生前整理は物を整理するだけではありません。
財産の整理も必要ですし今後の生活についての準備も同時に進めていかなければいけません。
そしてなによりも「心の整理」が必要になります。
生前整理をどのようなやり方で進めていけば良いのか、年代別に解説していきます。
生前整理は年代別に取り掛かる順番・やるべきことが違う
実際に生前整理を進めていくときに最大の難問となるのが「心の整理」です。
これはあなたの年齢によっても課題が変わってきます。
心に向き合うということは思っている以上に精神的に疲れます。
もしかしたら物を処分する肉体的な疲労よりもずっと厄介な存在かもしれません。
でもこれを避けては本当の意味での生前整理はできません。
40代の生前整理のポイント
40代は社会的にも人間的にも最も活動域が広い年代です。
体力的にはやや衰えを感じるでしょうが、それを補うために健康に気を使ったり体力維持のために運動を始めることもできる年代です。
でもその半面でこれまで見てこなかった将来の不安を感じるようになります。
あなた自身の健康や家族の将来のことかもしれません。
マイホームを購入するのも丁度この時期ですから、住宅ローンの返済のことで頭がいっぱいになっているかもしれませんね。
さらにいつまでも元気だと思っていた親の老いに気が付くきっかけが起きるのもこの時期です。
そんな40代の生前整理のポイントは「今をどう整理するか」です。
将来のことを考えれば不安な気持ちが消えることはありません。
それどころかどんどん不安が増していくはずです。
でも「今」という瞬間はあなたにも考えることが出来るはずです。
難しく考えないでください。
「今」という範囲を決めるのは自由です。
直近の1年間のことを「今」といっても構いませんし、今日一日のことでも構わないのです。
その代りあなたがイメージする今を考えるには、過去を振り返ることが必要になります。
そのうえで今、何をするのかを考えます。これが40代の生前整理であり大事なポイントになります。
50代の生前整理のポイント
50代はたくさんの旅立ちに出会います。
子供の結婚・独立に立ち会うのも丁度この年代です。
また社会との旅立ちにも出会います。
仕事と老後の時間について考える時間が増えるのもこの時期なので、会社勤めをしているのであれば「退職」という2文字を意識するようになります。
場合によっては早期退職をあなた自身が選択するかもしれませんし、あなたの同僚が早期退職をして職場から去っていくのを見送ることになるかもしれません。
親とのかかわり方も変わってくるでしょう。
高齢となった親とどのように向き合うのかを考える時期に来ています。
また本格的な介護を必要としていなかったとしても、相当くない時期に親が介護を必要となるということは意識するようになるでしょう。
これをすべてひとくくりで「旅立ち」と表現すると、その旅立ちにかかる費用をどのように準備するのかが50代の大事なポイントなります。
いずれのシーンでもかかわるお金の金額は大きいです。
それをどのように準備し、またどのように活用していくのかを考えることが50代の生前整理の最大のポイントとなります。
60代の生前整理のポイント
社会とのかかわり方に大きな変化が出るのが60代です。
60~65歳で定年退職を迎えます。
退職金は人生で最後のボーナスになりますから、どのように活用するのかを考えなければいけません。
また年金の受給タイミングについても考える時期でもあります。
もしも受給開始を70代にするのであれば、受給されるまでの暮らし方も考えなければいけません。
「再就職をする」「貯蓄からやりくりをしていく」「その他の方法を考える」…。
いずれにしても暮らし方について真剣に考えなければいけません。
また親の介護もこの年代になると大きな負担になります。
経済的な負担だけでなく時間や精神的な負担もかかります。
こうした問題にどのように対処するのか、またどのように準備をしていくのかを整理していくことが60代の生前整理のポイントです。
70代、80代の生前整理のポイント
70代、80代の生前整理のポイントは「過去の整理」です。
あなたの人生の中で積み上げてきた様々な物事に一つひとつ向き合い、必要なものと不要なものを見分け残すものはきちんと整理して誰かに託さなければいけません。
もっともこれは「物を整理する」「財産を整理する」ということも含まれますが、一番大切なことは「なぜ生前整理をする必要があるのか」という質問にあなたなりの答えがなければいけないことです。
「整理をすることによってあなたが何を得たいのか」ということも大事になります。
また「誰のために整理をするのか」ということも重要です。
その答えによってやるべきことや手順も変わります。
やらなければいけないことの例を挙げればきりがありません。
何しろそれだけあなたの人生には意味があり、たくさんのつながりを持っているのです。
そのままの今の状態のままでもあなたの生活には何の支障もないはずです。
それなのにあえて生前整理をするというからには、何か意味がなければやり遂げることはできません。
まずはあなた自身がなぜ生前整理をしたいのかを考えましょう。
「周りの同年代の友人たちが始めているから」という漠然とした答えでは決してうまくいきません。
それどころか疲れがたまるだけで、やっていてストレスを感じてしまいます。
毎日笑顔で日々を過ごすことが何よりも大事な時期です。
だからこそ慌てずにまずはあなたの心に問いかけることから始めましょう。
心の整理をつけるという作業は思っている以上に大変です。
でもあなたの年代になると心の整理が生前整理のポイントになります。
お金の不安は公的制度の利用で解決できることがたくさんある
生前整理をするということは、少なからずあなた自身の老後を意識しているということですよね?
