お葬式を家族葬にする場合、だれを呼べばよいのか悩むのでは?
実はこの悩みは、家族葬でお葬式をする人の多くが抱えている悩みなのです。
家族葬といっても、3親等にあたる人だけが家族ではありません。
近い親族も家族同然の付き合いをしている友人も、言い換えれば「家族」です。
だからこそ家族葬ではお葬式に呼ぶ人の範囲を決めるのが、とても難しいのです。
さらにもう一つ問題になるのが、生前親しく付き合いのあった本人の知人・友人への訃報連絡です。
家族葬というとどうしても「家族以外は参列できない」というイメージがあるため、一般的にはお葬式に参列することを遠慮します。
でも本当に親しい付き合いがあった人であれば、直接最後のお別れをしたいと思うものです。
そんな時はどのような対応をすると良いのでしょうか?
家族葬に呼ぶ親族の範囲は家族の判断次第
家族葬というと「家族で送るお葬式」というイメージがありますよね?
でも家族とひとくくりで表現されても、一緒に暮らしている家族を「家族」と考える人もいれば、孫や本人のきょうだい、配偶者やその家族までを含めて「家族」と考える人もいます。
このように「家族」という言葉の解釈は、人それぞれ違います。
だからこそ混乱してしまうのが、家族葬でお葬式をした場合に呼ぶ親族の範囲です。
それならば家族葬では、親族を呼ぶ範囲をどのような基準で決めているのでしょうか?
また家族葬でお葬式をした場合は、知人や友人は参列を遠慮した方が良いのでしょうか?
家族葬は密葬とは違う
家族葬というお葬式のスタイルは、核家族化や共働き世帯が増えていること、さらには葬儀専門の施設でお葬式を行うようになったことなどもあって今や主流になっています。
でも家族葬といっても、お葬式の流れや儀式などにおいては一般的なお葬式とほとんど変わりません。
では家族葬とはどのようなお葬式のスタイルのことを言うのでしょうか?
最もわかりやすい言葉で家族葬を説明すると、「参列する全員の人数が概ね15名以下のお葬式」となります。
このように説明すると、昔からよく耳にする「密葬」と同じように思われるかもしれません。
でも「家族葬」と「密葬」は、その意味を考えると別物であることが分かります。
・密葬は大規模なお葬式が後日予定されていることが多い
密葬というと「誰にも知らせずにひっそりとお葬式をする」というイメージがあるかもしれません。
でも実際にはそうではありません。
密葬が必要になるのは、社葬などのように後日大規模なお葬式が予定されている時に行われます。
社葬などのような大規模なお葬式の場合は、準備に数週間かかる場合もあります。
でも準備が整うまでの間、ずっと遺体を安置させておくことはできません。
そのため遺体を火葬する必要があります。
密葬では家族や親族など本人と極めて近い関係にある人が立ち会って、火葬のための儀式を行います。
つまり本葬が後日行われることが前提となっている火葬の儀式のことを「密葬」といいます。
さらに密葬は後日、一般弔問客を招いた本葬が行われますから、密葬では一般の参列者は参加しません。
でも家族葬の場合は、火葬する当日にお葬式をします。これが家族葬と密葬の大きな違いになります。
ちなみに社葬のような大規模なお葬式を行わない場合にも、密葬が行われることがあります。
この場合は告別式がありません。
つまり一般の参列者を呼ばずに火葬のための儀式だけを行うもので、非常にシンプルなお葬式のスタイルといえます。
ただし「密葬」という表現は、秘密の「密」という感じを使っているため一般的にはあまり良い印象がありません。
そのため葬儀社によっては「火葬式」「直葬」など、密葬という言葉を使わない表現をすることがあります。
家族葬のお葬式で親族を呼ぶ範囲とは?
