お葬式について詳しい人がいるとしても、お葬式の喪主になるということは一生のうちに一度経験するかどうかです。
だから喪主になるということは誰もが初めてと思った方が良いのです。
でもいざ喪主にならなければならなくなったとき、何もわからないままでは不安になります。
そこで今回は、喪主のやることや施主との違い、準備の仕方やマナーについてわかりやすく説明していきたいと思います。
喪主がやることは弔問客の対応
喪主と同じ意味で使われるのが「施主」ですが、本来は「喪主」と「施主」は異なります。
この2つは役割分担がそれぞれ異なるのですが、一般的なお葬式では1人で兼任することが多いためその違いが分かりづらくなっています。
喪主と施主は役割が違う
「喪主」の役割を簡単に言ってしまうと、「弔問客の対応」となります。
喪主はお葬式の主催者になるため、「弔問を受ける人」となります。
弔問に訪れるタイミングは、故人との付き合いの深さによって異なります。
近い親族または故人と親しい付き合いのある人は、訃報を知った時点で弔問に訪れるのがマナーです。
ただし故人と直接の付き合いがない場合には、通夜や告別式に参列するのが一般的です。
つまり亡くなった直後からお葬式が終わるまでの間、弔問客の対応をするのが「喪主」となります。
これに対して「施主」は、葬儀全体の責任者という役割があります。
もちろんお葬式にかかる費用の負担も行いますが、香典の管理やお葬式の手配なども施主が行います。
ただしお葬式の主催者である喪主とは異なりますので、言い換えれば「お葬式の裏方のトップ」といえるでしょう。
喪主になると大変といわれる理由
喪主と施主の役割の違いを見てみるとわかる通り、表側の代表が「喪主」であるのに対して裏側の代表が「施主」となります。
ただしこの2つは小規模なお葬式の場合は兼任するのが一般的です。
小規模なお葬式というと「家族葬」が代表的ですが、この場合は「喪主=施主」となるのが一般的です。
弔問に訪れる人も近い親族や親しい友人がメインになりますから、基本的にはそれほど特別なことをする必要はありません。
ただし規模の小さなお葬式ですから、わざわざ喪主と施主を分ける必要はありません。
でも果たすべき役割には違いがありますから、兼任すると負担が大きくなるのは当然です。
とはいえ最近は喪主が施主を兼任するのが一般的ですから、「喪主になると大変」という言葉が出て来るのです。
家族葬でも「喪主」と「施主」を分けることがある
規模の小さな家族葬でも、「喪主」と「施主」を分けることがあります。
喪主が高齢の場合
喪主になる人の優先順位は、「故人の配偶者」が優先されます。
配偶者がいない場合は、故人の親または故人のきょうだいの年長者が務めます。
ただし喪主が高齢の場合は、お葬式のすべてを取り仕切ることが出来ないこともあります。
このような場合は喪主とは別に「葬儀全体の責任者」として施主を立てます。
施主は葬儀費用の管理なども行いますので、基本的には遺族の中から選びます。
妻が喪主の場合
故人の妻が喪主を務める場合は、喪主とは別にお葬式の責任者として施主を立てることがあります。
喪主が未成年の場合
喪主が二十歳未満の未成年の場合は、お葬式の補佐役として施主を立てるのが一般的です。
対外的な挨拶でも、喪主の代わりに施主が行うこともあります。
喪主が病気治療中の場合
喪主が病気などの治療でお葬式に参列できない場合、葬儀の責任者として施主を立てます。
ただしこの場合の施主は「喪主代理」という役割が加わりますので、事実上の喪主として動くことになります。
喪主がすべての責任を果たさなければならないというわけではない
喪主になったとしても、すべての責任を喪主一人で負うということではありません。
ただお葬式の規模が小規模化している今、そのような認識を強く持つ人も多いはずです。
でも実際にはそこまで頑張らなくても、喪主を務めることはできます。
喪主が必ずやらなければいけないことは、「故人のそばで弔問を受けること」にあります。
喪主の役割である「弔問客の対応をする」ということは、実はこのことなのです。
ただしこれでは1つ問題があります。
弔問を受ける以外にも、お葬式には様々な場面で葬儀責任者の判断が迫られることがあります。
もしも喪主と施主を兼任するのだとすれば、弔問を受ける以外にも様々なところに顔を出して対応をしていかなければいけません。
だからこそお葬式は「みんなでやる」という気持ちが大事なのです。
大切な人を亡くした悲しみがまだ心に大きな負担となっている状態で、これらすべてのことをくまなく手配するということは無理です。
お葬式には喪主でなければできないこともありますが、あくまでもそれは一部にすぎません。
喪主以外でも対応が出来るものもありますから、一人ですべてを抱え込もうとしないで素直に周りにお願いしましょう。
喪主ではなくても対応できることって!?
