香典の表書きには、書き方にマナーがあります。
でも一番重要なのは「名前」です。
個人として香典を書く場合は基本的な表書きのマナーが分かっていれば問題はないのですが、連名や夫婦の場合は書き方に注意いなければいけないことがあります。
そこで今回は香典の名前の書き方の基本と併せて、連名・夫婦で香典を出す場合の名前の書き方のポイントを整理して解説していきます。
香典の名前の書き方って!?
香典を連名で準備するということは比較的よくあることです。
例えば夫の親族のお葬式の場合、妻も一緒にお葬式に参加するのが基本です。
もちろん親族であっても香典を準備するのが基本ですし、参加する人数分の金額を包むのもマナーですので夫婦連名の場合は2名分のお金を包むことになります。
夫婦であっても1人で参加する場合はあります。
例えば妻の友人の親がなくなった場合、夫が妻の友人と面識がないのであれば夫婦で参加しなくても問題はありません。
また香典も妻が個人で準備することになります。
このように夫婦であっても、個人で香典を出す場合と連名で香典を出す場合に分かれます。
とはいえ香典を準備する時の名前の書き方にはちゃんとしたマナーがあります。
まずは基本となる香典の名前の書き方を整理してみましょう。
個人で香典を準備する場合の名前の書き方
個人で香典を準備する場合、名前は水引の下の部分に書きます。
キリスト教式のお葬式では水引を利用することはありませんが、仏式・神式の場合は水引をつけるのが一般的です。
文字を書く中心線は水引の結び目が基準になります。
水引の上の部分には「御霊前」「御香典」などの文字が入りますので、この文字と水引の結び目を結んだ線の延長線が名前を書くときの中心線と考えます。
文字のサイズは、大きすぎても小さすぎてもバランスがよくありません。
目安としては水引の上に書かれた文字の大きさと同じ、またはやや小さくすると良いです。
連名で香典を準備する場合の名前の書き方
連名で香典を準備する場合は、最初に書く名前を水引の結び目(全体の中心線)の下に書くようにします。
2人目以降の名前は最初に書いた名前の左側に書きます。
文字の大きさは統一するように心がけてください。
・香典袋の文字書きは筆ペンが基本
香典袋に名前を書くときには、必ず筆ペンを使うようにします。
ボールペンやサインペンはNGです。
これは香典が「目上の人に対して贈る大切な品物」という意味があるからです。
現在では香典というとお金を包むことをいいますが、本来の意味で言えば「亡くなった人に対して供える品物」または「神仏に供える品物」という意味があります。
例えば「香典」ですが、意味としては「香をお供えする」という意味になります。
古くは本当にお線香をお供えしていたのですが、時代の変化もあってお線香そのものをお供えする代わりとして現金を準備するようになっただけです。
また香典という表現は仏教に限られますが、神道やキリスト教でも榊や玉串、生花の代わりとして現金を準備するようになったので、表書きの文字には「御榊料」「御玉串料」「御花料」となっています。
ではなぜ香典袋の文字書きにボールペンやサインペンがNGなのか、という疑問が残りますよね?