家族葬の場合は、「どの範囲までの親族を呼ぶのか?」ということが一番の問題になります。
これについては2章でも触れていますが、「概ね15名以下で行うお葬式」と考えるのが、最もわかりやすいでしょう。
家族葬といっても家族や親族だけで30名以上になる場合は、一般的に世間でイメージしている家族葬ではなくなります。
親族の中には冠婚葬祭以外はほとんど付き合いがない人もいることでしょう。
もしもそうであれば、一般の参列者と同じようにきちんとしたおもてなしをしなければ「客に対する配慮がない家族だ」と思われてしまいます。
さらに家族や親族が仕事をしているのであれば、お葬式のために仕事を休むことを職場に連絡しなければならなくなります。
社員の家族であれば企業としても会社としての対応をしなければならなくなりますから、たとえ家族葬であっても職場の関係者が葬儀に参列することは考えられます。
このようにして考えてみると、家族葬の上限の目安である「概ね15名以下のお葬式」がいかに難しいかがわかるはずです。
・「香典の数=実際にお葬式に来る人数」ではない
「概ね15名」というのは、実際に式場に足を運ぶ人数の合計のことを言います。
お葬式は突然にスケジュールが決まるものですから、いくら本人に近い家族・親族であっても遠方に住んでいればお葬式に立ち会えないこともあります。
また知人や友人、職場関係者も、全員がお葬式当日にスケジュールを調整できるとは限りません。
こうした場合には香典を参列者に預けたり、電報や供花などで対応することがあります。
もちろんこの場合もお礼状を添えたお返しの品物を準備することは当然なのですが、「香典の数=参列者数」ではありませんから式場の一般席の確保や通夜ぶるまいなどの料理の手配などは最小限に抑えることが出来ます。
このようにして少し整理してみると「参列者全員の人数が15名以下」といっても、一般的なお葬式であれば十分に対応することが出来る規模ということが分かってきます。
家族葬の場合でも本人の知人・友人に訃報連絡はするべき?
家族葬といっても、お葬式の流れや儀式については一般的なお葬式とほとんど変わりません。
お葬式の規模が違うというだけですから、家族葬であってもお通夜・葬儀式・告別式などはあります。
ですから家族葬であっても、知人・友人が参列することはマナー違反ではありません。
でも家族や親族とは違いますから、お葬式の施主側から訃報連絡をしなければ友人・知人の場合は亡くなった事実もお葬式の日程も知ることが出来ません。
ですから本人の知人・友人をお葬式に呼びたいと考えているのであれば、家族の方から訃報連絡をする必要があります。
・家族葬で本人の知人・友人を呼ぶ時の目安
病院での入院生活の間で頻繁に見舞いに訪れる友人・知人の場合は、たとえ家族葬であっても訃報の連絡を入れるのが良いでしょう。
その際には「家族の希望で今回は家族葬で行う予定です」と一言伝えておきます。
このように一言お断りをしておけば、お葬式に出席するかしないかは相手の判断次第となります。
★知人・友人への訃報連絡のポイント
家族葬でお葬式をすることを伝えた場合、親しい友人・知人で会ったとしても家族への配慮として葬儀の参列を遠慮することもあります。
でもお葬式は、「本人との別れの場」というだけでなく、「今後も本人が元気だったころのようなお付き合いをしてくださいね」という家族からのお願いの場でもあります。
そのためにも、家族葬で行うことを伝えた後で「出来れば本人も○○さんに会いたいと思っているでしょうから、ご都合がよろしければ会いに来ていただけませんか?」と付け加えてみてください。
この一言があれば「家族葬なのだから参列は遠慮しておこう」と思って別れを諦めていた友人・知人の気持ちも、少しは穏やかなものになるはずです。
まとめ
家族葬といっても、一般的なお葬式で行う儀式の流れはほとんど変わりません。
でも「家族」という言葉がついていることで、問題を複雑に考えてしまいがちです。
だからこそ覚えておきたいのは、「家族葬=小規模なお葬式」ということです。
お葬式の内容は普通のお葬式と何も変わりませんから、訃報の連絡も特別な注意点はありません。
ですが「どの範囲まで人を呼ぶのか」は、「お葬式の規模をどの程度にするのか」と同じ意味を持ちます。
それだけに家族葬の「家族」という言葉に惑わされるのではなく、最後のお別れを一緒に立ち会ってほしい人に声をかけるのが一番です。