終活を進めていると、必ず直面するのがお葬式に関する項目ですよね?
「いつかは自分のお葬式についても考えなければいけない時が来る」ということは頭では分かっていても、いざ行動に移すとなるとどうしても気が進まないのがお葬式のことです。
でも「自分のお葬式をどうするのか」ということだけが、終活におけるお葬式の準備ではありません。
実はお葬式の終活をする上で勘違いしやすいのが、「あなたでなければできないこと」と「あなた以外でも出来ること」の2つがあるということです。
もっともお葬式の手配についていえば、あなたがいくら細かく手配していたとしてもあなた以外の人でなければできないこともあります。
ですからもしもその段階まで終活が進められなかったとしても、そのせいで家族が困ったことになるということはありません。
でも「あなたでなければできないこと」は、あなたの判断がなければ家族が悩む原因になります。
それが「写真の整理」です。
今回は「なぜ写真の整理があなたでなければできないのか」という理由と写真を整理する上でのポイント、さらにどうしても整理が出来ない場合の対処法を紹介します。
終活でお葬式の準備を始めるなら!
終活というとどうしても「自分の身の回りの整理」と思い込みがちです。
確かに「元気なうちに自分の身の回りのことを整理する」ということも、終活の要素にあります。
でもそれだけが終活ではありません。
試しにその場であなたの部屋を見渡してみてください。
あなたの部屋の中に、あなた以外のものは見当たりませんか?
もしもそれがあなたの子供や孫、友人たちに関係している物であればそれは問題ありません。
でも中には、すでにこの世を去ってしまった人と関係のあるものはありませんか?
実はそれこそが、あなたが元気なうちに整理をしなければいけないものなのです。
家の中にあるこれらの中には、あなた以外の人でそのものの価値を共有できないものもあります。
その代表的なものが、「古い人物写真」です。
あなたの大切な宝物は残す家族の宝物になるとは限らない
終活のカテゴリーの中に「断捨離」という言葉があります。
でも断捨離が出来るのは、心の中できちんと区切りがつけられたときだけです。
物はあくまでも物質ではありますが、その物の中に思い出がある限りそこには「物以上の価値」があなたにあります。
その価値をどう評価するのかは、あなたにしかわかりません。
つまりあなたにとって宝物だとしても、その価値を共有できる人がいなければ「ただの物」でしかないということです。
あなたが写真を処分できない本当の理由
古い写真に写っているのは、あなたがこれまでに生きてきた中で縁のあった大切な人たちです。
モノクロの写真の中であっても、そこに写っている人と共有してきた時間を持つあなたにとっては、いまも鮮やかにその時のことが思い出されるはずです。
でもそれは「あなただからそう思える」のです。
人の記憶はあいまいだといいますが、この世を去ってしまった人との思い出は決して消えたりしません。
ただ記憶の中から少しずつ薄らいでいくだけです。
人を見送った時の悲しみもこれと同じです。
大切な人を失った時のあのどうしようもない悲しみと失望は、時間とともに少しずつ薄らいでいきます。
でも何かのタイミングで不意に思い出すと、その時感じた時とよく似た感情があなたを襲うはずです。
でもその時に感じる痛みは、少しではありますが必ず和らいでいます。
このような状況を「悲しみを乗り越えた」という人もいますが、それは間違いです。
悲しみは消えません。
ただ悲しい記憶の上に少しずつ新しい記憶が折り重なっていくことによって、激しい痛みを伴う辛さを和らげているだけです。
でもそうしていくうちにあなたの中で「自分だけは忘れてはいけない」という想いが強くなっていくことでしょう。
そのためにどうしても手放せなくなってしまうのが、「亡くなった人との思い出の写真」なのです。
大切な人から引き継いだ写真はもっと処分できない
あなたが手元に保管している古い写真の中には、あなたですらわからない人が写っている物もあるはずです。
これはあなたのそばを去って行った大切な人が、今のあなたと同じように処分できずに保管していた写真です。
