未成年の子どもを残したまま夫が亡くなった場合、夫を失った悲しみと同時に「これからこの子たちをどうやって育てていけばいいのだろう?」という不安に襲われますよね?
特に子どもは成長するにしたがってお金もかかるようになります。
それだけに今のあなたは目の前の生活費だけでなく、将来の子育てにかかるお金についても強く不安を感じているはずです。
そこで今回は夫が死んだあと、子どもの為に妻であるあなたがやるべきお金の手続きについて分かりやすく解説していきます。
夫の死後に妻がすべきお金の手続きとは!?
共働き世帯であったとしても、妻であるあなたの方が亡くなった夫よりも収入が高いというケースは珍しいです。
つまり夫が亡くなれば収入が急激に減るということになります。
夫が亡くなってもあなた一人だけの生活であれば、暮らし方を工夫すればとりあえず日々の生活費に困ることはないでしょう。
ところが18歳未満の子どもがいるのであれば、夫の収入に頼っていた生活が一変するわけですからすぐにお金の心配が出てきます。
でも安心してください。
18歳未満の子どもがいる世帯で世帯主である夫が亡くなったのであれば、公的年金から毎年給付金が出ます。
しかもその金額は1年で約100万円です。
遺族年金
18歳未満の子どもがいる場合にもらうことが出来るのは「遺族年金」です。
遺族年金といっても夫が生前加入していた公的年金の種類によって、受給対象や期間・金額が変わります。
一般的な公的年金といえば「国民年金」と「厚生年金」があります。
遺族年金は夫がどちらの年金に加入していたかによって変わります。
まず国民年金に加入していた場合です。
この場合は「遺族基礎年金」が支給されます。
これに対して厚生年金に加入していた場合は「遺族厚生年金」が支給されます。
いずれも18歳未満の子どもがいる場合に支給されるうえ、子どもの人数によっても支給額が変わってきます。
ただし遺族厚生年金は支給額の計算方法がちょっと複雑ですので、ここではわかりやすい国民年金の「遺族基礎年金」について紹介しましょう。
遺族基礎年金とは?
遺族基礎年金の受給資格には「18歳未満の子どもがいること(※案件によっては20歳未満まで対象)」が条件にあります。
そもそも遺族基礎年金は亡くなった夫が受け取るはずだった年金を遺族が受け取ることをいうので、受給資格の対象者は妻であるあなたと子どもになります。
・18歳未満の子どもが1人の場合
妻が受け取る遺族基礎年金は「77万9,300円」です。
これに子ども1人分が加算されます。
子どもが1人ということは「第1子のみ」となりますので、加算される金額は「22万4,300円」です。
そのためこのケースであれば、年間100万3,600円が支給されます。
・18歳未満の子どもが2人の場合
子ども1人当たりの加算額は第2子までは同じです。
そのため子供2人分の加算額が「22万4,300円×2人=44万8,600円」になります。
ですからこのケースであれば、年間122万7,900円が支給されます。
・18歳未満の子どもが3人の場合
子どもの加算額は第3子以降から金額が変わります。
第1子・第2子までは1人当たり22万4,300円が加算されますが、第3子以降は1人当たり7万4,800円の加算となります。
ですから妻1人子3人の場合は、年間130万2,700円の支給となります。
・子どもの年齢が18歳を過ぎると支給対象から外される
遺族基礎年金の場合、受給対象者である子どもが18歳未満であれば毎年支給されます。
ただし子どもが18歳を過ぎると、受給対象者の条件から外れます。
例えば子どもが3人いるうちの1人が19歳である場合、19歳の子どもは遺族基礎年金の受給資格対象から外れます。
ですから支給金額を計算する時には「妻1人・子2人」として考えます。
遺族基礎年金は子どもの年齢が支給額に関係してきます。
ただし18歳というと高校卒業の年齢です。大学や専門学校への進学となれば、その入学金や授業料の負担がかかってきます
ですから子どもの教育について考えるのであれば、子どもが18歳を過ぎてからの収入についても計画的に考えるようにしましょう。
・遺族基礎年金は申請しないと支給されません!
遺族基礎年金は、受給対象者が申請・手続きをしないと支給されません。
もちろん受給対象者であれば申請が出来ますので、子どもが行うこともできます。
ただし手続きなどについては面倒な書類や審査もありますので、親であり妻であるあなたが手続きをする必要があります。
残された子どものために使うことが出来るお金ではありますが、受給対象者であれば自動的に支払われるということではありません。
ですから子どもの為に給付を受けたいのであれば、ぜひ早めに申請・手続きをするようにしてくださいね。
夫の死亡保険金の使い方も注意が必要
生前夫が生命保険に加入していた場合、死亡保険金が支払われます。
こちらは加入していた生命保険会社に連絡をすれば、担当の保険員が必要な書類や資料の書き方などを説明しながら対応してくれるので手続きそのものはそれほど難しくありません。
全ての手続きが終わると、指定された口座に死亡保険金が振り込まれます。
ただこのお金は「使ったら亡くなるお金」です。
子どもが18歳を迎えるまでに毎年支給される遺族年金とは違い、生命保険の死亡保険金は1度しか支払われません。
つまり支払われた死亡保険金を使えば、残金が減る一方なのです。
それだけに使い方に注意をしなければいけません。
もしも子どもの教育資金に使いたいのであれば、死亡保険金を子どもの学資保険に回す方法があります。
これならば月々の支払いは夫の死亡保険から自動的に引き落とされますので、生活費の一部として学資保険料を計算するわずらわしさから解放されます。
・すでに子どもが大学生になっているのであればあなたの老後資金にする
すでに子どもが大学生になっているのであれば、今後子どもの学校の為に大きなお金が動くことはありません。
また社会人になれば実家を離れ一人暮らしを始めるかもしれません。
このようなケースでの死亡保険金は「あなたの老後のお金」と考えましょう。
悲しい現実を突きつけるようで心苦しいのですが、すでに夫がいないのですからあなたの老後はおひとりさまとなる可能性があります。
子どもたちも独立すればそれぞれに家庭を持つことでしょう。
子育ての大変さはあなたが一番わかるはずです。そうであれば子どもたちに迷惑をかけないように、あなたのおひとり様生活のための資金として大切に貯蓄しておきましょう。
これは先に逝ってしまったあなたの夫も喜んで許してくれるはずです。
母子家庭支援制度をフル活用しよう!
子どもがまだまだ小さいのであれば、あなたは「シングルマザー」としての道を力強く歩んでいかないといけません。
シングルマザーには公的支援制度がたくさんあります。
代表的なものは児童扶養手当です。
子どもが18歳未満の場合、子どもの人数に応じて支給されます。
でも他にもシングルマザーのための支給制度はあり、「児童手当」「住宅手当」「医療費助成制度」などがあります。
もちろん自治体によって他にも受けられる支援制度は違いがあります。
でもこうした支援制度もシングルマザーとなったあなたの方から申請をしなければ受けられません。
まとめ
夫があなたと子供を残して先に逝ってしまったという事実は悲しい出来事ですが、いくら悲しんでいても事実を変えることはできません。
でもこれからの人生は、妻であり母であるあなた次第でいくらでも変わることが出来ます。
「もしも断られたらどうしよう?」「手続きが複雑だったらどうしよう?」という不安もわかります。
でもこれから子育てが終わるまで常にお金のことで不安を抱える生活を続けることよりは、今だけでも勇気を出して相談する方がずっと心の負担は軽くなるはずですよ!