お葬式のマナーには、服装に関するものもあります。
これはお葬式がフォーマルなシーンであることと関係します。
フォーマルシーンには必ずドレスコードがあります。
ドレスコードには、身に着ける服だけでなく足元の靴にもルールがあります。
ただお葬式は年に何度も参加するものではありません。
20~30代であれば「一度も参加したことがない」という人もいるはずです。
でもお葬式の靴は「黒い靴であればよい」というわけではありません。
素材やデザインによってはNGとなるものもあります。
その一つが「エナメル」です。
ではなぜお葬式でエナメルの靴はNGなのでしょうか?
今回はこの疑問の答えをわかりやすく解説!
お葬式でNGとなる靴の代表例や正しい靴選びについても併せて紹介していきます。
お葬式にはいていく靴でエナメル製はマナー違反!
お葬式でエナメルの靴を履くことはマナー違反です。
これは「色」の問題ではありません。
またデザインの問題でもありません。
実はエナメル特有の光沢が問題なのです。
・どうしてエナメルの靴はマナー違反なの?
エナメル素材の靴は、革にエナメル加工をしたものを使っています。
エナメルの靴というと安っぽいイメージがあるかもしれません。
でもそれは違います。
使われる皮の種類にもよりますが、高級な本革を使用しているエナメルの靴だと一足数万円以上するものもあります。
例えばブランドショップに並ぶエナメルの靴だと本革をベースにしているのでかなり値段も高いです。
ただ近所のシューズショップなどでよく並んでいるエナメルの靴は合皮をベースにしているので、値段も安いですし見た目もやはり安っぽさを感じます。
でもお葬式でのエナメル靴は「安っぽく見えるからダメ」ということではありません。
エナメルの靴がお葬式でマナー違反といわれるのは「エナメル加工特有の光沢感」が理由にあります。
エナメルは皮の表面にエナメル樹脂でコーティングしているので、新品の本革靴とはまた違った光沢感がありますよね?
この違いを表現するのがちょっと難しいのですが、本革の光沢を「重厚感がある上品な光沢」とするならば、エナメルの光沢は「本革の光沢感を真似た人工的な光沢」というところでしょうか?
この「人工的な光沢」というところが、わかりやすく言えばマナー違反といわれる理由といえます。
そもそもお葬式ではオシャレをする必要はありません。
また式場内で目立つようなことをしてもいけません。
お葬式の主役は亡くなった故人だけであり、故人以外は喪主を含む遺族・親族であっても主役にはならないのです。
そんなフォーマルで特殊なセレモニーの場であなたの靴が光を受けて反射したとしたら、その場にいる人の視線はきっとあなたの方に向くはずです。
つまり「主役でもないのに注目を集める」ということになります。
これではお葬式の主役である故人に失礼です。
またお葬式は結婚式のように華やかなセレモニーではありません。
ですから光るものを身に着けるということはNGです。
だから「エナメルの靴はNG」といわれているのです。
もちろんエナメルの靴に限らず、カバンなどの小物でもエナメル加工されているものはNGです。
・どうして革製品は光沢があるのにマナー違反にならないのか?
エナメルの靴が「光沢があるからマナー違反」というのであれば、同じく光沢がある革の靴もNGになるのではないかと思うかもしれません。
あなたのこの疑問は「正しい解釈である」ともいえますが「間違った解釈である」とも言えます。
まず「正しい解釈だ」という部分から理由を説明しましょう。
お葬式の服装では「光沢があるものは避ける」というルールがあります。
そのため喪服のジャケットやネクタイなども光沢があるものはNGですし、女性のハンドバッグも光沢があるカバンの場合はNGです。
ですから革製品であっても光沢があるものはマナー違反になります。
では次に「間違った解釈だ」という部分の理由を説明しましょう。
わかりやすく解説するために、お葬式と同じくフォーマルなセレモニーとされる結婚式の服装を例に挙げてみます。
結婚式は1組の男女が正式な夫婦となり、そのことを家族や親族、友人などお付き合いのある方々に報告するためのセレモニーです。
参加する場合はお祝いの席に合う華やかな装いをするということがマナーになります。
ここで使った「華やか」という言葉にはいろいろな解釈が出来ます。
明るい色を選ぶだけでも華やかに見えます。では明るい色のカジュアルな普段着は結婚式の服装としてはどうでしょうか?
これも「華やかな結婚式用の服」と言えるのでしょうか?
答えはNOですよね?
