家族や親族など親しい人だけでお葬式を行う家族葬。
今や全体的なお葬式のスタイルのなかで1/3を占めているのが家族葬です。
でも家族葬の場合、お葬式に呼ぶ人を限定することになります。
親族や友人・知人ならうまく話をすればよいのですが、会社や職場関係は違います。
お葬式に参列するためには休みをとる必要がありますし、休みの申請や許可のためには事前に報告をする必要があります。
でもこの場合に問題になるのが、弔問の断り方です。
休みをもらうためには訃報を報告しなければいけませんが、訃報を受けた職場としても社員に対する対応として何らかの方法で弔意を表します。
では職場関係から弔問や弔電、香典や供花などの申し出があった場合、どのようにすれば角が立たずに断ることが出来るのでしょうか?
家族葬だからこそ会社や職場関係の対応には注意が必要
ごく親しい人だけでお葬式を行いたいという気持ちが強い場合、「家族葬」というスタイルのお葬式を選ぶことが多いです。
確かに家族葬の場合は参列者の範囲が限定されますので、家族が希望する通りのお葬式にすることはできます。
でも仕事をしている以上、お葬式に参列するためには休みをとる必要があります。
理由を伏せて有給休暇でお葬式に参列するという方法もありますが、この場合は有給休暇が認められるかどうかが問題になります。
ただしお葬式が理由で休みが欲しいという場合は、「忌引き」という扱いになるため休みをとることが出来ます。
でもそうなるとどうしても職場への報告が必要になります。
忌引き休暇をもらう際にきちんと家族葬で行うことをつたえる
職場関係からの弔問などを辞退したいと考えているのであれば、忌引き休暇の申請をする際にそのことを上司などに報告する必要があります。
一般的な葬儀に参列する場合であっても以下のことは伝える必要があります。
・本人と故人の続柄
・葬儀の日程
・葬儀に参列するために休暇を取りたいという意思表示
これに加えて家族葬で行う場合は、「近親者のみで家族葬として執り行います」ということを付け加えます。
さらに弔問などを辞退する場合は、はっきりと辞退を申し出ます。
「会社全体に知らせないでほしい」ということも伝えておく
会社全体に訃報連絡が伝わってしまうと、関係部署だけでなく取引先からの弔問も受ける可能性があります。
そのため上司などに相談する際には「訃報は一部の関係者のみにとどめておいてほしい」という希望を付け加えておくとよいでしょう。
もちろん葬儀終了後は、改めて近親者のみの家族葬で行ったという旨を報告して置くことも忘れないようにしましょう。
職場から弔慰金をもらった場合
弔慰金というのは、職場からの香典とは異なります。
香典は遺族の費用負担を軽減するための意味がありますが、弔慰金は企業の福利厚生としての意味があります。
家族を亡くした社員に対する慰めのために贈られるものなので、返礼品などの準備は必要ありません。
弔問を辞退したはずなのに職場関係者が弔問に訪れた場合は?
基本的には相手のマナー違反となるので、その場で弔問を断ることも可能です。
でも職場関係者の場合は、本人からの申し出が正しく伝わっていないこともあります。
そのため一般的なお葬式と勘違いして弔問に訪れることもあります。
この場合はマナー違反ではなく善意の行為ですから、相手の気持ちに素直に感謝し弔意を受けるのが良いでしょう。
ただし香典に関しては、きちんとお断りをしてもかまいません。
ですから1度は口頭でお断りをしてみましょう。
もしそれでも相手が受け取ってほしいと申し出てきた場合は、かたくなに拒否をするのではなくありがたく受け取ってください。
いずれにしても善意で行っていることですから、まずは相手に対して感謝の気持ちを伝えることが大切です。
弔問・香典のみを辞退している場合
家族葬で行うことと併せて弔問・香典の辞退を申し出ている場合、職場から弔電が届くことがあります。
これは明確に弔電の事態を申し出ていない場合にはマナー違反とならないため、弔意を表す手段として職場が準備しています。
弔電の場合も金額によってお礼を準備する必要があります。
一般的な弔電の場合は、葬儀のお礼状を準備するだけで問題ありません。
ただし線香やブリザードフラワーなどがセットになった弔電は5000円以上するものです。
わざわざ返礼品を準備する必要はないですが、葬儀が無事に終わったことの報告とお礼を兼ねて半額程度の茶菓子などを持参すると良いでしょう。
葬儀があることを職場の人に知られたくない場合はどうする?
職場の人に知られずにひっそりと家族だけでお葬式を済ませたいというのであれば、やはり有給休暇などを使って葬儀に参列するしかないでしょう。
でもお葬式が理由であるということが分かることによって、葬儀が終わった後も落ち着いて職場復帰することが出来ます。
知らせずにひっそりとお葬式をすれば、こんなデメリットもあります。
自分の気持ちを隠して業務をこなしていかなければいけない
家族が亡くなったときの動揺は、そのときその場に立ってみなければわかりません。
もちろんお葬式を済ませることによって一つの区切りは尽きますが、そのことと気持ちが落ち着くということは違います。
「悲しみを乗り越える」という表現がありますが、身内を失ったときの悲しみは乗り越えてどうにかなるものではありません。
心の傷が癒えるということもありませんが、強い悲しみは時間とともに薄れていきます。
でもそれには必ず時間が必要です。
お葬式のために休みを取ったということが分かっている場合は、職場でもそれなりに配慮をしてくれます。
また納骨やその他の法要もありますので、参加のために有給休暇の申請をした場合も受理してもらいやすくなります。
こうした配慮をしてもらえるのも、きちんと職場に報告・相談をしているからです。
すべてを隠してお葬式をしたとすれば、あなたの心の中まで配慮することはできません。
気持ちを押し殺したまま業務にあたれば、集中力も散漫になりミスもおこりやすくなります。
もちろんそのミスの原因がお葬式だとは知らない上司からは、厳しく指摘されることになるでしょう。
こうしたことも考えてみると、弔問を辞退したいというだけの理由で訃報を隠して休みをとるということはあまりお勧めできません。
後々のことまで考えたときには、やはりきちんと職場に報告しておくことが大切でしょう。
無事にお葬式が終わった後にすべき対応
お葬式が無事に終わったら、改めて葬儀終了の報告と配慮いただいたことへのお礼をします。
この場合は電話で取り急ぎ済ませることもできますが、はがきや社内メールなどで伝えることもできます。
ただし文面にしてお礼をする場合は、「近親者のみの家族葬で執り行ったこと」と「連絡が遅れたことに対するお詫び」の言葉は必ず加えるようにします。
忌引き明けで出社した際に香典をもらった場合
社員から「香典・弔問を辞退したい」という意思表示があった場合、職場としての対応もできるだけ家族の意向をくむように対応します。
でも職場によっては弔意を表すために、忌引き明けで出社した際に香典を渡されることもあります。
この場合は素直に香典を受け取るのが良いでしょう。
改めてお礼の品を準備する必要はありませんが、わざわざ準備してくれたことに対して感謝の気持ちを述べることは忘れないようにしましょう。
まとめ
家族葬というお葬式のスタイルが定着していますが、職場としての対応も慶弔規定に基づいてその対応や内容が決められています。
香典や弔問を辞退したい場合は、回りくどい表現ではなくストレートな表現できちんと伝えましょう。
家族の意向だということが分かれば、職場側も柔軟に対応してくれるはずです。