社会人になれば1度くらいはお葬式に参列した経験があるはずです。
でもほとんどの場合、会社や仕事上の付き合いなどで「一般弔問客としてお葬式を経験した」ということでしょう。
でも親族としてのお葬式は、「成人してからまだ一度も経験がない」という人も多いはずです。
実は一般弔問客としてのお葬式と親族としてのお葬式では、参加する儀式の内容も違います。
とはいえ、年齢を重ねるごとに職場で任される仕事の量も責任も若い頃よりもずっと増えているはずですから、簡単には仕事を休むということもなかなか難しいはずです。
しかも遺族と違い親族では、忌引き扱いで仕事を休むことが出来る日数も違います。
有休が取れるのであればよいかもしれませんが、仕事によってはたとえ有休が残っていたとしても休むことが出来ないこともあります。
それでも親族としてお葬式に呼ばれた以上、出来る限りお葬式に参加することが親族としてのマナーです。
もちろん仕事を休まずに済む方法があればよいのですが、もし休みがとれたとしても「たった1日しか休めなかった」という場合は、「お通夜とお葬式のどちらに出ればいい?」と悩むはずです。
そこで今回は親族としてお葬式に呼ばれた時「お通夜」と「お葬式」のどちらに出るべきなのか、またどうしても休みが取れなかった時にはどう対応すると良いのかについてわかりやすく解説していきます。
親族であればお通夜もお葬式も参加をするのが基本
結論から言ってしまうと、親族としてお葬式に呼ばれた以上「お通夜」も「お葬式」も参加するのが基本です。
お通夜というのは、亡くなった人と過ごす最後の夜のことを言います。
そのため昔からお葬式と同じ位、通夜式は大事な儀式とされてきました。
通夜式は「式」がついていることからもわかるように、お葬式をする上で大切な儀式のことを言います。
そのためお坊さんがお経をあげたり、参列者全員で焼香をするなど「宗教的な儀式」のことだけをイメージしているかもしれません。
でもお通夜は、「亡くなった人と最後の食事をとる時間」という意味もあります。
そのため通夜式の後には、式場とは別の部屋に移動しみんなで食事をします。
これを「通夜ぶるまい」といいます。
(※通夜ぶるまいは、地域によって内容が異なります。お膳料理が一人ずつ準備されることもありますし、茶菓子のみが用意される地域もあります。また通夜ぶるまいそのものが一切ない地域もあります。)
これに対してお葬式は、遺族や親族による「葬儀式」と一般弔問客のお別れの場となる「告別式」をまとめて「お葬式」といいます。
つまり結婚式の「挙式」と「披露宴」のようなものです。
さらにお葬式当日には、火葬も行われます。
お葬式が終わった後に火葬をすることが多いですが、あくまでもこのスタイルにも地域によって違いがあります。
お葬式が終わった後に火葬をするお葬式を「遺体葬」といいますが、火葬後にお葬式を行うこともあります。
これを「骨葬」といいます。
全国的に見れば遺体葬の方が多いのですが、地域によっては骨葬が主流という地域もあります。
つまりお葬式は、「亡くなった人と最後のお別れをする日」といえます。
そのためお葬式は親族だけでなく一般弔問客も多く参列します。
1日だけでも休みが取れたならお葬式の方を優先すべき
通夜式は夕方におこなわれますが、お通夜そのものは「お葬式の前夜」のことを言います。
ですからたとえ通夜式に間に合わなかったとしても、親族であればお通夜に行くことはできます。
でもお葬式は「葬儀式」「告別式」「火葬式」の3つがありますので、朝から行われるのが一般的です。
ですから1日だけでも休みが取れたのなら、お葬式当日に休みを取るべきです。
どうしても仕事が休めない場合はせめて通夜式だけでも参加しよう
仕事の都合上どうしても1日休むことが出来ない場合は、上司に事情を説明して少し早めに仕事を切り上げさせてもらいましょう。
ほとんどの通夜式の場合、18時頃から始まります。
