夫のお葬式となれば、妻であるあなたが喪主を務めるのが一般的です。
でもお葬式は日常的にある出来事ではありません。
まして喪主を務めるとなれば、ほとんどの人が初めてです。
ただ愛する夫のお葬式なのですから、喪主として誰から見ても恥ずかしくない服装でお葬式に参列したいという気持ちは誰よりも強いはずです。
そこで今回は喪主を務める妻としての正しい服装について、ポイントごとにわかりやすく説明します。
喪主である妻には上品な装いが求められる
お葬式は悲しみの場ではありますが、だからと言って地味であるべきというわけではありません。
もちろん「華美な装い」はNGですが、目立たなければよいということではありません。
喪主としての役割を理解しよう
喪主は「亡くなった人と最も近い関係にある人」が務めます。
ですから世帯主である夫が亡くなったのであれば、その配偶者であり妻であるあなたが喪主を務めるのが一般的です。
喪主の役割はたくさんあります。
イメージとしては「お葬式のすべての責任者」だと思いますが、それだけだと不正解です。
確かにお葬式の費用や規模、どのようなお葬式にするのかなどを決める最終的な決定権は喪主であるあなたにあります。
でもあくまでもそれは「最終決定権を持っている」というだけであって、その作業をあなたが信頼できる別の人に代理で頼むこともできます。
この場合、「喪主」と「施主」は別々になります。
(ただし一般的なお葬式では規模が小さいので、喪主が施主を兼ねるのが慣習となっています)
では喪主でなければできないこととは何でしょうか?
それは弔問客(ゲスト)に対する対応です。
弔問客は亡くなったあなたの夫との最後のお別れのためだけにきているのではありません。
夫を亡くしてしまったあなたのことを心配して参列する人もいます。
お葬式の規模が大きくなればこの2つははっきりと分類されるのですが、現在のように家族葬が主流となっているお葬式ではこの分類がほとんどありません。
「故人への弔問」と「残された遺族への励まし」の両方の意味を持って参列するのが、家族葬で参列する人の主な目的です。
ですから喪主であるあなたはゲストをお迎えするという大事な役目があります。
しかもこれは「代理が効かない大事な役割」なのです。
喪主である妻はホストとしてふさわしい服装が求められる
喪主となったあなたにはホストとしてお客様をおもてなしする大事な役割があるのですから、それ相応の服装が求められます。
ただここで覚えておいてほしいのは「お葬式としてのふさわしさ」です。
祝賀会や結婚式などのような祝いの席では、ホスト役には「華やかさ」が求められます。
でもお葬式のような弔事では「上品さ」が求められます。
いわゆる「品の良さ」です。
しかもおもてなしをする側に立つわけですから、ゲストよりも品祖な服装では夫に恥をかかせることになります。
ですから身に着ける喪服も上質で品の良いスタイルの物を選びます。
品の良さは喪服の色にも関係する
品の良い喪服といっても「値段が高ければよい」というわけではありません。
例えば色一つとっても、その色の濃さによって上品さが変わります。
まず覚えていてほしいのは、喪服では「黒が濃いほど品が良い」ということです。
喪服というと黒い服であればよいと思うかもしれません。
ただし同じ黒でも「薄いブラック」と「深みのあるブラック」では後者の方が上質になります。
40代からはノーアクセサリーはNG
お葬式でマナー違反とならないアクセサリーは結婚指輪のみといわれていますが、それはやはり「一般の参列者のマナー」と言えます。
喪主を務める妻としてはさすがにノーアクセサリーでは地味すぎます。
かといって華やかな宝石を身に着けることはNGです。
原則としてアクセサリーはパール製品のみとなっていますので、妻であっても身に着けるのであればパールアクセサリーとなります。
もちろん大きさも嫌味にならない程度のサイズを選ぶのが大切です。
ひと昔前まではホワイトパールのみがOKでしたが、最近ではオニキスなどのブラック系パールもOKになってきました。
