お葬式に親族として参加する時には、服装のマナーをきちんと守ることが大事なポイントです。
これは「一般会葬者に対して失礼のない対応をする」という意味だけでなく「亡くなった故人に対する敬意」という意味もあります。
ただしお葬式の服装のマナーも時代とともに少しずつ変わってきています。
また地域によっては「一般的とは言えないけれどマナー違反とはならない」と考えるケースもあります。
とはいえお葬式は地域のしきたりや風習が未だに根強く残っているため、他の地域では「許容範囲」といわれたとしても地域によっては「マナー違反」とされることもあります。
そこで今回は親族としてお葬式に参加するときの服装の基本を葬儀社スタッフがわかりやすく解説!
さらに親族として参加するからこそ気を付けたい服装のポイントや注意点も合わせて紹介します。
お葬式の服装・親族として参列する時の基本は喪服!
親族とはいえ、服装の基本は「喪服」です。
ただし喪服には「正喪服」「準喪服」「略喪服」の3ランクがあり、親族の場合は「準喪服」を選びます。
・男性の準喪服とは?
男性の準喪服は「ブラックスーツ」です。
ブラックスーツは「黒い色のスーツ」というわけではなくフォーマルな礼服としてのブラックスーツのことを言います。
男性のスーツの場合、ジャケットの形も「シングル」と「ダブル」があります。
この2つは格の違いがあります。
より格上のブラックスーツは「ダブル」になります。
ですから親族でも比較的近い親族の場合はダブルのブラックスーツを選ぶのがおすすめです。
20代・30代の若い男性の場合は、冠婚葬祭用としてブラックスーツを準備するのが一般的です。
結婚式ではシングルの方がオシャレに見えますし、この年代ではお葬式よりも結婚式に参加する方が多いです。
ですから着回しやすさなども考えれば近い親族であってもシングルを選んだ方がお得です。
・女性の準喪服とは?
女性の準喪服は、比較的デザインも豊富です。
年齢によってスタイルを分けるという方法もありますが、基本は「ジャケット」と「スカート(またはワンピース)」です。
最近はパンツスタイルの喪服も見られますが、これは正式な喪服とは言えません。
しきたりや風習が特にない都心部ではパンツスタイルの喪服でも「マナー違反ではない」と考えるケースも増えつつありますが、これも一般弔問客の場合に限られます。
ですから親族としてお葬式に参加するのであれば「パンツスタイルは避ける」と覚えておきましょう。
お葬式の服装で男性親族の服装のポイントと注意点
・ネクタイのポイントと注意点
ネクタイは「光沢がない」「色が黒い」「無地」の3つの条件にあてはまるものを選ぶのがポイントです。
「光沢がない黒色のネクタイだけれどワンポイント刺繍がある」や「無地で黒い色の絵躯体だけれど光沢がある」はNGです。
また若い男性がよく間違えがちなのが「結婚式で使ったネクタイを代用」です。
結婚式の場合は同じ黒の無地ネクタイでも光沢が必ずあります。
これは「光るものはつかってはいけない」というお葬式のルールに反しますのでNGです。
・ネクタイピンはつけない方が無難
普段からスーツを着用している人に多い間違いが「ネクタイピン」です。
ネクタイピンの多くは貴金属でできていますよね?
