お葬式には、葬儀式と告別式の2種類があります。
でも葬儀式と告別式は儀式の内容や意味も違うため、参列する側としてはどちらに参列すればよいのか判断に困ることがあります。
ではお葬式の葬儀式と告別式にはどのような違いがあり、参列する人の範囲には決まりがあるのでしょうか?
葬儀式と告別式の意味が分かれば参列する範囲も分かる!
お葬式の葬儀式と告別式の違いは!?
一言で「お葬式」といわれても、実際には葬儀式と告別式の2つがあります。
そして葬儀式と告別式には、それぞれ違った意味があります。
行われる式の内容も異なることから、参列する範囲も式によって分かれています。
つまり「葬儀式」と「告別式」の意味が分かれば、自然と参列する範囲が分かるようになります。
そこで今回はこの2つの儀式の意味を解説しながら、参列する範囲について説明していきましょう。
葬儀式と告別式は結婚式に置き換えて考えると分かりやすい!
お葬式の儀式といわれると、どうしても難しく考えがちです。
しかも普段からよくある出来事ではありませんから、「分からないのだから葬儀屋さんの言われるとおりに進めていくしかない」と多くの人が思ってしまいます。
でもちょっと待ってください。
お葬式は一生に一度のことですが、一生に一度のセレモニーといえば結婚式だってあります(場合によっては結婚式は何度も行う人もいるかもしれませんけど)。
お葬式と結婚式は、セレモニーの内容に違いはあっても儀式を行う意味や考え方は一緒です。
そこでお葬式における「葬儀式」と「告別式」の違いを、結婚式の「挙式」と「披露宴」に置き換えて説明していきます。
●お葬式の葬儀式は、結婚式の挙式と同じ意味がある
まずはわかりやすく説明するために、結婚式の「挙式」から説明してみましょう。
結婚式の挙式は、分かりやすく言えば「結婚の儀式」のことを言います。
お葬式では仏教式が主流の日本ですが、結婚式となるとキリスト教式の方が主流ですよね?
でも挙式のスタイルにはキリスト教式のほかにも、仏教式の「仏前式」や神道式の「神前式」があります。
さらにこうした宗教的な儀式のスタイルではない「人前式」もありますね?
この違いは「どのような宗教のスタイルで挙式をするのか」によって違います。
かつての日本はキリスト教が禁教とされていた時代もありますから、日本の伝統的な挙式スタイルといえば「神前式」でした。
これはもともと日本の生活に神道が深く関わっていたことが関係しているのでで、仏教が強く根付いている地域では「仏前式」の方が伝統的だと考える地域もあります。
では結婚式の挙式を、今度はお葬式の葬儀式に置き換えてみましょう。
お葬式のスタイルも仏教式だけでなく、キリスト教式、神道式、その他の宗教式があります。
さらにこうした宗教的な儀式のスタイルではない「無宗教式」もあります。
お葬式でも結婚式の挙式と同じように、宗教にこだわりがある場合は「仏教式」「キリスト教式」「神道式」「それ以外の宗教式」の中から選びます。
宗教において死は非常に強い関わりを持っているため、その宗教が死をどのように考えているのかによって儀式の内容が大きく変わります。
無宗教式の葬儀式では自由に儀式の内容を決めることが出来ますが、結婚式の「人前式」のように大まかなスタイルが決まっているわけではありません。
そのため「○○をしてはいけない」がないのが一番の魅力なのですが、「○○をしなければいけない」がないという点が最大のデメリットです。
こうした不安材料が一切ないのが、宗教による葬儀式のメリットです。
「やらなければいけない事」と「やってはいけない事」がはっきりとしているだけに、参列者が混乱することがありません。
また式の進行そのものも宗教者(※仏教式=お坊さん)が中心となります。
●お葬式の告別式は結婚式の披露宴と同じ意味がある
次はお葬式における告別式について解説してみましょう。
お葬式の告別式は、結婚式の披露宴と同じ意味があります。
そこでわかりやすく解説するために、まずは結婚式の披露宴について説明してみましょう。
結婚式の披露宴は、分かりやすく言い換えれば「結婚のお披露目パーティー」のことです。
新郎・新婦と縁のある人に対して2人が夫婦になったことをお披露目することが、披露宴の一番の目的です。
もちろん2人が夫婦になったことを披露するだけでなく、2人の結婚を祝福したいという参列者の想いも関係してきます。
その気持ちを表す一つのツールとなっているのがご祝儀であり、友人からのスピーチや余興になります。
ただ披露宴の主催者である2人としても、わざわざ忙しいスケジュールを調整して披露宴に出席していただいたゲストに対して感謝の気持ちを伝えなければいけません。
その感謝の気持ちを表すツールとなるのが、参列者への食事や引き出物になります。
結婚式における披露宴の意味が分かったところで、今度はこれをお葬式の告別式に置き換えてみます。
お葬式の告別式は、故人とのつながりのある人が別れを惜しむ場であると考えられがちですが、実は結婚式の披露宴と同じように2つの意味があります。
1つは、故人の縁のある人々がお別れをする場という意味です。
告別式に参列したとしても、参列者が直接故人に対して何かをすることはできません。
でも「せめて残された家族に対して何かをしてあげられれば…」という想いを表すのが、香典です。
香典として包む金額の相場が故人との付き合いによって異なるのは、こうした理由があるからなのです。
では告別式が持つもう1つの意味とは何でしょうか?