その理由は「フォーマルなセレモニーに参加する服装としてふさわしくないから」です。
明るい色は確かに華やかな印象に見えます。
でもカジュアルな普段着は「フォーマルなシーンのドレスコード」には合いません。
これはお葬式でも同じです。
お葬式も結婚式と同じようにフォーマルなセレモニーですから、ドレスコードに合わせるということが大事になります。
しかも人との別れのセレモニーなのですから、結婚式以上に厳粛なセレモニーになります。
だからこそ正しい服装で参加することが参加者としてのマナーなのです。
正装となれば、足元は革靴になります。
確かに革製品は独特の光沢があります。
ただし「フォーマルなシーンでは革靴を履くのがマナー」とされています。
ですから革製品独特の光沢はありますが、お葬式では革靴を履くのが正しいマナーになるのです。
お葬式でマナー違反となる靴は他にもある!
・運動靴
喪服に黒い運動靴を履いている人を見かけますが、これはNGです。
ただし「歩行に問題がある」「高齢で履きなれた靴以外だと体に負担がかかる」などの場合は運動靴でも構いません。
このような事情がある場合は、黒以外でも明るい色でなければ問題ありません。
また介護用シューズの場合は色の指定なども特にありません。
歩行に不安がある人や高齢者の場合は「安全に参加できること」を最優先してください。
ちなみに子どもの場合は運動靴を履くのがマナーです。
子どものお葬式での服装は「こどもらしい服装」となるので、わざわざ革靴を買うよりも運動靴を履かせた方が見た目の印象も良いです。
・サンダル
フォーマルなセレモニーの席にサンダルで参加するのはマナー違反です。
しかもお葬式ですので、裸足で靴を履くということはあり得ません。
もちろん夏のお葬式でもサンダルはNGです。
・アニマル柄の靴
お葬式にアニマル柄の靴はNGです。
カジュアルな靴として見られるだけでなく、「殺生」を連想させるため縁起が悪いといわれています。
・ヘビ革の靴
同じく「殺生」を連想させるヘビ革の靴は「縁起が悪い」とされているためNGです。
・スェードの靴
スェードの靴は「カジュアルな靴」と認識されています。
また独特な光沢があるので、黒いスェードであってもNGです。
・黒色以外の靴
お葬式の靴は原則「黒い色」です。
子供の場合は例外ですが、喪服を着るのであれば靴は黒い色を選びます。
ただしやむを得ない事情があってスーツを略喪服として参加する場合は、明るすぎない色の靴であれば一応許容範囲内とみなされます。
・ローファー
ローファーは「フォーマルな服装には適していない」というのが一般的な考え方です。
アメリカではフォーマルな装いにローファーを合わせても問題ないのですが、その他諸外国ではこの組み合わせはルール違反だと考えます。
そもそもローファーはスリッポンの一種になりますし、ルーツをたどると室内用シューズまたは作業靴として作られています。
ですから喪服にローファーを合わせるのはマナー違反と考えておいた方がよいです。
ちなみに子どもの場合はローファーでも問題ありません。
普段学校に行くときと同じであれば問題ありません。
ただし普段は運動靴を履いているのであれば、お葬式のためにわざわざローファーを買う必要はありません。
無地でシンプルな運動靴であればOKです。
お葬式での男女別の正しい靴選びのポイント
・男性の場合
男性の場合は、黒い革靴(合皮でもOK)を選びます。
デザインはストレートチップまたはプレーントゥが良いです。
どちらもフォーマルシューズですし一足あればお葬式だけでなく結婚式でも使うことが出来ますので、喪服とセットで準備しておくと良いですよ。
・女性の場合
女性の場合は、黒い革製(合皮でもOK)のヒールまたはパンプスです。
光沢があるものは避けてください。
ハイヒール(かかとの高さが7cm以上のヒール)は略喪服の場合のみOKです。
一般的にはかかとの高さが5㎝未満のヒールを選びましょう。
ちなみに正喪服を身に着ける場合は、革製ではなく布製の方が格上とされます。
またヒールではなくパンプスの方がより上品に見えます。
まとめ
エナメルの靴は、黒い色であってもお葬式ではマナー違反になります。
あくまでもお葬式はフォーマルな装いで参加することが求められます。
ですからカジュアルな要素があるエナメルの靴はNGです。
他にも華美な装飾があるものや独特なデザインをしている靴なども「オシャレをしている」と判断されます。
ですからこれもNGになりますよ。