お葬式のバッグ選びは「マナー違反にならないこと」が大事なポイントです。
フォーマルなセレモニーですから喪服にあったバッグ選びをする必要はあるのですが、革製品のバッグはグレーゾーンにあたるので選び方次第でマナー違反となってしまいます。
では革のバッグはどんな点に注意をすればよいのでしょうか?
お葬式の基本的なマナーと合わせてわかりやすく解説します。
お葬式に持っていくバックが革製品だとマナー違反に!
バッグで高級なイメージがあるといえば「本革のバッグ」ではないでしょうか?
確かに本革のバッグは独特の光沢がありますし、どの動物の皮を使っているのかによっても見た目の風合いや使いやすさが変わってきます。
ただしお葬式のフォーマルバッグとして革製品を使うのは、実はマナー違反なのです。
その理由は「革のバッグの作られ方」にあります。
そもそも革のバッグということは、何らかの動物の皮を使って作られているということですよね?
では素材となる皮を手に入れるためには何が必要でしょうか?
それはその動物の命です。
革製品の素材となる動物といえば「牛」「羊」が多いですよね?
でもそのほかにも「ワニ」「ヘビ」「馬」なども革製品の素材となる動物です。
素材となる動物の種類によって「コードバン(牛の皮)」「シープスキン(ヒツジの皮)」「パイソンレザー(ヘビの皮)」「クロコダイル(ワニの皮)」などと呼ばれます。
また同じ動物であっても年齢によって革の種類が変わるものもあります。
その代表が「牛の皮」です。
牛の皮には「ハラコ」「カーフ」「キップ」「カルビン」「カウ」「ステア」「ブル」「ジナマ」の8種類あります。
この中で最も年齢が低い牛から採っているのが「ハラコ」です。
ハラコは胎児や死産児の牛の革です。
さすがに皮を取るために生まれたばかりの子牛を殺すことはできません。
ハラコは何らかの理由で死産してしまった子牛や、出産前に母親が死亡してしまいそれと共に死亡した子牛を使います。
このような子牛のことを「腹子」と呼ぶので、革の呼び方もハラコとなります。
このようなケースは非常にレアなので、市場に出ることはありません。
そのためハラコのバッグを見たことがある人はほぼゼロなはずです。
牛革の中で最も上質といわれているのが、生後6か月以内の子牛を使ったカーフです。
きめの細かい革なので8種類ある牛側の中で最も高値で取引されます。
高級ブランドショップなどで使われている革製品などがこれに当たります。
一般的に本革牛バッグとして使われるのは、生後2年以上たった牛です。
「ステア」と呼ばれている素材なのですが、生後半年までに去勢をした雄の牛に限られます。
去勢せずに2年以上たった雄の牛の皮は非常に硬いので、靴底の素材として使われます。
いずれにしても革製品の素材を手に入れるためには、その動物の命が必要なのです。
これが「革製品はお葬式でNG」といわれる本当の理由です。
お葬式は人の死を悼むために行うセレモニーです。
そんなセレモニーに動物の命と引き換えに作られた革のバッグをもって参加するというのは、やはりどう考えてもおかしいですよね?
一般的に「お葬式に革製のバッグは殺生を連想させるからマナー違反」といわれていますが、「殺生を連想」という言葉だけでは何となくこじつけのような感じがしますよね。
それだけに「光沢のない革バッグはOK」という意見も見られます。
でもこの言葉の本当の意味を深く追求していくと「動物の命を奪って作ったバッグで、人の死を悼むセレモニーに参加するのはいかがなものか?」という疑問があなたにも自然に浮かんでくるはずです。
とはいえこうした考え方も時代と共に少しずつ変化してきています。
ただしお葬式では時代の考え方とは違っていても、古くからの慣習やしきたりを大事にします。
これが日本の文化でもありお葬式の考え方でもあります。
こうしたお葬式にまつわる慣習やしきたりをどのように受け止めるかはあなた次第ですが、「周りからマナー違反といわれたくない」と思うのであれば革製のバッグは避けるべきですよ。
お葬式に持っていくのにふさわしくないバッグは!?
