男性の場合、お葬式ではブラックスーツが基本です。
もちろんお葬式は正装をする必要がありますので、当然ネクタイも必要になります。
ただしネクタイといってもいろいろなタイプがあります。
弔事用のネクタイの準備があれば問題はないのですが、ない場合はどんなネクタイをすればよいのか悩んでしまいますよね?
ただしお葬式はフォーマルなセレモニーですから、ネクタイにおいてもマナーがあります。
基本は黒いネクタイなのですが、黒いネクタイに柄が付いている場合もあります。
この場合はマナー違反となるのでしょうか?
そこで今回はお葬式のネクタイの基本について分かりやすく解説!
柄が付いているネクタイの許容範囲やネクタイを選ぶときのポイントなども併せて紹介します。
お葬式のネクタイに柄が入っているのはマナー違反!?
・お葬式に参加する場合は柄のあるネクタイはNG
お葬式に参加する場合は、ネクタイは黒い無地のネクタイが基本です。
また光沢があるものもNGです。
黒いネクタイでも織り模様がはいっているものは柄が目立ちにくいのですが、これもお葬式ではNGです。
・法事であれば織り模様の黒ネクタイは許容範囲内
法事でもブラックスーツを着用するのがマナーですが、この場合のネクタイは織り模様の黒ネクタイは一応OKです。
ただしあくまでも法事とはいえ三年忌までは正式な弔事のセレモニーとして考えます。
そのためしきたりが厳しい地域では、法事であっても無地の黒ネクタイでなければマナー違反となることがあります。
・お通夜では黒ネクタイでなくてもダーク系なら許容範囲内
通夜の場合は、あえて喪服をつけなくても問題がないとされています。
逆に喪服で参加すると「亡くなることを予想して準備していた」ととらえられることもあります。
そのため喪服ではなく黒いスーツやダーク系のスーツで参加した方が良いとされています。
もちろんネクタイに関しても同じです。
ただし明らかに派手な色のネクタイや目立つ柄のものはNGです。
ちなみに織り模様程度であれば、柄が付いていてもマナー違反とはならないと考えるのが一般的です。
お葬式では礼服として適しているネクタイをつけるのがマナー
お葬式の服装は「礼服」であることがマナーです。
礼服は「正装」ともいわれますので、お葬式の場合もその場にあった正装をすることがマナーになります。
ただちょっと勘違いしやすいのが「ブラックスーツ」という言葉です。
ブラックスーツは、確かに男性用のフォーマルスーツです。
ただし直訳すると「黒いスーツ」となってしまいますので、「黒い色のスーツを着ること=ブラックスーツ」と勘違いしてしまいます。
ところがこれは大きな間違いです。
ブラックスーツは、3段階に分けられる喪服の中で「準喪服」に分類されます。
準喪服は礼服の一種であり、喪服は「喪に服すための礼服」という意味があります。
そのため「黒い色のスーツ=ブラックスーツ」ということではありません。
・ネクタイは黒い色でも種類によってNGになる
ネクタイには実はいろいろな種類があります。
一般的なネクタイといえば、ネクタイの先端が三角形になっているものをイメージしますよね?
これは「ダービータイ」と呼ばれるもので、様々なシーンで使うことが出来るタイプのネクタイになります。
ところがダービータイには大剣の幅によって3つのタイプに分かれます。
最も定番のネクタイは「レギュラータイ」です。
レギュラータイはあらゆるシーンで使うことが出来るネクタイであり、お葬式のようなフォーマルなシーンでも使うことが出来ます。
大剣の幅は7~9cmとなっており、どんなワイシャツの襟に合わせてもしっくりときます。
これに対して注意が必要なのが「ナロータイ」と「ワイドタイ」です。
ナロータイは幅が狭いのが特徴です。概ね大剣の幅は6センチ未満です。
どちらかというとカジュアルな印象を与えるため、お葬式用のネクタイとしてはあまりお勧めしません。
これに対してワイドタイは、大剣の幅が10cm以上あります。
ネクタイの種類としては珍しいタイプなのですが、オシャレに見えてしまうのでこちらもおすすめしません。
ちなみに略礼装のネクタイとして使われる「クロスタイ」ですが、これは短いネクタイを首元でクロスさせ飾りピンで留めます。
お葬式では装飾として付けることが出来るのはパール素材に限られています。
そのため金具でとめるという時点でマナー違反となります。
またこのタイプのネクタイは日本のお葬式ではほとんど見ることがありません。
「おしゃれをしている」と判断されかねませんので、略礼装用のネクタイではあるのですがこちらもおすすめしません。
同じような理由から「アスコットタイ」もお葬式ではNGです。
アスコットタイはスカーフのようにして付けるネクタイなので、結婚式やパーティーのような華やかなシーンではおすすめの礼装用ネクタイなのですがお葬式ではNGです。
・蝶ネクタイはお葬式のネクタイとしてはマナー違反
フォーマルウェアのネクタイには蝶ネクタイ(正式にはボウタイといいます)がありますが、これはお葬式では避けるべきです。
蝶ネクタイも礼装用のネクタイなのですが、もともと華やかな夜のパーティーなどで使われていました。
ただ蝶ネクタイには先端の幅によって「バタフライ」「セミバタフライ」「ストレートエンド」「ボインテッド」の4種類あります。
伝統的なフォーマルタイとしては先端が広いバタフライがありますが、その幅は約8~9cmあるので華やかな印象になります。
そのためバタフライよりもやや小ぶりのセミバタフライが現在の蝶ネクタイの主流ですが、それでも先端の幅は約7cmあります。
ちなみに先端の幅が最も小さいものをストレートエンドといいますが、これは「華やかさを抑えるため」というよりは「小顔な男性でもスッキリと見えるように」という目的で使われます。
さらにお葬式としてNGな理由は「カジュアルなスタイルとしてもつかわれるようになった」という点です。
本来蝶ネクタイはフォーマルな正装に合わせるネクタイでした。
ただ最近ではフォーマルウェアに限らずカジュアルウェアにも合わせて楽しむ人も増えています。
そのため日本のお葬式で成人男性が蝶ネクタイをつけていれば、間違いなく「慶事用と勘違いしている」と思われますよ。
お葬式にしていくネクタイにはNGとなる素材がある
お葬式のネクタイでは「素材がNG」となるものもあります。
代表的なものを3つ挙げておきますので、十分注意してください。
・ウールタイ
ウール素材のネクタイです。
胸元に暖かさを感じさせるネクタイなので、秋・冬用のネクタイとして使われます。
ビジネスシーンでは使うことが出来ますが、お葬式では使えません。
・リネンタイ
リネンは「麻」を素材にしています。
夏用のネクタイとして使われますが、素材が麻なのでカジュアルな印象になります。
もちろんフォーマルなお葬式では使うことはできません。
・ニットタイ
ニットタイは、ウール、シルク、コットンなど様々な素材があります。
それぞれの素材を編み込んで作られているネクタイを総称してニットタイといっています。
ただしニットタイはカジュアルシーンに合わせるネクタイという印象があります。
そのためビジネスシーンであってもNGとされることが多いです。
当然ですがお葬式では使えません。
まとめ
ネクタイのマナーも服装のマナーと同じく、「正装であること」が大事なポイントです。
あくまでもお葬式は弔事のセレモニーです。
黒い服を身に着けることも「喪に服す」という意味や「遺族の悲しみに寄り添う」という意味があります。
ですからネクタイにおいても同じような意味で選ぶことが大切です。