お葬式の服装といえば「喪服」が正式です。
女性用の喪服にもいろいろなデザインがありますが、基本的に女性の場合はスカートまたはワンピースを着用します。
ただしこのワンピース選びは意外と難しいのです。
デザインの違いもありますが、スカート丈の長さも違いがあります。
それだけにワンピースだけで見た目の印象が大きく変わります。
そこで今回はお葬式の喪服で定番のワンピース選びのポイントを葬儀社スタッフがわかりやすく解説!
新しく喪服を購入する前に知っておきたい注意点やシーン・年齢別におすすめのデザインのポイントも合わせて紹介します。
お葬式の服装で女性がワンピースを着る時の基本
私がお葬式の現場を担当していると、若い親族の女性から「黒いジャケットに黒のワンピースがあれば、喪服をわざわざ買わなくても代用できませんか?」と質問されることがあります。
でもこのような質問をされた場合、私は「それはマナー違反ですから、購入するか貸衣装を利用してください」と答えます。
それにはちゃんとした理由があります。
・カジュアルなワンピースは「袖がない」のが一般的
黒のカジュアルワンピースは、手ごろな値段でデザインも豊富です。
でもカジュアルなワンピースの場合「袖がない」が一般的ですよね?
これはお葬式としてはNGです。
お葬式では、肌の露出はNGです。これが大原則にあるので、カジュアルなワンピースではだめなのです。
・カジュアルなワンピースは胸元が広く開いているタイプが多い
カジュアルなワンピースをあえてブラックにする場合は、やはりデザインを重視しますよね?
特にブラックワンピースの場合、大人っぽく見せるデザインが多いです。
そのため胸元を強調するようなデザインや襟が広く開いているデザインが多く見られます。
これも「お葬式では肌の露出を避ける」の基本から外れてしまいます。
いくらジャケットを羽織っても、襟が詰まっているジャケットはなかなかありません。
となればジャケットを着ても胸元が大きく開いてしまい、お葬式としてはマナー違反になってしまいます。
・カジュアルなワンピースにはお葬式には向かない素材も多い
カジュアルなワンピースの中でもシンプルなデザインの場合は、素材に特徴があることが多いです。
レースや光沢のある素材なども多いのですが、これはお葬式の服装としてはNGです。
お葬式ではそもそも「光沢があるものはNG」です。
またレース素材は透け感がある上にボリュームがあるので「装飾が多い」と判断されてしまい、これもお葬式ではNGとなります。
・お葬式のワンピースの基本
お葬式のワンピースの基本は「黒色が濃い」「膝が隠れる」「シンプルなデザイン」の3つです。
まず「黒い色が濃い」というのは、お葬式の礼服選びの基本にもなります。
お葬式のようなフォーマルなシーンでは「漆黒」といわれるブラックが上質であると考えられます。
ですから同じ黒いワンピースでもより色が濃いものが「上品な装い」と見られます。
次に「膝が隠れる」という点です。これは「肌の露出を抑える」というお葬式の服装の基本につながります。
膝上丈のスカートは露出が高いだけでなく「カジュアルな服装」ととらえられます。
そのためどんなに短くても膝が隠れる長さであることが重要なポイントです。
最後の「シンプルなデザイン」ですが、これもお葬式ならではの基本になります。
お葬式の服装は、「弔意を表す」というだけでなく「喪に服している」という意味もあります。
ですから華美な装飾やデザインのワンピースは、他の条件をすべて満たしていてもNGになります。
お葬式の服装で女性におすすめのワンピーススタイルは!?