「退職して仕事が亡くなったら収入もなくなるのに、病気やお金がどんどん必要になる」と考えていると、考えるたびに気持ちが沈んでいきます。
でもお金の不安は公的制度の利用で解決できることもたくさんあります。
その一部を紹介しましょう。
・後期高齢者医療制度
75歳以上が対象になる医療費補助制度です。
医療費の自己負担額が変わりますので、老後の医療費を考える時にはこの制度を利用します。
・高額療養費制度
予め算出された医療費の上限額が肥えた場合に、医療費を還付してもらうことが出来る制度です。
医療費の計算は月単位となりますが、入院や長期外来が必要となったときなどに活用すると自己負担が減ります。
・失業手当
雇用保険に加入していた場合が対象ですが、早期退職や定年退職後に再就職を考えているのであれば申請すると、最大給料日額の約80%が支給されます。
・住宅リフォーム助成制度
自治体によって実施内容が変わりますが、老朽化した自宅のリフォームでも申請が可能です。
基本的にリフォームにかかった費用の一部が助成されます。
・遺族基礎年金
年金に加入していた世帯主が死亡した場合に、残された家族に支払われます。
特に20歳未満の子供がいる場合には支給額が増えます。
物の整理は判断がつくうちにしておくのがポイント
家の中にあるたくさんの物の整理は、肉体的にも精神的にも大変な作業です。
明らかに壊れている家具や家電であれば処分すればよいだけなのですが、厄介なのが「思い出が詰まったもの・写真」です。
思い出の品は残された家族が最も処分に困る
遺品整理の現場で依頼者である家族が一番困るのは「故人の思い出の品の処理」です。
遺品整理スタッフにとっては「処分してください」と言われればその通りするだけなので特に何も問題はないのですが、中には明らかに故人が大切にしていたと思われる品物や人形、賞状などが出てきます。このような場合には必ず依頼者にどうするのか確認をするのですが、この質問の答えがすぐに返ってこないケースがよくあります。
家族にも思い出がある品物であれば遺品として持ち帰るケースが多いのですが、家族にはなぜ大事にしていたのか分からない品物の場合は判断に困るようです。
それはそうですよね?処分するのは簡単ですが、そうすると大事な人の想いまで処分してしまうような気になってしまうからです。
だからあなたにとって思い出が詰まった品物は、あなたが判断できるうちに処分するか保管するかを決めておく必要があります。
これはとても簡単なようですが、判断をするあなたにとっては心の負担が大きな作業です。
写真の処分はあなたの責任で行おう
あなたの手元にある写真の中には、家族も知らないあなたの祖父母やすでに亡くなった古い友人の写真も含まれているはずです。
比較的新しい写真だとあまり問題はないのですが、年代の古い写真は処分に困るという人が多いです。
特にそれが人物写真の場合「処分して何か悪いことが起こったらどうしよう」と思う遺族が多く、わざわざ処分のためにお寺や神社などでお焚き上げようを納めて処分してもらう人もたくさんいます。
これは間違いなく残す家族の負担になります。
ですからあなたの手元にある写真の整理は、あなた自身の手で進めるようにしてください。
特に古い写真の処分は残す家族には判断できないものですので、あなたの判断できちんと整理・処分をするようにしましょうね。
まとめ
今回は年代別に生前整理のポイントをまとめてみましたが、いずれの場合も「なぜやる意味があるのか」という問いにあなたなりの答えがないと絶対に失敗します。
一度挫折してしまうと、もう一度向き合うということが難しくなります。
ですから「周りがみんな始めているから」という理由だけでやるのは危険です。
慌てる必要はありませんから、きちんとあなた自身で心の整理をつけてから始めるようにしてくださいね。