お葬式の服装にはいろいろと決まりがあります。
あくまでもお葬式は「フォーマルシーン」として考えられるので、その場にあった服装で参加するということはとても大事なことです。
ただ意外と間違えやすいのが「足元のドレスコード」です。
特に女性の場合は「露出を避けなければいけない」というお葬式の服装のルールがあるので、それに合っているかどうかがポイントになります。
今回は女性のお葬式の小物の中で特にNGになりやすい「靴下」について葬儀社スタッフが分かりやすく解説!
お葬式の靴下の基本とマナーの許容範囲、また年齢別靴下選びのポイントや注意点についても併せて紹介していきます。
お葬式のときにはく靴下・女性の基本はストッキング
私がお葬式の現場スタッフとして式場に立ち会っていると、意外と多いのが「靴下のマナー違反」です。
お葬式の服装のルールも時代や考え方によって大分変ってきました。
でも根本的な部分でいえば、昔とそれほど変わっていません。
・喪服が基本だからこそ足元はストッキングが基本
お葬式に参加する場合は、喪服を着ることが基本的なマナーです。
喪服のデザインは様々ありますが、女性の場合は「ジャケット&スカート」が基本です。
でも普段着でスカートを着る時には、一般的な靴下でも問題はありませんよね?
特に膝が隠れる程度のゆったりとしたデザインのカジュアルスカートには、足を長く見せるためにショート丈の靴下を合わせたりします。
もちろんお葬式のスカート丈は基本的に膝が隠れる長さです。
また体のラインが目立たないようにゆったりとしたデザインのスカートも多いです。
これだけでいえばカジュアルと喪服のスカートに違いはありません。
そうなれば「靴下だって問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、これは大きな間違いです。
まず考えてもみてください。
結婚式の披露宴に出席する時、ドレス姿に靴下を合わせるでしょうか?
さすがにこれは見た目としてもNGです。
でもそれ以上にフォーマルなシーンに靴下を履くという時点でNGになります。
では就職試験の面接のときはどうでしょうか?
就職試験に挑む時には、基本的にシンプルなスーツを選びますよね?
また足もともローヒールやパンプスを選びます。
このスタイルにあなたは靴下をチョイスするでしょうか?
答えは「NO」ですよね?
その理由は「その場の雰囲気に合わない」「周りの人の服装と明らかに見た目が違う」などがあります。
つまりこれが「お葬式で靴下はNG」となる理由なのです。
「お葬式の服装だから」と考えてしまうと「見えなければ問題ない」という答えも出てきます。
でもお葬式以外で同じようなシーンを例に挙げて考えてみれば、その場にあったものを身に着けることがいかに大切か分かってくるはずです。
・フットカバーもNG
若い参加者の中には、親族であっても黒のパンツスーツで参加する姿が増えてきました。
パンツスーツであれば足元はズボンで隠されていますので、肌の露出はほぼありません。
ですから「肌の露出は控える」という点でいえばマナーの許容範囲とも言えます。
でもこの場合も足元はストッキングを合わせるのが基本です。
ただここ数年のお葬式を見ていると、パンツスーツの女性がフットカバーを履いているケースが多く見られます。
確かにフットカバーはヒールを履く時に便利な靴下です。
浅めに履くタイプのフットカバーであればヒールからはみ出ることもありませんから、見た目もそれほどおかしくありません。
でもこれはお葬式としてはNGです。
まずパンツスーツで椅子に腰かけた時のことをイメージしてください。
立っている時には完全に肌を隠せていても、椅子に座るとパンツの裾が上がるのでくるぶしのあたりは素肌が見えます。
つまり「露出がある」ということです。
これは葬式としてはNGです。
ただ冬のお葬式などの場合、足先の冷えを予防するためにストッキングの上からフットカバーを履く人はいます。
この場合はギリギリセーフです。
靴を脱がなければフットカバーは見えませんし、ストッキングだけでは冬のお葬式の防寒用としては少し心細いです。
それに靴を脱ぐときにはフットカバーも一緒に脱げばよいのですから、それさえ意識していればフットカバーを使ったとしてもマナー違反にはなりません。
