悠々自適なおひとり様ライフを楽しんでいても、ふと何かのついでに「自分のお葬式ってどうなる?」と考えてしまうことってありますよね?
もちろん「まだ若いんだしもう少ししてから考えればいいかな?」と先延ばししているおひとり様もたくさんいます。
でも賢いおひとり様ほど「早めに終活を始めている人が多い」ってご存知ですか?
なにしろこれから先のことなど、誰にもわかりません。
今は元気で病気なんてしたことがないあなたでも、いつ病気になってその日が来るかはわかりません。
もしかしたら痴ほう症になって自分で判断できなくなってしまうかもしれません。
でも漠然と不安は持っていたとしても「おひとり様のお葬式ってどうやってすればいいのかわからない」という人の方が圧倒的に多いはずです。
そこで今回は、おひとり様の終活でやっておくべきお葬式の準備についてわかりやすく解説していきます。
おひとり様の終活
「おひとり様のお葬式」にもいろいろなケースがあります。
一つは「本当に家族やきょうだい、親族がいない場合」です。
この場合はまさに「おひとり様のお葬式」となります。
でも家族がいても「高齢で自分のお葬式のことを頼めそうにもない」という人や「家族やきょうだいはいてもすでに絶縁している」という人の場合も、広い意味で「おひとり様のお葬式」になります。
このような場合には問題を先送りにするのではなく、元気できちんと判断が出来るうちに自分でいろいろなことを決めておく必要があります。
でもそんなに難しく考える必要はありません。おひとり様の終活では、「病気になった時のこと」「お葬式のこと」「お墓のこと」の3つに分けて考えていくのがポイントです。
病気になった時のこと
病気になった時の費用については、医療保険などで様々な対策をとってきたはずです。
でも本当に大事なことは、病気が原因で死んだ後のことです。
現在の日本では、病院や老人ホームなどの医療施設で死を迎える人がほとんどです。
そして亡くなるとすぐに葬儀社の手配をしなければいけないのですが、その時点で誰に手配をしてもらうかが問題になります。
つまり「その時が来た時のことを誰にお願いしておくか」が問題です。
まずこのような場合に一番良いのは、信頼できる友人にあらかじめお願いをしておくことです。
お葬式は「血縁関係がある人でなければ喪主になれない」ということではありません。
あなたの友人や知人だって、事前に承諾してもらえるのであれば何も問題はありません。
ただしよほどの信頼関係にある人でなければ、死後の手配までお願いすることは出来ません。
でも「もしも友人の方が先に死んでしまったら…」という不安は残ります。
このような場合は、「第三者に正式な手続きをしてお願いをする」という方法があります。
お葬式のこと
お葬式には、葬儀当日に現金で支払わなければならない費用があります。
それが火葬料金です。
日本の今の法律では、火葬後に遺骨を埋葬することが義務付けられています。
そのためどのようなお葬式をするにしても、必ず火葬をする必要があります。
火葬場には公営火葬場と民営火葬場がありますが、生前にあなたが予約をすることは出来ません。
これは「死後24時間経過しなければ火葬することは出来ない」と法律で決められているからです。
そのため火葬場を予約するには、死亡診断書が発行されなければ予約することが出来ません。
つまりこればかりはあなたが事前に予約することが出来ないのです。
もちろん喪主をつとめてくれる人がいれば、遺産から差し引いてもらうことによって手配することは出来ます。
でも生前に口約束した程度では、実行されるかどうかはわかりません。
このような場合でも、「第三者とあらかじめ正式な契約をしてお願いしておく」ということで解決できます。
お墓のこと
お墓に関しては、あらかじめ自分で準備しておくことが出来ます。
ただし「誰が納骨してくれるのか」が問題になります。
残念ながらおひとり様のお葬式では、「お墓も買ったし永代供養もお願いした」だけではダメなのです。
何しろ「火葬=遺骨になる=お墓に入る」ではないのです。
誰かの手を借りなければ、いくらお墓を準備しても供養の手配をしても意味がありません。
またお墓の都合によっては、お葬式の当日に納骨が出来ない場合もあります。
その場合は、どこかの場所で遺骨を安置しておかなければいけません。
あなたが契約しているお墓が「納骨までの期間は無料で安置してくれる」というサービスがあればよいのですが、ない場合は別途遺骨の安置料が必要になることもあります。
