お葬式は、フォーマルなセレモニーなのでいろいろなマナーがあります。
もちろん服装もフォーマルウェアで参加することが基本です。
ただしお葬式は結婚式やお祝いのように何度も経験するものではありません。
また「これくらいなら大丈夫だろう」という思い込みも、周りに対して不快な想いを与える原因となるためNGです。
そこで今回はお葬式の服装の基本を葬儀社スタッフがわかりやすく解説!
社会人であれば知っておくべきお葬式のマナーと注意点を紹介していきます。
お葬式の服装のマナーとは
お葬式はフォーマルなセレモニーなので、参加する場合はフォーマルウェアを着用するのがマナーです。
お葬式のフォーマルウェアは喪服となりますが、喪服は「黒い色の服」というだけではありません。
・黒い色には「喪に服す」という意味がある
喪服が黒い色であることにはちゃんと意味があります。
これは「喪に服す」という意味があるため、お葬式に参加する場合は全身が黒で統一されている喪服を着用するのがマナーです。
・濃い色の黒ほど格式の高い喪服
喪服には様々な素材やデザインがあります。
デザインが違えば見た目の印象も変わりますが、同じデザインでも色の違いによって全く違った印象になります。
これは男性の服装を例に挙げてみるとよくわかります。
男性の喪服といえば「ブラックスーツ」が一般的です。
ジャケットのデザインはシングルとダブルがありますが、これだけでいえば一般的なビジネススーツでも同じですよね?
しかもブラックスーツをそのまま日本語に訳すと「黒いスーツ」になります。
ですから「黒いスーツを着ていればブラックスーツといえるのでは?」と思うかもしれません。
ところがこれは違います。
もちろんブラックスーツといっても、シングルとダブルであれば「ダブルの方が格は上」となります。
ただブラックスーツは大礼服がルーツにあります。
ですから普通の黒いスーツを並べてみると違いがあることがわかります。
一番の違いは「色の濃さ」です。
一般的なスーツとブラックスーツを並べてみると、単体でそれぞれを見ている時には同じ色に見えるのですが明らかにブラックスーツの方が黒い色が濃いです。
そのため黒いスーツをブラックスーツと勘違いしていると、お葬式場に行ったときにものすごく目立ちます。
さらにジャケットの腰の部分に切れ込みが入っていないのも、ブラックスーツの特徴です。
一般的なビジネススーツの場合は、動きやすさなどを考えてジャケットの腰のあたりに切れ込みがありますよね?
ところが正式な礼服としてのブラックスーツにはこれがありません。
ですから「黒い色のスーツを着て入ればブラックスーツに見える」というのは間違い!
年配の人やマナーに厳しい人であれば、色や形をみて「これは喪服ではない」と一発で見抜かれてしまいます。
・女性はスカートが基本
女性の場合は男性よりもさらにマナーがあります。
女性のスーツといえばスカートタイプもあればパンツタイプもありますよね?
もちろん結婚式のようなお祝いのセレモニーの場合は、パンツスタイルのフォーマルウェアもたくさんあります。
ところがお葬式のフォーマルウェアではパンツスタイルはNGです。
スカートのタイプは「タイトスカート」「フレアスカート」「ロングスカート」「ワンピース」など種類がありますが、喪服としてパンツスタイルというものは基本的にありません。
ただし最近はお葬式の服装に関しても考え方が昔と変わってきています。
そのため「女性でもパンツスタイルの喪服でOK」と考える人も出てきました。
とはいえこれはあくまでも一部の人の意見であり、一般常識として考えるのは危険です。
特にお葬式は未だに昔ながらのしきたりや風習と深く関係しています。
そのため結婚式のような慶事のフォーマルシーンよりも、お葬式の服装に関するマナーの方が厳しいのです。
ですから社会人であれば「女性はスカートの喪服を選ぶのがマナー」と覚えておいてくださいね。
お葬式の服装として男性のマナーとは!?
男性はブラックスーツを着用するのが基本です。
シーズン別に2着準備するのがベストです。
でも喪服はお葬式以外に使うことがないですよね?
そこで最近では「オールシーズン対応」のブラックスーツを選ぶ人が多いです。
ブラックスーツのジャケットは比較的ゆったりとしたデザインになっているので、多少体型に変化があっても特に問題はありません。
ただしスラックスはウエストラインに変化があると厳しいですよね?
