お葬式の服装で女性のアクセサリーは原則NGです。
でもお葬式でも身に着けても良いとされるアクセサリーがあります。
それが「パール」です。
でも認められているとはいえ、パールのアクセサリーをつける時には注意点もたくさんあります。
そこで今回はお葬式でパールを身に着ける時の基本や選ぶときのポイント、さらにはパール以外でもマナー違反とならないアクセサリーや注意点について葬儀社のスタッフがわかりやすく説明していきます。
お葬式の服装で女性がパールをつけるのはマナー違反!?
・パールがお葬式でつけてもマナー違反とならない理由
パールは宝石の1種です。
一般的に宝石の原料となるのは鉱石なのですが、パールはあなたもご存知の通り海でとれる宝石です。
パールは海の中で拾ってとるものではありません。
貝の体内で作られるため、一般的な宝石の原料が「鉱石」と呼ばれるのに対してパールは「生体鉱物」といわれます。
1つの貝からとることが出来る真珠はわずか1粒しかありません。
しかも貝であればなんでも真珠が出来るというわけではなく、一般的にはアコヤガイと呼ばれる貝にパールの原料となる生物が貝の中に入ることによってつくられます。
このように天然にできたパールには一切の継ぎ目がありません。
あれだけ美しい円形の粒が天然に出来上がっているというだけでも非常に珍しい宝石といえます。
そんな貴重なパールは「人魚の涙」といわれています。
人魚にまつわる伝説には悲話が多いですよね?
美しい姿をした人魚が悲しみで涙を流すシーンは、女性であればだれもが心を奪われるものです。
そのため人魚の涙であるパールは、いつしか「涙の象徴」とも言われるようになります。
実際にパールのアクセサリーが「お葬式で身に着けるアクセサリー」として定着したのは、ある国の王女が関係しています。
その王女はお葬式で「涙の象徴」と呼ばれるパールを身に着けて参加しました。
それを見た上流階級の貴族の女性たちが、王女の真似をしてお葬式でパールを身に着けるようになります。
これがいつしか庶民の間にも広がり、「お葬式にパールのアクセサリーを身に着ける」という習慣が定着します。
これが「お葬式でパールはマナー違反とはならない」となった由来だといわれています。
・パールにもいろいろな種類がある
パールにはいろいろな色があるのをご存知でしょうか?
最も有名なのはホワイトパールと呼ばれるものです。
ホワイトパールはアコヤガイから採れるパールですが、比較的粒が小さいです。
ホワイトパールが出来るアコヤガイ自体がそれほど大きな種類の貝ではないので、その中にできるパールのサイズもやや小ぶりになるのです。
ただアコヤガイから採ることが出来るパールはホワイトパールだけではありません。
「ホワイトクリーム」「ホワイトピンク」「ホワイトグリーン」「ホワイトゴールド」などもアコヤガイから採れるパールです。
ちなみにお葬式ではブラックパールをつけている人も多いです。
ブラックパールはクロチョウガイと呼ばれる貝から採れます。
ブラックのほかにも「グレーパール」「グリーンパール」などがあります。
お葬式では黒が基本なのでさすがにグリーンパールはNGですが、ブラックパールやグレーパールはホワイトパール同様「お葬式で身に着けても良いアクセサリー」とされています。
・ネックレスをつけるならイヤリングもつけるのが基本
フォーマルな装いでアクセサリーを身に着ける場合は、ネックレスとイヤリングはセットで使うのが基本です。
ですからどんなに高価なパールネックレスをつけていても耳元にパールを身に着けていなければ「ドレスコードとしての基本がわかっていない」とみられてしまいます。
もちろん「イヤリングだけをつける」というのもフォーマルな装いの基本ルールとしてはNGです。
お葬式もフォーマルなシーンですので、パールを身に着けるのであれば「ネックレス&イヤリング」でつけるのが正しいつけ方になります。
・パール以外でもマナー違反とならないアクセサリー
パールがお葬式で身に着けても良いとされているのは「涙の象徴」といわれているからです。
同じく「涙」を連想させる宝石として「ブラックオニキス」や「黒珊瑚」などがあります。
どちらも深みのある濃い黒色をしているので、ブラックパールと同じように見えます。
ただブラックオニキスや黒真珠の場合、「魔除け」の効果が高いことも特徴にあります。
特にブラックオニキスはパワーストーンの中でも人気の高い石です。
漆黒のブラックオニキスは重量感があるので、正喪服に合わせると存在感のある装いになります。
同じく黒珊瑚も漆黒のブラックが特徴ですが、珊瑚ということもあって非常に軽いです。
ただし現在は輸入が禁止されているものなので、黒珊瑚のアクセサリーそのものが希少価値の高いアクセサリーとなっています。
お葬式の服装で女性がパールを身に着ける時のマナーは!?