これは「立場が上の方に対して贈る品物」という意味があるからです。
宗教に関わらず亡くなった人は生きている人よりも立場は上であると考えます。
亡くなった人のことを「死者の霊」という表現をしますが、これは仏教、神道、キリスト教のいずれも共通している考えです。
(※仏教の宗派によっては例外もあります。)
宗教において死者の霊は「神仏になる存在」と考えます。
つまり「人間<死者の霊<神仏」となります。
そのため故人との関係を問わず、人間と死者の霊として立場の違いを判断するわけです。
そして香典を供える相手は亡くなった人に対してなのですから、立場が上の人に対する贈り物として考えなければいけません。
立場が上の人に対する贈り物なのですから、実用的なボールペンやサインペンを使うのは失礼になります。
あくまでも正式な贈り物となるのですから、筆文字で名前を書くことがマナーとなります。
・お葬式までは薄墨を使う
筆ペンというと黒墨のイメージが強いですが、通夜・お葬式に香典を準備するのであれば墨の色は薄墨となります。
そのため文具店などの筆ペンコーナーでも、通常の黒墨筆ペンとは別に「仏事用」として薄墨筆ペンがあります。
仏事用の筆ペンが薄墨となっている理由は「悲しんでいる様子を表すから」です。
昔は筆ペンのような便利なものはありません。
墨をすったものを筆に含ませ文字を書いていました。
でもせっかくすった黒墨に悲しみの涙が落ちてしまいます。
何度すり直しても悲しみの涙が止まらないため、結局薄墨のままになってしまいます。
この様子を表すのが薄墨です。
そのため仏事用の筆ペンは黒墨ではなく薄墨なのです。
香典を3名以上の連名とする場合の名前の書き方とポイント
連名で香典を出す場合、香典袋の表に名前を書くことができるのは3名までです。
そのため3名以上の連名で香典を出す場合は、香典袋の表にかけない人の名前の書き方に注意が必要です。
きょうだいが連名で香典を出す場合
遺族であっても喪主以外は香典を準備します。
ですから故人のきょうだいが連名で香典を出す場合もあります。
この場合は香典袋の表には個人名を書くのではなく「きょうだい一同」とします。
金額はきょうだい全員が同額になるようにあらかじめ相談しておくと良いです。
また基本的に「きょうだい一同」と書けば喪主は香典を出した人が誰なのか判断できますので、わざわざ名簿を作って香典袋の中に入れる必要もありません。
複数名の友人と連名で香典を出す場合
複数名の友人と連名で香典を出す場合は香典袋の表に「友人一同」と書き、お金を出した人の名前を一覧にした名簿を作ります。
さらに名簿には名前だけでなく住所も書き入れます。
名簿はお金を入れる封筒に入れます。中袋ありの場合は中袋に入れますし、中袋なしの場合は香典袋にお金と一緒に入れます。
職場やグループ単位で連名の香典を出す場合
職場やグループのメンバーが連名で香典を出す場合は所属名を香典袋の表に書き、お金を出した人の名前お一覧にした名簿を作ります。
職場の場合は「○○会社 ○○営業所 一同」のようにして香典袋の表に書き込みます。
名簿には職員の名前(香典金額がそれぞれ異なる場合は名前+金額)を書きます。
住所は香典袋の裏に会社の住所を書き入れれば良いので、個別の住所は必要ありません。
なおスポーツサークルのようにプライベートなグループの場合は、香典袋の表には「○○チーム一同」「○○グループ メンバー一同」と書きます。
代表者名を書く・書かないは個別で判断してかまいません。
ただし代表者名を書く場合は1名のみとします。
(「○○チーム 監督 山田一郎 他選手一同」など)
もちろん名簿は必要です。
名簿には「名前+住所+金額」を書き入れます。
香典を夫婦で準備する場合の書き方の基本とポイント
夫婦連名で香典を準備する場合、書き方には2通りの方法があります。
・基本的な名前の書き方
夫婦連名の場合は、夫の名前のみを香典袋の表に書くのが基本です。
夫婦でお葬式に参加するということは、遺族または親族であることがまず考えられます。
そして遺族・親族であれば、夫の名前をみれば誰が妻であるかわかります。
ですから1家族の代表である夫の名前を書くのが基本となります。
・夫婦2人の名前を書く場合の書き方
夫婦2人の名前を書く場合は、必ず香典袋の中心に夫の名前を書くようにします。
これは連名で名前を書くときの基本である「立場が上の人から書く」に基づきます。
たとえ妻の親族のお葬式に参加する場合であっても、1家族の代表は夫になります。
ですから夫の名前の後に妻の名前を書くのがマナーです。
香典の名前の書き方まとめ
個人でも連名でも、名前を書くときには香典袋の中心線を意識します。
個人の場合はこの中心線に沿って名前を書きますが、連名の場合は立場が上の人の名前を中心線に合わせて書きその他の名前は左側に書きます。
夫婦の場合はケースバイケースになります。個人で出すこともありますが、基本的には夫婦連名となります。
また夫婦連名の書き方には2パターンありますが、夫の名前は必ず香典袋の中心となります。