・20代女性
20代女性の場合は、基本的にフレアスカートのワンピースを選ぶのが定番です。
フレアスカートであれば、膝が隠れる長さのスカートであっても若々しく見せることが出来ます。
ただ同じ20代でも既婚者の場合は、地域によってはこのタイプの喪服は注意が必要です。
特に嫁ぎ先がしきたりに厳しい場合にフレアスカートのワンピースを着ると、「結婚しているのに落ち着いていない」といわれてしまうことがあります。
この場合はタイトなロングワンピースを選んだ方が、ご主人側の親族からの印象が良くなります。
・30代女性
30代女性の場合のワンピース選びは、「落ち着いた雰囲気」がポイントになります。
デザインは6分丈のタイトスカートが基本ですが、少しゆったりとしたデザインの方が動きやすくなります。
・40代女性
40代になると体型の変化も出てきます。
そのためこのタイミングで一度喪服を買い替える人も多いです。
基本はタイトスカートで、ワンピースの丈は6~7分丈です。
7分丈であればオールシーズン使えますし、どんなシーンでもスッキリと見えます。
またジャケットの長さをやや長めにすると、40代女性が気になるウエストやヒップなど気になる部分を上手に隠してくれます。
・50代以上
50代以上になると、あなた自身が「喪主」を務めることもある年齢になります。
また一般弔問客としてお葬式に参列する時も、周囲の同世代の方と並んだ時に見劣りするような素材・デザインだと失礼になります。
そのためこの年齢になったら準喪服ではなく「正喪服」に買い替えるタイミングです。
スカートの長さも7分丈よりもくるぶし丈の方が上品に見えますし、ワンピースよりもアンサンブルタイプの方がおすすめです。
お葬式の服装で女性がワンピースを選ぶ時の注意点
・お葬式用の靴を持参して試着する
お葬式のワンピースは、基本的にシンプルなデザインです。
ただスカートの丈の長さによって、見え方の印象が大きく変わります。
また靴もかかとに高さがない「パンプス」と高さがある「ヒール」では印象が変わります。
もちろんヒールの場合はかかとの高さによって全体の印象が変わります。
喪服は普段着として着ることはありませんので、購入するとなれば「見せたいスタイルがきちんと実現できているか」をちゃんと確認する必要があります。
そのためにも試着する時は、お葬式ではく予定の靴を履いてから全体をチェックするようにするのがポイントです。
・季節を意識するなら袖の長さも注意する
喪服のワンピースは必ず袖が付いています。
でも袖の長さは「半袖」「七分袖」「長袖」とそれぞれ違います。
もしも「夏用」「冬用」の2着を購入するのであれば、半袖と長袖の2つを選ぶと良いでしょう。
半袖であれば夏のお葬式でも快適に過ごすことが出来ますし、長袖であれば冬のお葬式で防寒対策になります。
オールシーズン用として1着だけ購入するのであれば、おすすめは「七分袖」です。
七分袖であればジャケットを脱いだ時も肌の露出がほとんどありませんので、お葬式でお手伝い係を頼まれた時や台所仕事をする時も便利です。
また冬でも半袖よりも長さがあるので、ある程度は寒さ対策が出来ます。
・襟もとは詰まっているほど上品に見える
少しでも上品な印象に見せるのであれば、襟元が詰まっているワンピースを選ぶのがポイントです。
特に年齢が上がるにつれて襟元を隠すスタイルに変わっていかなければいけません。
ちなみにパールなどのアクセサリーを合わせるにしても、お葬式では約40~45㎝の長さのネックレスを一連巻してつけます。
ネックレスを付けた時に肌に当たるようだと、あまり上品には見えません。
特にホワイトパールのネックレスをつけるのであれば、喪服の上にネックレスがあたるようにするとパール本来の美しさが引き立ちます。
もしもネックレスをつける予定があるのであれば、試着でもパールネックレスをつけた状態で全体をチェックするのがおすすめです。
まとめ
女性のお葬式の服装にはいろいろな決まりがありますが、ポイントと注意点さえ分かっていればあなたにピッタリのものが見つかります。
特にワンピースの場合は体のラインに合わせてデザインされているので、きちんと試着することが大切です。
また試着したうえで「立つ」「座る」の動作を繰り返して着心地をチェックすることも大事ですよ。