・ネックレスの長さ
ネックレスを身に着ける時に注意が必要なのが「長さ」です。
パールネックレスでは長さによって「チョーカー」「プリンセス」「マチネ」「オペラ」などに分かれています。
そしてお葬式で使うことが出来るのは「チョーカー」と「プリンセス」です。
チョーカーの長さは約40㎝です。
首周りに沿うようにして付けることが出来るので、お葬式だけでなく結婚式にもよく使われます。
パールの上品さ・上質感は最大限に生かしつつ、首元をスッキリとした印象に見せてくれます。
そのため比較的若い世代に人気があります。
これに対してプリンセスの長さは40~45㎝となります。
チョーカーと比べて長さにゆとりがあるので、年齢問わず似合うのが魅力です。
小粒のパールネックレスも良いですが、下の部分がちょうど鎖骨に触れる程度の長さなので大粒のパールネックレスも似合います。
ちなみにマチネ・オペラなどは長さが50cm以上あります。
特にオペラは2連巻・3連巻にして使うのが一般的なので長さは70cm以上あります。
これは「1連巻が基本」のお葬式では使うことが出来ません。
・パールの色と大きさ
身に着けるパールの色に決まりはありませんが、やはり若い年代であればオーソドックスなホワイト系パールがおすすめです。
清潔感がありますしお葬式のパールネックレスとしても定番ですので、20代の女性であっても身に着けていて違和感がありません。
その代わり年齢が若い女性がブラック系・グレー系のパールネックレスを使うと老けた印象になります。
喪服とのバランスがあっていなければイミテーションのように見えてしまうこともあります。
イミテーションはいくらパールネックレスといってもお葬式ではNGですから、場合によっては周りから注意を受けることもあります。
ところが正喪服を身に着ける50代以上になると、ホワイトパールよりもブラックパールやグレーパール、ブラックオニキスなどの方が重厚感もあって上品に見えます。
特に喪主を務めるのであれば粒の大きなブラックパールを選ぶと、上品さが全体的にワンランクアップします。
お葬式の服装で女性がパールをつける時の注意点
・ネックレスは1連巻以外の付け方はNG
お葬式では「不幸が重なる」として1連巻以外はNGです。
ですから「長さを調整するために2連巻にする」「少しでも華やかに見えるように3連巻にする」などは絶対にやってはいけません。
・イヤリングの留め金の色はシルバー
イヤリングをつける時に気を付けたいのが「留め金の色」です。
パール製品は良いのですが、ゴールドの留め金はNGです。
あくまでも留め金の色はシルバーであることを確認してからつけるようにしてください。
・イヤリングは一粒パールのみ
パールイヤリングで認められているのは「一粒パールのみ」です。
あくまでも「涙の象徴」として付けるわけですから、装飾が付いているものやデザインネックレスはNGです。
まとめ
パールは「涙の象徴」とされていることから、お葬式でもつけることが認められています。
特にネックレスは「涙(パール)が連なっている=悲しみの深さを表す」とされているので、正喪服を身に着けるのであれば必ず身につけたいアクセサリーです。
冠婚葬祭用に使うことが出来るパールにも長さやカラー・パールの粒の大きさなどに違いがあります。
ワンランク上の上質感を演出したいのであれば、年齢や喪服の素材にあったパールを選ぶのがポイントですよ。