このような写真は、簡単に処分できないのが現実です。
「もしかしたら私の知らない先祖の写真かもしれない」と思うかもしれませんし、「あの人が大切にしていた写真だからきっと何か意味があるに違いない」と思うかもしれません。
いずれにしてもあなたが大切な人から引き継いだ写真は、あなたがどう判断するにしても相当悩むはずです。
処分すれば「本当に処分してよかったのか?」と思うでしょう。
もしもそのまま保管するとしても「いつかは処分しなければいけない」といつもどこかでモヤモヤするはずです。
これはあなただから特別なのではなく、多くの人が抱える終活の悩みなのです。
引き継いだ写真を整理する方法
引き継いだ写真を整理するには、ポイントが2つあります。
写真にまつわる思い出をあなた以外の人に共有してもらう
あなたしか写真に写る人との思い出がない場合、あなたの周りの人にとってその写真は「ただの古い写真」でしかありません。
写真を見て何らかの感情が起こるのは、「写真に写っている人との思い出がある」という条件があります。
あなたはその条件に当てはまるからこそ、古い写真であっても処分が出来ないのです。
でも写真に写る人との間に思い出がない子供や孫にとっては、所詮ただの写真です。
だからなぜあなたがその古い写真をどうして大切にするのかが分かりません。
でもあなたが悩んでいることに対しては、子や孫として何とかしてあげたいと思っています。
そんな時に一番良いのは、あなたの想いを共有してもらうことです。
その写真に写る人との思い出やエピソード、なぜ大切にしていたのかを話してみてください。
話を聞くことによって、あなたの家族は間接的に写真に写る人物と接点が出来ます。
その上で写真をどうするべきか、素直に相談してみてください。
処分をするにしてもあなただけでなくあなたの家族もその写真に写る人の記憶が残りますから、たとえあなたがいなくなったとしても家族の記憶の中でその人は生き続けます。
もしも処分をしないと決めたとしても、家族はあなたの意見をきちんと尊重してくれます。
そしてどのようにして保管していくのか、あなたにアドバイスをしてくれるはずです。
どうしても処分が出来ないものは無理に処分しない
「いろいろなことを試してみたものの、どうしても写真を処分することが出来ない」という時は、無理に処分しないでください。
あなたはその写真が手元に残っていることで、なんとか心のバランスを保っている状態です。
人の悲しみは、時間の長さで薄れるものではありません。
だからどんなに時間が経っていようとも、悲しみから立ち直れない人も大勢います。
それに写真を処分するタイミングは、これから先もまだまだあります。
あなたの心が少しでも穏やかな日常であることが、この世を去ってしまった人の最後の願いなのです。
だから無理をせずにその時が来るまで大切に保管しておいてください。
どうしても整理が出来ない場合の対処法
自分が生きているうちにどうしても写真を処分できない時は、残す家族に「棺の中に一緒に納めてちょうだい」と伝えておきましょう。
これなら残す家族もあなたの希望通りにしてくれるはずですし、あなたも大切な人との思い出を最後まで手元に残しておくことが出来ます。
ただし注意点があります。
棺の中に一緒に納めてもらう写真は、あらかじめ家族が分かる場所にまとめておいてください。
もしもその時に写真の場所が見つからなければ、残す家族は「見つけられなかったこと」を後悔してしまいます。
まとめ
人物が写っている写真は、そこに人が写っているからこそどうしても処分に困るものです。
しかも「写真には人の魂が宿る」という言い伝えもあるだけに、年代が古いほど処分に困ります。
残される家族にとってあなたが写っている写真は、大切な宝物です。
でもあなた以外の人が写っている写真は、家族にとっては「ただの写真」です。
元気できちんと判断が出来る今だからこそ、あなたが引き継いでいる写真の整理をすることが出来ます。
ほんの少しずつでもいいので、思い切ってあなたがこれまで大切にしてきた古い写真と向き合ってみませんか?