それは、「死を社会的に報告する場」という意味です。生前付き合いのあった様々な方々に対して、死んでしまった本人は自分が死んだことを報告することは出来ません。
そのために「告別式の場を借りて遺族が家族の死を社会的に報告する」という意味があります。
「宗教的な死」は葬儀式「社会的な死」は告別式
葬儀式と告別式の違いは、もう1つあります。
それはそれぞれのセレモニーが持つ「死」の意味です。
葬儀式は「宗教的な死」といわれます。宗教的な死では、宗教上の死の解釈によって儀式の内容が決まります。
仏教式の場合は、「死=仏さまの世界へ行くこと」となります。
でも生きているうちに仏教に縁がない人の場合は、死んだからといっていきなり仏様の世界に行くことはできません。
まずは仏さまの弟子になり修行をすることによって、仏様の世界へ行きます。
仏教の宗派の中には、「亡くなるとすぐに仏様になれる」という考え方もありますが、主な宗派の場合は「弟子になる→修行をする→仏さまになる」という考え方になります。
ところが生きている間に修行をしている人ばかりが、仏教式でお葬式をするわけではありません。
そのためお坊さんがまずは自分の弟子にし、仏様の教えの中でも分かりやすいお経を読んで聞かせることによって修行をさせたことにします。
こうして無事に仏様になる準備が整います。
この作業は言い換えれば「宗教者による死の宣告」となります。
そのため葬儀式は「宗教的な死」と表現されます。
では「社会的な死」と言われる告別式はどうなのでしょうか?
これは言葉を見ても分かる通り、「生前に付き合いのあった人に対して故人の死を宣言する場」となります。
もちろん訃報連絡などを直接家族から受けて亡くなったことを知る人もいるでしょうが、多くの場合は間接的に死を知ります。
その方々に対して、遺族から直接本人の死を宣言するのが告別式です。
そのため告別式は「社会的な死」と表現されます。
葬儀式と告別式に参列する範囲の目安とは?
葬儀式と告別式の2つには、それぞれ意味が違うということはわかりました。
ではそれぞれの式に参列する範囲の目安はどうなのでしょうか?
これは結論から言うと「参列する本人次第」なのです。
結婚式の場合は招待されることが参列する前提となるのですが、お葬式の場合は参列者の気持ち次第になります。
ただ参列する範囲の目安は、やはり故人との付き合いの深さということになります。
たとえ知人・友人であったとしても、生前から頻繁に故人と交流がある場合は遺族の方から葬儀式への参列をお願いされることもあります。
またお願いされていなかったとしても、知人・友人が葬儀式と告別式の両方に参列したとしてもマナー違反ではありません。
ただしこの場合は、遺族への配慮として一般席で参列するのがマナーです。
では「親族の場合はどうなのか?」という疑問がありますよね?
この場合はたとえ遠い親戚であったとしても、訃報の連絡を受けたなら参列するのがマナーです。
また宗教的な死の宣告となる葬儀式は遺族・親族が中心となりますので、参列する際も葬儀式からとなります。
それ以外の知人・友人などの場合は、社会的な死の報告の場である「告別式」に参列するのがマナーです。
通夜式がある場合は、告別式への参列の代わりに通夜式へ参列することもマナー違反ではありません。
最近では日中に行われる告別式よりも夜間に行われる通夜式へ参列する人が多くなったため「お葬式=通夜式へ参列する」と考える人もいるようですが、本来は告別式に参列することが「お葬式に行く」という意味になります。
まとめ
お葬式といっても葬儀式と告別式の2つがあり、それぞれが持つ意味の違いが分かれば参列する範囲の目安にもなります。
お葬式ではよく耳にする「故人とのかかわりの深さ」というのも、葬儀式と告別式の持つ意味と深く関係してきます。
どちらに参列した方が良いのか迷った時は、それぞれの儀式の意味から判断してみるといいでしょう。