お葬式はフォーマルな服装で参加することが基本です。
ただし結婚式のようなお祝いのセレモニーではありませんので、結婚式ではOKであってもお葬式ではNGとなるものも多いです。
・光沢があるものは原則NG
結婚式の場合は華やかさがあるフォーマルスタイルが求められます。
これは「お祝いのセレモニー」となるので、革製品のバッグでも特に問題はありません。
どちらかというとお葬式を連想させるような地味なバッグはNGとなるので、革製品であっても華やかさのある物を選びます。
ところがお葬式ではこの常識は通用しません。お葬行の服装では「光沢があるものはNG」というルールがあります。
そのため光沢がある革製のバッグはマナー違反となるのが一般的です。
またどのような素材で作られている革のバッグであっても「殺生を連想する」といわれているので、避けるのが本来のマナーです。
そのためお葬式のフォーマルバッグは布製のものを選ぶのが基本です。
・金具が表についているものはNG
金具は光を反射させます。つまり「光沢がある」と判断します。
ですからバッグの表面に金具がついているものはNGです。
見落としがちなのがファスナーの存在です。
少し大きめのバッグの場合、カバンの中身が見えないように取り出し口にファスナーがつけられていますよね?
でもこのファスナーは表からも見えるので、お葬式用のバッグとしてはNGです。
ちなみにお葬式用のバッグの場合は留め具もカバンの内側に取り付けられています。
ですから表からは金具は見えないようになっています。
ただし底の部分に金具がついているものは問題ありません。
カバンを置いた時に底の部分が汚れないようにするための金具ですし、手で持っている状態でそこに取り付けられている金具は見えません。
ですからこれは表側についていても問題ありません。
・大きすぎるバッグはNG
荷物が多いとどうしても小さなハンドバッグだけでは荷物が収まらないですよね?
特に女性の場合は化粧直しなども必要ですし、喪服にもポケットはついていません。
ですから男性用のジャケットのように内ポケットに香典を入れるということはできません。
でもだからといって大きめのバッグをお葬式用のバッグとして使うのはNGです。
式場に持ち込むことが出来るのは、フォーマルバッグとサブバッグの2つまでです。
お葬式用のサブバッグは、折りたたむことが出来る(コンパクトに収納が出来る)ものに限ります。
荷物が多い時に使うこともできますが、返礼品を持ち帰るときの為に持っていくこともあります。
このような場合は必要な時にだけ取り出しが出来るように、通常は折りたたんでフォーマルバッグの中に入れておきます。
ちなみに明らかに大きなリュックサックやトートバッグなどはサブバッグとしては認められません。
このようなバッグは式場に入る前にクロークに預けるか、施設内のコインロッカーを利用するのがマナーです。
お葬式に持っていくバッグはブランド物を避ける
「ブランドバッグであれば問題はないのでは?」と思うかもしれません。
確かに見た目の印象でいえば布製のフォーマルバッグよりもブランドバッグの方が格上に見えます。
ただしブランドバッグの場合、ロゴが大きく入っているものやオシャレの要素が強いデザインのものが多いですよね?
これはさすがにお葬式用としては使うことはできません。
もちろんフォーマルウェア専門のブランドショップはあります。
このようなブランドショップであればブラックフォーマルとしてマナー違反となる要素は全て省かれています。
ただしこの場合は「日本のブランドである」ということが大事なポイントになります。
お葬式の服装のマナーは昔ながらのしきたりや日本の古い慣習と深く関係しています。
海外であればお葬式でもマナー違反とならないバッグでも、日本の常識ではマナー違反となるものもあります。
どうしてもブランド品にこだわりたいのであれば、日本のお葬式の文化もよく理解したうえで制作される日本のブランドショップで購入することが大事なポイントといえるでしょうね。
まとめ
革製のバッグはどの素材であっても動物から採られるものなので、「殺生を連想=縁起が悪い」となります。
靴に関しては革製品でも問題ないとされていますが、バッグに関しては未だに「NG」とすることが多いです。
お葬式のマナーは時代とともに変化しています。
ですから将来は「バッグに革製品はNG」という考えも変わっているかもしれません。
ただし今のところ日本のお葬式では革のバッグをもって参加するのはマナー違反とみなされます。
ですから「絶対に服装のことで文句を言われたくない」というのであれば革製バッグは避けましょうね。