも胸元に関しては肌が透けないようなデザインになっています。
ところがスーツのジャケットは胸元が開いています。
シースルーのブラウスを合わせてしまうと、直接肌が見えないとしてもやはり露出が高いと判断されてしまいます。
あくまでもスーツは喪服ではないのですから、このような細かい点においてもきちんと配慮することが参加者としてのマナーになりますよ。
・パンツスーツはNG
女性の喪服はスカートが基本です。
ですからスーツで参加する場合もパンツスーツはNGです。
子供の入園式や卒業式のことを思い出してみてください。
母親のほとんどがスカートを着用していますよね?
これは女性のフォーマルスタイルの基本だからです。
最近は「お葬式でもパンツスタイルでOK」という意見もありますが、これはあくまでも一般論ではありません。
しきたりに厳しい地域ではパンツスーツを着ているだけで「マナー違反」といわれますし、そもそも喪服を着ていない時点で「マナー違反」といわれる地域もあります。
確かにお葬式の服装に関する考え方には時代と共に変化も多いですが、全国共通の常識として考えるならば、「女性がスカート以外でお葬式に参加するのはマナー違反」と思っておいた方が無難です。
お葬式にスーツを着る場合のインナーの素材は!?
・光沢があるものはNG
お葬式では光を反射するものは身につけられません。
ですからインナーの素材も光沢があるものはNGです。
・色は黒
スーツに合わせるインナーといえばグレーや紺の方が多いですが、お葬式では黒い色を身に着けることがマナーになります。
特に遺族や親族の場合は「喪に服す」という意味が黒い色には込められています。
ですからスーツのインナーも黒以外はNGです。
ちなみに白のインナーは慶事のセレモニーを連想させます。
結婚式やビジネススーツのインナーとしては定番の色ですが、お葬式はNGです。
さらにお葬式では式場全体が黒一色になります。
その中であなただけが白のインナーをつけていれば、それだけであなたに視線が集まります。
目立つことは避けるということもお葬式のマナーですから、絶対に白のインナーはやめましょう。
お葬式でスーツを着る時に白いシャツはお勧めしない
スーツに白いシャツを合わせるのは、一見すると問題がないような気がしますよね?
たしかに男性の場合はジャケットに白無地のワイシャツを合わせるのが基本ですから、女性であっても黒のスーツに白い無地のシャツはマナー違反にはならないと思うかもしれません。
でも男性の場合は白いワイシャツに黒無地のネクタイを締めます。
そのためシャツの白い部分はあまり強調されません。
ところが女性が白いシャツを着てもネクタイはつけませんよね?
もしもつけるとすれば、それは「おしゃれをしている」と見られかねません。
おしゃれはお葬式の服装としては絶対にNGです。
ちなみにお葬式の会場でこのような服装をしているのは、葬儀社のスタッフです。
葬儀社のスタッフの服装は、見た目で葬儀スタッフであることがわかるように女性スタッフでも白いシャツをつけます。
場合によっては男性と同じようにネクタイをつけることもありますし、ネクタイの代わりにリボンをつけるのが制服となっている葬儀社もあります。
さらにお葬式の参加者が葬儀スタッフと同じような服装をすると、式場で葬儀スタッフと勘違いされます。
葬儀スタッフに勘違いされるといろいろと面倒なことが多いので、出来れば勘違いされるような服装は避けた方がいいですよ。
まとめ
お葬式にスーツを着ていく場合は、インナー選びも慎重にならなければいけません。
あくまでもお葬式では喪服で参加することが参加者のマナーです。
ですから喪服の代わりとしてスーツを着るのであれば、インナーだけでなく小物に至るまで細かくチェックすることが重要ですよ。