ですから通夜式場が近いのであれば、午後から半休を貰うだけでも十分に間に合います。
もちろん通夜式は遺族が必ず立ち会います。
ですから喪主と話が出来そうなタイミングを見計らって、直接お葬式に参列できないことを伝えれば欠席しても問題ありません。
遠方にいるためどうしても参加出来ない場合
遠方にいる場合は、移動時間などの関係でどうしてもお葬式に参加出来ないこともあります。
この場合は喪主宛にお悔やみ電報を送りましょう。
お悔やみ電報には定型文タイプもありますが、フリータイプのものもあります。
もしも近い親族のお葬式であれば、あなたの想いが伝わるフリータイプのお悔やみ電報を送るのがおすすめです。
自由に文章を書きこむことが出来るため、お悔やみの言葉だけでなく「本当はすぐにでも駆け付けたいけれど、どうしても事情があって参列できない」というあなた自身の悔しい想いも遺族に伝わります。
お悔やみ電報はお葬式会場に届けるよう手配する
最近は安置からお葬式終了まで、すべて葬儀社のセレモニーホールで行うことも増えています。
このようなケースでは、お葬式が終わるまで遺族はセレモニーホールに泊まり込むことが多いです。
そのため届け先を亡くなった親族の自宅にしてしまうと、お葬式が終わって自宅に帰ってくるまで遺族があなたのお悔やみ電報に気が付きません。
せっかく電報を送るのですから、お葬式の前に確実に遺族に届くようにしましょう。
お悔やみ電報を送る場合は、①お葬式会場に届ける ②お葬式の前日までに届くように手配するの2つがポイントです。
職場から直接通夜式場に向かう時の注意点
【注意その①】ブラックスーツの考え方に注意が必要
親族の場合は、正式な喪服でなくても略礼服であれば問題はありません。
そのためブラックスーツであっても大丈夫です。
ただし一つ気を付けなければいけないのは、「光沢のあるブラックスーツはNG」という点です。
ビジネス用のブラックスーツの場合、光沢があるブラックスーツもありますよね?
この光沢は、お葬式の会場ではマナー違反になります。
結婚式であれば問題がないのですが、お悔やみの場であるお葬式では色が黒であるだけではダメです。
ですからブラックスーツの場合は光沢の有無も必ずチェックしてください。
【注意その②】香典は袱紗またはハンカチで包む
「香典は袱紗に包む」ということは、最低限お葬式のマナーとして覚えておかなければ恥ずかしいです。
ただし袱紗がない場合は、無地の白または黒のハンカチで包むだけでもOKです。
【注意その③】ワイシャツは無地の白
ワイシャツの色や柄もチェックする必要があります。
ビジネスシーンでは白地に模様が入ったデザインやカラーシャツの方が見栄えはいいのですが、お葬式ではこれらはマナー違反となります。
親族のお葬式に参加する時のポイント
・率先して手伝い係をしましょう
お葬式には様々な手伝い係が必要です。
葬儀社が代行する場合もありますが、これらの手伝い係には「遺族の代わりに参列者に挨拶をする」という大切な役割があります。
そのため出来ることであれば親族が対応するのが一番です。
お葬式の手伝い係は立ちっぱなしの状態が長いですから、体力のある若い親族が対応した方がよいです。
係の中で最も責任が重い会計責任者以外であれば、自分から率先して手伝いを申し出るようにするのがいいですよ。
・喪服を必ず着用しましょう
遺族としてお葬式に参列するのですから、服装は喪服が基本です。
喪服またはブラックスーツがない場合は、今後のためにも一式購入するのもおすすめです。
ただしその場合はオールシーズン対応の喪服を選ぶことがポイントです。
まとめ
親族としてお葬式に呼ばれたとしても、仕事や事情によってどうしても出席できないこともあります。
でもそのような場合でも、あなたの気持ちを遺族に伝える方法はあります。
一般論からすれば「親族であれば通夜から参列する」が基本ですが、どうしても休みが取れない場合などはせめてあなたの気持ちが遺族に伝わる方法で対応してみてくださいね。