お葬式には様々な手伝い係がありますが、中でも若い親族が頼まれやすいのが「受付係」です。
受付係はお葬式会場の入り口で最初に弔問客と接する大事な係ですので、やはり親族の中でも故人と近い人が頼まれることが多いです。
でもお香典の受け取りや挨拶、マナーなどいろいろと気になることが多いですよね?
そこで今回は初めて受付係を頼まれてもこれだけ知っていればマナー違反にならない、お葬式の受付係の基本についてわかりやすく解説していきます。
お葬式の受付係のマナーって!?
受付係といっても、大きく分けると3つに分かれます。
最も重要なのが、香典を管理する会計責任者です。
お葬式の香典額は地域や故人との関係によっても変わりますが、すべて合わせるとかなりの高額になります。
大きなお葬式ともなれば香典の総額が100万以上にもなります。
そのためお金を管理する責任者として、必ず会計責任者を1名付けます。
その他にも受付係には、「弔問客に直接対応する係」と「芳名録に記帳をする係」があります。
最近人気がある家族葬の場合は親しい親族を含め20~30名程度のお葬式なので、記帳係を省くこともあります。
ただし一般的なお葬式の場合は、混雑を避けるためにも必ず記帳係を準備します。
最後が、10~20代の孫や親族が担当する接客担当の受付係です。
お葬式会場に足を運んでいただいた参列者に対する挨拶という意味もありますので、基本的には故人と血縁関係のある親族が担当します。
お葬式の受付係の中で最もマナーが重視される係が接客担当者となるので、ここではお葬式にまつわるマナーを理解しておくことが大切になります。
接客担当を任された場合は、香典の受け取り方だけでなく、挨拶の仕方、服装などにも知っておかなければならないお葬式のマナーがあります。
受付係で接客する時の基本的なマナーとは?
お葬式会場で最初に参列者が親族と接触するのが受付ですから、接客担当として受付係をお願いされた場合には次のような点に注意しましょう。
・服装
親族として受付係を頼まれたのであれば、お葬式における正しい服装をするのがマナーです。
男女によってポイントが異なりますので、男女別でポイントと注意点を紹介しましょう。
★男性の場合の服装
①準喪服
遺族席から離れることが出来ない家族に変わって弔問客の対応をするわけですから、喪服を着用するのがマナーです。
ただし遺族ではありませんから、正式な喪服をつける必要はありません。
準喪服とされるブラックスーツでOKです。
ただし光沢があるブラックスーツは、お葬式としてはマナー違反です。
普段使っているブラックスーツであっても、光沢のないものを選んで着用しましょう。
ベストは、着けていても着けていなくても問題はありません。
②ネクタイ
黒のネクタイが基本です。
最近は100均ショップでも、お葬式用の黒いネクタイを取り扱っていることが多いです。
③シャツ
白のワイシャツが基本です。
ボタンに色がついている物やデザインがあるタイプのものは、白いワイシャツでもお葬式としてはNGです。
④靴下
無地の黒い靴下を着用します。
式場によっては和室で法要を行うこともあります。
お葬式の受付だけのためだけに参列するのであれば問題はありませんが、親族の場合はお葬式以外のセレモニーにも立ち会いますよね?