ですからできるだけ長く使うことを考えるのであれば、アジャスターでウエストを調整できるタイプのスラックスを選ぶのがポイントです。
・靴は黒の内羽式ストレートチップまたはプレーントゥ
靴はフォーマルウェアとして定番のストレートチップかプレーントゥのどちらかであれば問題ありません。
その代り色はブラックのみです。
メンズシューズの場合「内羽式」「外羽式」の2つがありますが、お葬式では内羽式を選ぶのがポイントです。
羽と呼ばれるのは靴紐を通す穴の部分のことです。
内羽式は靴の甲部分と羽が一体となっているので、靴紐をとっても羽の部分がヒラヒラすることはありません。
これに対して外羽式は、は根の部分が本体に被さるようにしてついています。
そのため靴紐をとると羽がヒラヒラと動きます。
また羽が靴本体と一体になっていないので、凹凸があるのも特徴です。
・バッグは持たない人の方が多い
男性の場合はお葬式にバッグを持たない人の方が多いです。
お葬式場では必要最低限の荷物だけを持ち込むのがマナーです。
そのため男性の場合は「香典」「数珠」「ハンカチ」「携帯電話」「財布」以外は持ち込む必要がありません。
この程度の荷物であれば、喪服のポケットに十分収まります。
もしもバッグを持つのであれば、お葬式のバッグのマナーに反していないものでなければいけません。
そもそもお葬式で革製品のバッグはNGです。
これは「殺生」を連想させるため縁起が悪いといわれています。
女性の場合は布製のフォーマルバッグがきちんとありますので問題はありません。
でも男性の場合はバッグを持たない人が多いので、フォーマルウェアコーナーをのぞいてみてもメンズ用のフォーマルバッグの取り扱いはありません。
ですから「手ぶらでお葬式に行くとマナー違反にならないのかな?」と思うかもしれませんが、逆にバッグを持っていく方が何かと面倒なことが多いです。
ですから例にならって手ぶらで出掛けるのがおすすめですよ。
お葬式の服装として女性のマナーとは
・スカートの丈は年齢を目安に選ぶ
女性の喪服はスカートが基本です。
肌の露出を避けるために「膝が隠れる長さ」とされていますが、実際には年齢を目安にスカート丈を選んでいる人が多いです。
20~30代前半の独身女性であれば、若々しい印象に見えるワンピースタイプが人気です。
スカート丈は膝が隠れる程度で、体のラインが出にくいフレアスカートタイプが人気です。
ただし同じ年代であっても結婚して子供がいる女性は、落ち着いた雰囲気に見えるようにする人が多いです。
ワンピースタイプであってもスカートの丈はやや長めです。
またスカートのシルエットもストレートタイプが人気です。
40~60代の女性の場合は「落ち着いていること」のほかに「上品に見えること」が加わります。
そのためスカートの丈は年齢が高くなるほど長くなります。
もっとも上品に見えるのはくるぶし丈です。
そのため正喪服のスカート丈はくるぶし丈がほとんどです。
ただし夏のお葬式でくるぶし丈まであるスカートは暑くて大変です。
そのためオールシーズン用として準備している人は七分丈にしている人が多いです。
・バッグは黒の布製でサブバッグも持参
お葬式ですので革製品のバッグはNGです。
そのためお葬式の場合は布製のフォーマルバッグを持ちます。
ただし女性の場合は男性よりも荷物が多くなります。
そのため同じく黒で布製のサブバッグを持参するのが一般的です。
まとめ
お葬式の服装の基本さえきちんと理解しておけば、初めてのお葬式でも服装でマナー違反といわれることはほとんどありません。
もちろん「なんでこんなところまで気を付けなければいけないの?」と思うことも多いでしょう。
でもお葬式はフォーマルなセレモニーです。
しかも「死を悼む場」という意味がありますので、いろいろなマナーがあります。
ただ一番良いのは「悩んだときには周りに相談をする」ということです。
自己判断で「これぐらいなら大丈夫だろう」と思うことが、お葬式ではマナー違反となることもたくさんあります。
当日に恥をかかないためにも、わからない時には素直に周囲に相談するといいですよ。