終活で「そろそろ自分のお葬式についても考えてみなくちゃ!」と思ったとき、まず初めにやるのがエンディングノートです。
エンディングノートは自分のお葬式のことだけではなく、これまでのあなたの人生を振り返るためのものでもあるので終活初心者にはおすすめのアイテムです。
でもエンディングノートの記入がほぼ終わってしまうと、今度は自分のお葬式について詳しく考えてみるようになります。
でも一般的には「お葬式はその時にならないと準備出来ない」と考えられているため、実際に行動に移すという人は少ないです。
ところがお葬式に必要なものの中には、自分で事前に購入して準備することが出来るものもあります。
つまりこれは「お葬式費用の節約」になります。
そこで今回は、自分でお葬式に必要なものを準備することが出来るアイテムについて説明していきましょう。
お葬式には事前に準備出来るものと出来ないものがある
お葬式といっても、様々なセレモニーが必要です。
一般的なお葬式でも最近人気がある家族葬でも、お葬式に必要になるセレモニーに違いはありません。
もちろん宗教や宗派によってもお葬式に必要なものは異なります。
「それなら無宗教葬なら?」と思いますよね?
確かに無宗教葬なら宗教者による儀式がありませんので、その分宗教儀式として必要となる物をカットすることはできます。
でもどのようなスタイルでも出来る無宗教葬は、「何をやっても良い」というわけではありません。
「何をしたいか」がハッキリと決まっていなければ残される家族が困ってしまいます。
そのため様々なスタイルのお葬式がありますが、「無宗教葬」というお葬式のスタイルは一般的とは言えません。
つまりあなたのお葬式は、何らかの宗教儀式が必要となるというわけです。
ですから儀式に必要な備品や準備は、葬儀見積りの項目からカットすることはできません。
お葬式に呼ぶ親族の範囲が決まっていないとお葬式の規模も決まらない
最近人気の家族葬は、「家族だけで行うお葬式」ということではありません。
昔は親族の数も多く、家族・親族だけでもかなりの人数になりました。
さらにご近所づきあいも今のようなシンプルな関係ではなかったため、お葬式には知人・友人以外にも近所の人も多く参列しました。
そのため一般的なお葬式でも、その規模は今とは比べ物にならないほど大きかったのです。
ところが核家族化が進んでいる今、家族であっても別々に暮らしていることの方が多くなりました。
さらに少子化が問題となってからは家族の規模も小さくなり、親族の数も減っています。
また団塊世代に地方からの集団就職が活発に行われたことによって、多くの若者が出身地から遠く離れた都会へ移動していきました。
そのため出身地よりも都会での生活の方が長くなってしまった人が多いのも、団塊世代の特徴にあります。
また団塊世代が現役の頃は、今のように「転職」という考え方は主流ではありませんでした。
だから都会の会社に就職したら、地元には戻らず定年まで都会で生活するのが一般的です。
そうなると結婚や子育ても都会で行いますし、さらにその子どもが結婚し家を離れていけば、都会の実家が「子供の田舎」となります。
そうなると本来の田舎ではない都会が子どもたちにとっての田舎となり、本来の田舎とは違ってきます。
このような状態が起こったことによって、田舎の親族との付き合い方も変わってきました。
本来の田舎に里帰りするにしても距離があるため、だんだんとその頻度も減っていきます。
そのためたとえ血のつながりがあったとしても、親族との付き合いがない状態が生まれてきます。
もちろんそのことによってお葬式の規模も、かなり小さくなりました。
このような小さい規模のお葬式にするためにできたのが、家族葬と呼ばれるお葬式のスタイルです。
家族葬は、わかりやすくいえば「規模の小さなお葬式」です。
ですから参加する人数が少ないことが特徴にあります。
もちろんお葬式で必要不可欠なものもあります。
儀式に必要な費用ももちろんですが、お葬式に呼んだ人に対するおもてなしも欠かすことはできません。
特にお葬式やお通夜で会食の席を設ける場合は、参列する人数によって費用も変わります。