ですから「どうせ靴を脱ぐこともないだろうから大丈夫」という考え方ではダメなのです。
⑤靴
黒の革靴が基本です。
ただし結婚式で履くようなツヤツヤした革靴は、お葬式ではNGです。
冠婚葬祭用として黒い革靴を1足準備するのであれば、結婚式でもお葬式でも使うことが出来るストレートチップのデザインを選ぶのがおすすめです。
★女性の場合の服装
女性の場合は特に小物やバッグ、アクセサリーに注意が必要です。
・準喪服
ワンピースタイプのフォーマルスーツを身に付けるのが基本です。
お葬式ですので夏でも肌の露出は避けるのが基本です。
黒のパンツスーツで代用することもできますが、親族として受付係をする場合は出来るだけフォーマルスーツを身に付けるのが良いでしょう。
フォーマルスーツがない場合は、お葬式屋さんに相談すれば提携している貸衣装屋からレンタルすることもできます。
もちろん有料ですが、幅広いサイズに対応していますのでわざわざお葬式のためだけにフォーマルスーツを買うよりも便利です。
ただし直接肌に身に付ける下着やストッキングは、別途準備する必要があります。
・ストッキング
お葬式の場合は黒のストッキングを付けます。
必ずうっすらと肌の色が透けて見える程度の厚さのものを選んでください。
タイツはいくら色がブラックでも、お葬式としてはNGです。
もちろん柄が入ったものは、ブラックストッキングであってもNGです。
注意しておきたいのは、ブラックストッキングの場合伝線するとかなり目立ちます。
ですから必ず予備のストッキングを用意するようにしてください。
・アクセサリー
結婚指輪以外のアクセサリーは基本的に禁止です。
お葬式では「パールのネックレスはマナー違反ではない」とされていますが、これも1連のパールネックレスのみです。
2連、3連のものは「不幸が重なる」という意味になり、縁起が悪いとされています。
また透明タイプのピアスも、お葬式の時には必ず外します。
遺族の代わりに弔問客に挨拶するという立場ですから、「受付係を頼まれたらどんなアクセサリーも身に付けない」と思っておいた方が良いでしょう。
・バッグ
黒いバッグが基本ですが、お葬式の場合で「革製の黒バッグ」はNGです。
シンプルな布製のハンドバッグを持つようにしましょう。
デザインがシンプルでも金具が派手なものはNGです。
・靴
光沢があまりない黒のパンプスが基本です。
デザインに特徴がある靴やヒールの高い靴はNGです。
ストラップがついているデザインはマナー違反ではないのですが、金具が目立たないものでなければマナー違反となります。
・挨拶の仕方
弔問客が受付にやってきたら、顔を見て一礼します。
その後「本日はお忙しいところご参列いただき、ありがとうございます」「本日はお忙しい中ご足労頂きましてありがとうございます」などと挨拶をします。
受付係の挨拶に対して弔問客も弔意の挨拶をしますので、それに対しても「お心遣いありがとうございます」または「ありがとうございます」と返答します。
・香典の受け取り方
香典を受け取る場合は、両手できちんと受け取ります。
その際に「ご丁寧にありがとうございます」といって受け取りましょう。
受け取った香典は、会計責任者または記帳係へ渡します。
記帳係を頼まれた場合の注意点
記帳の担当者は直接参列者と接触するわけではありませんから、友人や知人が担当しても問題はありません。
ただし記帳をする時には、香典の見方の基本を知っておく必要があります。
芳名録は後日、家族が葬儀の内容を確認するだけでなく忌明けの礼状を出す際などにも必要となります。
ですから芳名録の記録に漏れがあると、その分お葬式後の家族の負担が大きくなります。
・香典の見方
香典の書き方は、弔問客が準備した香典袋の種類によって違います。
そのため記帳の際に必要となる「弔問客の名前」「住所」は香典袋の種類によって書かれている場所が異なります。
★香典の金額が大きい場合の香典袋
香典袋は、中に入れる金額によって異なります。
金額が大きい場合は、内袋がついている香典袋を利用します。
この場合は、香典袋の外包みの下段に弔問客の名前が書かれています。
弔問客の住所は内袋にかかれていますので、外袋を開けて住所を確認します。
★一般的な香典袋の場合
外袋のみのシンプルな香典袋の方が、一般的といえます。
この場合は袋表の下段に弔問客の名前が書かれています。
弔問客の住所は、香典袋の裏側にかかれています。
まとめ
受付係は、式場の遺族席から離れることが出来ない遺族の代わりに弔問客の対応をする大切な係です。
ですから言葉遣いはもちろんですが、服装や挨拶なども「遺族代理」という意識で行うことが大切です。