もう少し深く考えてみると、お葬式を引き受けてくれた友人だって「遺骨を自宅で安置してくれるか」という不安が残ります。
お葬式の間はセレモニーホールを利用するという方法があるので、おひとり様であっても遺体の安置には特に問題はありません。
でも遺骨の一時安置場所となると、心理的な負担が友人にもかかってきます。
そのためお墓を準備したとしても、もしもの時を考えてきちんと納骨までの管理をしてくれる人をお願いしておく必要があります。
もちろんこの問題においても、解決法はあります。
ただし元気なうちに正式な契約を取り交わしておくことが大切です。
おひとり様のお葬式は「生前契約」がポイント
おひとり様の場合は、「信頼できる第三者と生前に正式な契約を済ませておくこと」が大切です。
もちろん「その時が来た時に安心できる」というメリットは大きいですが、それ以上に「費用や内容について自分で納得が出来る」「自分に合っている方法を選ぶことが出来る」の2つがメリットとして加わります。
戒名も位牌も生前に作ることが出来る
もしもあなたが仏教式でお葬式をしてもらいたいと思うのであれば、「生前に戒名を作って位牌も作っておく」という方法があります。
生前に戒名を貰うことを「逆修戒名(ぎゃくしゅうかいみょう)」といい、きちんとお寺にお願いすれば作ってもらうことが出来ます。
さらに戒名が決まれば、自分で位牌を作ることも出来ます。
生前に位牌を作ることは「逆修牌(ぎゃくしゅうはい)」といい、戒名の字は「生きていること」を意味する朱色で書かれます。
そして亡くなると朱色を取り除き、正式な位牌として完成します。
ちなみに逆修牌には「長寿」の意味があるといわれており、持っていた方が長生きするといわれています。
葬儀屋さんも生前契約できる
大手葬儀社では、火葬料金から納骨の立会いまですべてをセットにして生前契約するサービスがある業者もあります。
もちろん正式な契約を交わし支払いが完了すると、生前契約書を作成してくれるので安心できます。
もちろん生前契約の内容は業者によっても異なります。
参考程度ではありますが、「お坊さんを呼ばないおひとり様のお葬式」であれば、生前契約の費用は25~35万円が相場です。
「お坊さんを呼んで一通りの儀式をしてもらうおひとり様のお葬式」の場合は、40~50万円が相場となります。
死後事務委任契約をしておけば何も心配しなくて済む!
「死後事務委任契約」というのは、その名の通りあなたが死んだ後に発生する様々な事務手続きをすべて委任する契約のことです。
例えば病院で最後を迎えた場合、医療費の支払いという事務手続きが発生します。
またお葬式をするにあたっても火葬許可書や埋葬許可書の申請などの事務手続きもあります。
もしも生前にお墓の手配などを一切していなかった場合は、お墓や納骨、永代供養に関する事務手続きが必要になります。
それ以外にも、自宅の整理や家賃の支払い、あなた名義で契約したものの死後解約など様々です。
このような手続きを一手に引き受けてもらうためには、あなたが信頼できる第三者と生前に「死後事務委任契約」を交わしておく必要があります。
ちなみに死後事務委任契約は、「死後事務委任契約公正証書」にして公正証書役場に登記しておくことが大切です。
こうしておけば「契約した内容を実行する義務」が第三者には発生します。
証書の作成には作成手数料と正本謄本代がかかりますが、その分安心して任せることが出来ます。
死後事務委任契約は友人とでも大丈夫?
おひとり様の場合、万が一のことを考えて受任者(お願いする相手)を「弁護士」「司法書士」「行政書士」などにすることが多いです。
でも受任者は「個人」でも「法人」でも問題はないとされています。
ですからあなたの友人が受任者であっても、全く問題はありません。
お互いが納得しているのであれば、やはり死後事務委任契約証書を作成しておくことがおすすめです。
まとめ
おひとり様の場合は、何かと不安に思う事も多いかもしれません。
でもおひとり様だからこそ、早めに行動し自分できちんと判断できるうちに安心できる第三者にお願いしておくことが大切です。
でも「おひとり様のお葬式」だからといって、何も特別なところに相談する必要はありません。
まずはあなたが不安に思っていることを、第三者に相談してみることです。
相談相手がたとえ友人だったとしても、話すことによってあなたの状況を理解し助けになってくれるかもしれません。
ただし本当にあなたが安心したいというのであれば、口約束だけではダメ!
面倒でも正式な契約を交わしておくことが大切です。
それは引き受けてくれる人のためでもあり、あなたのためでもあるのです。