ただし品格でいえばやはりホワイトパールの方が上になりますので、上品な装いを目指すのであればホワイトパールを選びましょう。
喪主がパンツタイプの喪服はNG
最近は女性の喪服にもパンツスタイルがOKになってきました。
ただしパンツスタイルがOKなのはあくまでも参列者または若い親族であり、正しい喪服としては認められていません。
ですから正しい喪主の喪服を選ぶのであれば、スタンダードタイプのスカートを選びます。
スカートの丈はくるぶし丈が上品
妻として喪主を務めるのであれば、出来れば正喪服と呼ばれるものを選ぶのがおすすめです。
ただし正喪服を着用する機会は少ないですので、夫のお葬式のためだけに準備するのは大変です。
そこでおすすめしたいのが、くるぶし丈のスカートタイプです。
正喪服の場合、肌の露出を避けるためにスカートの丈は長めに設定されています。
この長さだと年齢によって気になる下半身もカバーできますし、立った時の印象もすらりとしていて美しいです。
またお葬式の儀式では和室で行われるものもあります。
丈の短いスカートにするとどうしてもスカートの裾が上がってしまい、膝のあたりが見えてしまいます。
ハンカチなどで隠す方法もありますが、参列者側からするとやはり気になるものです。
こうしたことも考えると喪主のスカートはくるぶし丈を選ぶのがベストといえます。
仏式であれば数珠は必ず準備すること
仏式のお葬式であれば、喪主は自前の数珠を持参するのがマナーです。
数珠は仏教において大切な仏具であり、参列する側も持参することが多いです。
ただし喪主であるからこそ知っておきたいことがあります。
パワーストーンは数珠の代わりにならない
パワーストーンを普段から身に着けてお守り代わりにしている人が増えていますが、パワーストーンを数珠代わりにすることはできません。
あくまでもパワーストーンは「お守り」として身に着けるのであり、仏具としての意味は薄いです。
地域によって数珠にも決まりがある
実は地域によってお葬式に持つことが出来る数珠の種類が決まっていることがあります。
このような場合に地域の風習と異なる数珠を喪主であるあなたが持っていると、「あの方、マナーを知らない方なのね?」と思われてしまいます。
不安がある場合は、お葬式を担当している葬儀社に相談してみるのがおすすめです。
特に地域の風習が強い地方ではこうしたマナー一つで喪主としての評価が変わってきます。
愛する夫に恥をかかせないためにも、わからないことは早めに周りに相談するようにしてくださいね。
喪主である妻は髪の色も注意が必要
最近は白髪染めではなくカラーリングで個性を演出する女性も多いです。
ただしお葬式となるとこれもNGです。
一般弔問客であれば問題はありませんが、喪主を務めるとなると明るいカラーが入っているヘアは品がないとみなされます。
この場合は黒いリボンで髪全体をカバーするか、トーク帽をヘッドドレスとして着用すると全体の印象が良くなります。
トーク帽は正喪服にセットすると格段に品がよく見えますが、その分身に着けるのにはハードルが高いです。
その点大きな黒いリボンで髪全体をカバーするタイプなら、簡単につけられるうえに印象としても良くなります。
ちなみに喪主になるとお葬式の最後に参列者への謝辞があります。
この時スポットライトが当たりますので、普段のイメージよりもさらに髪色が明るく見えます。
ですからちょっとでも気になる場合は何らかの対応をしておいた方が、あとから「やっぱりきちんとしておけばよかった…」と後悔することがなくなります。
まとめ
夫のお葬式に妻として喪主を務めるとなれば、夫のためにも恥ずかしくない服装でお葬式に立ち会う必要があります。
ただしお葬式の装いといってもあなたは喪主なのですから、「地味であればよい」ということではありません。
あくまでもホスト役としてお客様の前に出ても恥ずかしくないような上品な装いを目指すようにしてくださいね。