つまり「光るもの」と言えます。これはお葬式のマナー違反となります。
ちなみにネクタイピンは必ずつけなければいけないということではありません。
男性のスーツスタイルで唯一認められているアクセサリーではありますが、「アクセサリーである」という点が問題になります。
そもそもお葬式では華美な装飾は好ましくないとされています。
そのためアクセサリーはつけないのがマナーです。
どうしてもネクタイピンがないと落ち着かないというのであれば、お葬式で唯一認められているパール製品のものを選んでください。
パールは「涙の象徴」といわれているので、お葬式で身に着けていてもマナー違反になりません。
・靴下も黒色がマナー
最近のお葬式場は椅子席のホールタイプがほとんどですが、だからと言って「靴を脱ぐことがない」というわけではありません。
例えば火葬場での休憩時や会食の席では和室のケースが多いです。
親族である以上お葬式のスケジュールは全て立ち会うのが一般的です。
また喪主や遺族からこのような席への参加を勧められたら、よほどの事情がない限り断らないのもマナーです。
ですから「靴を脱ぐことはないだろう」という甘い考えで黒以外の色の靴下を履くと、思わぬところで恥ずかしい思いをします。
・靴も黒い革靴が基本
靴は黒の革靴が基本です。
ただしここでも「光沢がない」ということがマナーになります。
また男性の革靴の場合感具が表についている場合もあります。
これも「光るものはNG」というお葬式のルールがありますので注意してください。
・ピアスは絶対にNG
ネクタイピンですら「アクセサリーとみなされるためNG」となっているのですから、どんな小さなサイズであってもお葬式会場でピアスをつけているのはマナー違反です。
必ず取ってください。
・ヘアスタイルは「シンプル」
ヘアスタイルに決まりはありませんが、フォーマルなシーンに似合うようにきちんと髪型を整える必要はあります。
ただしお葬式ですのでオシャレはNGです。
あくまでもシンプルなスタイルにしましょう。
ちなみに男性でもパーマをかけている場合は注意が必要です。
パーマをかけている場合は髪型にボリュームが出てしまいます。
これは「華美な装飾」と判断されてしまいますので、ヘアワックスなどを使ってボリュームを抑えたすっきりとしたスタイルにするようにしましょう。
お葬式の服装で女性親族の服装のポイントと注意点
・スカートの丈は「膝が隠れる」が基本
スカートの丈は「膝が隠れる長さ」とするのが基本です。
スカートの長さが長くなるほど上品な印象に見えますので、年齢が上がるほどスカートの長さは長くなると考えておいた方がよいです。
ただしどんなに短い場合であっても、ひざ下丈となります。
膝が見える長さだと「肌の露出が多い」と判断されてしまうのでNGです。
これはスカートでもワンピースでも共通していますので十分気を付けてくださいね。
・アクセサリーは基本的につけない
お葬式では基本的にアクセサリーはNGです。
「涙を連想させるもの」であればお葬式に身に着けてもマナー違反となりませんが、パール・オニキス・黒珊瑚などいずれも高価な宝石です。
もしもこれらのものであれば身に着けたとしてもマナー違反とはなりませんが、つけ方にはルールがあります。
ですから身につけないようにしておく方が無難です。
ただし結婚指輪は例外です。
結婚指輪は一度付けたら外すという前提がないですよね?
ですから結婚指輪は一般的なアクセサリーとは同じ扱いとして考えないのです。
・真珠のネックレスは一連巻のみ
お葬式で身に着けても良いとされている真珠のネックレスですが、つけ方は一連巻のみです。
長さによっては2連巻・3連巻が出来る長さのネックレスもありますが、お葬式では「不幸が重ならないように」という意味があるため1連巻以外はマナー違反となります。
・バッグは小型または中型
親族の場合、お葬式場では「親族席」に着席します。
つまり一般弔問客用の一般席とは区別されています。
また移動の際も喪主や遺族の後をついて移動していきますので、一般弔問客から注目されることも多いです。
そのような立場にあるのが親族ですので、カバン一つとってもマナー違反とならないようにきちんとお葬式に適したバッグを準備します。
お葬式用のバッグの基本は小型または中型のハンドバッグです。
荷物が多い場合はサブバッグを使うのが一般的です。
いずれのタイプも「色は黒」「光沢がない」「階な装飾が付いていない」の3条件は守る必要があります。
・タイツはNG
冬のお葬式の場合は寒さ対策として黒タイツを履いている親族の姿をよく見かけますが、これはマナー違反です。
正しくは黒いストッキングをつけるべきであって、同じ黒でもタイツはNGなのです。
これは世間一般のイメージと関係します。
ストッキングは透け感がありフォーマルなシーンに身に着けるアイテムという認識があります。
でもタイツはどちらかというとカジュアルな服装に合わせてつけるものですよね?
つまり「おしゃれをしている」と判断されてしまうのです。
もちろんしきたりや風習がほとんどない地域であれば、最近は「冬の防寒用としてタイツでもマナー違反ではない」とする考えもあります。
ただし本来はNGなのですから、しきたりが厳しい地域でタイツを履いていれば「マナー違反」と指摘されますよ。
まとめ
お葬式では親族の服装は準喪服が基本です。
ただし服装のマナーは身に着けるものすべてに細かなルールがあります。
あくまでも親族としてお葬式に参加する以上、一般弔問客に対して不快な思いを刺せないことが大前提にあります。
ですからお葬式の服装には面倒なルールも多いですが、一つひとつのポイントを抑えていけばマナー違反にはなりません。
ぜひ正しい装いでお葬式に参加するようにしてくださいね。