つまり靴下全般がNGというのではなく「使い方の問題」なのです。
あくまでもお葬式はフォーマルな式典になりますので、その場にあった服装をして参加することが参加者のマナーとなります。
だからこそ「たかが靴下」ですが「されど靴下」でもあるのです。
・タイツはストッキングとは認められない
冬の防寒用アイテムでもあるタイツですが、これも靴下と同様NGです。
指先から腰までカバーするという点でいえば「露出は抑えている」と言えますが、タイツはカジュアルな服装に合わせるアイテムという認識が強いためお葬式ではNGです。
たしかにお葬式では素肌の露出を避けるのが基本ですが、フォーマルなシーンであるからこそ透け感も必要です。
タイツはストッキングと同じように見えますが、厚みがあるので履いても透け感がありません。
そのためお葬式の服装としてはNGになります。
お葬式で女性が靴下をはく時の許容範囲【年齢別】
女性であっても年齢によって靴下の許容範囲は変わります。
・乳幼児
靴下でOKです。
冬のお葬式であれば防寒用にタイツを履いても問題ありません。
・小学生
制服がある場合は制服着用が小学生の服装の基本です。
ですから制服に合う靴下を履くのが基本です。
制服がない場合も「小学生らしい式服」となりますので、靴下はOKです。
ただし小学生からはタイツは避けるべきです。
色は白の方が清潔に見えるのでよいのですが、黒やグレー・濃紺でも構いません。
ただし無地で装飾がない靴下に限ります。
・中学生
中学生も小学生と同じです。
「中学生らしい服装」であることが求められるので、靴下を履きます。
ただしルーズソックスや太ももまでの超ロング丈の靴下は「カジュアルな服装」とみられるのでNGですよ。
・高校生
高校生も小学生や中学生と同じです。
色の指定はありませんが、目安は学校で行われる制服指導の合格ラインです。
制服指導で問題なしと判断される靴下であれば「高校生らしい服装」と言えます。
ですからマナー違反とはなりません。
・大学生・専門学校生
準喪服または略喪服を身に着けるのが基本です。
そのため靴はパンプスまたはヒールを履きます。
靴下はNGで、黒のストッキングを使います。
・成人女性
成人女性の場合は喪服着用が基本です。
靴はパンプスまたはローヒールとなるので、必ずストッキングを履きます。
「肌色でもOK」という地域もありますが、これは全国共通の認識とは違います。
お葬式は黒い色を身に着けることで「喪に服す」という意味になりますので、遺族・親族であれば黒のストッキングを履くのが基本です。
事情があってどうしても靴下をはかないといけない時の注意点
・靴下を履かなければいけない事情をあらかじめ説明しておくこと
足のケガなどでどうしてもストッキングが履けないこともありますよね?
このようにやむを得ない事情がある場合は、喪服に靴下を合わせてもマナー違反とはなりません。
ただしその理由が周囲の人に伝わっていなければ、マナー違反といわれても仕方ありません。
あくまでも喪服にはストッキングを合わせるのが基本ですので、事情があって靴下を履かなければならない場合はその理由を周囲に伝えておく必要はありますよ。
・妊婦の場合は例外
妊婦さんの場合は「母体に影響がないようにすることが最優先される」となります。
そのため妊婦さんの場合は、マタニティウェアで参加してもマナー違反になりません。
それと同じように体を冷やさないために靴下を履くのもOKです。
タイツでもよいのですがタイツだと下半身を締め付けてしまいますので、長時間に及ぶお葬式では体に負担がかかります。
あくまでも妊婦さんの場合は「体に無理のない程度に参加する」が一番ですので、無理にタイツを履かず靴下を履いて対応してください。
まとめ
お葬式では喪服を着て参加することが、成人女性の服装の基本となります。
そのため靴下を履くことはマナー違反になります。
ただし子供の場合は「年齢に応じた服装」が求められますので、女の子でも靴下を履く方がマナーとなります。
またそのほかにもやむを得ない事情がある場合は、成人女性であっても靴下を履いても大丈夫です。
あくまでも「基本はストッキング」ですが、臨機応変に対応することもできます。
ですからやむを得ない事情がある場合は、無理をせずに周囲の人に相談して靴下を履くと良いですよ。