喪主以外の人が喪主代理として行うことが出来るのは、次のようなことです。
葬儀の内容の打ち合わせ
葬儀の内容の打ち合わせは、主にお葬式の費用に関係してきます。
ただしお葬式の費用の見積もりを出すには、お葬式の規模を予測することが必要になります。
追加料金なしでお葬式の見積もりを出してもらうのであれば、かなり度細かい内容まで担当者と話をしなければいけません。
もちろん喪主が打ち合わせに加わることも大切なことですが、家庭の事情をよく知っている人であれば、大まかな内容を決めるまでは喪主以外でも対応することが出来ます。
ただしこのような場合でも、最終的な内容の判断は喪主が行うのが一般的です。
謝辞
通夜や告別式に参加した弔問客に対する謝辞は、喪主以外の人が代行しても問題はありません。
この場合は、謝辞の中で自己紹介を必ず行うことが必要です。
特に故人との続柄を表す自己紹介は重要です。
これがきちんとできれば、喪主以外が謝辞を行ったとしてもマナー違反ではありません。
訃報連絡
喪主になると様々な物事の最終判断を行わなければいけません。
そのため訃報連絡については、喪主以外の家族または親族が行っても問題はありません。
特に安置場所から離れて行うご近所さんや自治会の責任者(自治会長など)への訃報連絡と挨拶は、喪主以外の家族・親族が行う方が良いです。
喪主のとしてお葬式が終わった後でもマナー違反にならない対応は!?
喪主の役割は「故人の代わりに対外的な対応をすること」に尽きます。
でも喪主の仕事の中には、お葬式が終わった後に行ってもマナー違反にならないこともあります。
職場への挨拶
故人の職場または喪主の職場への挨拶は、お葬式が終わった後に行ったとしてもマナー違反にはなりません。
ただしあまりにも時間があいてしまう場合はマナー違反です。
挨拶の目安としては、初七日法要が終了した頃とするとよいでしょう。
挨拶に伺うときは菓子折りなどを準備していきましょう。
自治会の責任者への挨拶
お葬式の手伝いなどを自治会員にお願いした場合は、お葬式終了から初七日までの間に挨拶をするようにします。
この場合も菓子折りなどを持参すると良いでしょう。
友人への挨拶
友人がお葬式の手伝いをしてくれた場合は、まずは取り急ぎ葬儀終了後にお礼の電話を入れておくのがマナーです。
もちろん後日改めて挨拶をするとより丁寧な対応になりますが、この場合は初七日法要が終わり少し生活のリズムが戻ってきた頃を目安にすると良いでしょう。
まとめ
喪主がやることといっても、喪主でなければいけないことは意外と限られています。
精神的にも肉体的にも披露のピークを迎えた状態で葬儀当日を迎えなければいけないのですから、周りに頼れる人がいる場合は思い切って頼んでみてください。
大切なことは、「自分なりが納得して見送る」ということだけです。
喪主としての役割ばかりに気を取られて大事な別れの時間が削られてしまっては、お葬式が終わった後きっと後悔してしまいますよ。