そのため実際にお葬式をやってみないと分からない費用のことを「変動費用」といいます。
変動費用の中には、「使用した個数分の精算」と「注文した個数分の精算」に分かれます。
返礼品のように返品しても問題がない変動費用は、「使用した個数分の精算」となります。
ところが印刷物や料理などは、返品することが出来ません。
そのため「注文した個数分の精算」となります。
つまりお葬式の費用は「お葬式に呼ぶ親族の範囲が決まらなければ見積りすら出せない」というのが正しい解釈です。
もちろんこれらに関するものは、あなたが事前に決めることは出来ません。
お葬式の終活でこれらの費用についてあなたができるのは、せいぜい事前見積りをとることくらいでしょう。
遺影写真と骨壺は自分で準備していても邪魔にならない
本格的に終活をしている人は、遺影写真と骨壺は自分で準備しています。
しかもこの2つは事前に準備していても、保管をするためのスペースがほとんどいりません。
そのため早めに準備しておいても、いざその時が来るまでに邪魔になることもありません。
遺影写真を自分で準備する方法
遺影写真は「本人らしい写真」が一番です。
ただしお葬式の場では祭壇の中央に設置されるため、参列してくださるお客様に対して失礼のない服装であるという必要があります。
一般的には、地元で腕が良いと評判の写真館で写真を撮ってもらい、それをきちんと保管しておけばよいだけです。
実際にお葬式で使う遺影写真は、写真の原本を引き伸ばして作ります。
ですからお葬式で使う時のようにフレームに入れて保管する必要はありません。
遺影写真を自分で準備する時の注意点
遺影写真を事前に準備する時は、2~3年おきに今の自分の姿と見比べてみる必要があります。
加齢によってあなたの姿もこれから徐々に変化していきます。
ですからあまりにも現在の姿と違うと、遺影写真としては使えません。
遺影写真の場合は「準備したから大丈夫」ではなく「定期的に確認してみる」という手間がかかることを理解しておきましょう。
骨壺を自分で準備する方法
骨壺といってもデザインや柄など様々なものがあります。
ただし葬儀社に骨壺を依頼すると、骨壺本体にかかる費用に人件費が上乗せされるためかなり高額になります。
でも自分で準備するのであれば、骨壺本体にかかる費用のみです。
これはかなり葬儀費用の節約になります。
骨壺は花器としても使える
骨壺は水止め加工がされています。
そのため水を入れても、漏れることはありません。
しかもデザインや窯元にこだわれば、立派な花器として使えます。
私の知人には、窯元にオーダーメイドで骨壺を作ってもらった人がいます。
その人は普段はふたをとった状態で骨壺を花器として使い、床の間に飾っています。
もちろん実際にお葬式で使う時にはふたが必要なので、それだけは割れないように桐の箱に入れて戸棚に仕舞っているそうです。
実は棺も事前に準備しておくことが出来る
実は遺影写真と骨壺以外にも事前に自分で準備が出来るものがあります。
それが棺です。
棺は火葬をするためには必ず必要になる物なので、どうやっても棺代をカットすることは出来ません。
でもインターネットなら、個人でも葬儀社を通さずに直接購入することもできます。
もちろん葬儀社に頼んだ場合は、棺代にも人件費が加算されますからかなりの高額になります。
そう考えてみれば、事前に準備しておく方が費用の節約にはなります。
ただし棺の保管はかなり場所を取ります。
さらに長期間保管していると湿気などの影響でカビや汚れが出来てしまうこともありますので、事前に準備しておくというのは、あまり現実的ではないですね。
まとめ
自分のお葬式の準備といっても、事前にできるものもあればその時が来なければできないものもあります。
でも「少しでも家族の負担を減らしたい」「自分らしいお葬式にしたい」というのであれば、出来る限り自分で手配することも大切なことです。
ただしエンディングノートを書くのとは違い、骨壺や遺影写真などを準備する場合は家族があなたの意思を理解してくれていることが前提となります。
大切な家族のためにしておきたいと思うのであれば、まずはその意志を家族に伝えることが大切です。