お葬式の服装は「シンプル」かつ「上品」が基本です。
でもオシャレをする場所ではありませんので、アクセサリーをつけるにしても許容範囲が決まっています。
ただ「お葬式でもOK」といわれているアイテムも、つけ方によってはNGとなります。
そこで今回はお葬式で女性が身に着けることが出来るアクセサリーの範囲を葬儀社スタッフがわかりやすく解説!
身に着ける時のポイントやお葬式ならではの注意点についても紹介します。
お葬式の服装で女性がつけても良いアクセサリーって!?
お葬式では極力アクセサリーはつけません。
結婚指輪は「外す」という前提が基本的にありませんので、このようなものについてはつけていても問題はありません。
そんなお葬式では「涙」を連想させる素材を使ったアクセサリーであれば、身に着けてもマナー違反になりません。
ここでは「マナー違反とならない涙を連想させる素材」を3つ例に挙げておきます。
・パール
パールは「真珠」のことです。
一般的に宝石の原料となるような美しい石のことを「たま」と表現しますが、真珠は海でとることが出来る美しい石なので「珠」の字を使います。
パールには様々な意味がありますが、お葬式のアクセサリーの定番となった理由は「人魚の涙」と呼ばれることにあります。
無垢で清らかな印象のパールは、「偽りのない悲しみの涙」のイメージと重なります。
そのため古くから「涙の象徴」ともいわれてきました。
お葬式の定番アクセサリーとなった由来は、ある国の王女が関係しているといわれています。
その王女はお葬式の時に「涙の象徴」と呼ばれていたパールをお葬式の時に身に着けていました。
その姿を見た上流階級の女性たちが王女の装いをまねてお葬式にパールを身に着けるようになり、それがいつしか庶民の間でも定着化していったといわれています。
かつてはお葬式のパールといえば「ホワイトパール」のみでしたが、最近では「ブラックパール」「ベビーパール」なども許容の範囲とされています。
・ブラックオニキス
ブラックオニキスはパワーストーンとしても有名なオニキスの一種です。
ブラックオニキスにはブラックパールよりもさらに深い黒い色をしています。
濃いブラックはお葬式では上質な装いとして考えられていますので、パールの次に人気があるアクセサリーです。
またブラックオニキスは「邪気払い」「魔除け」の効果が非常に強いことから、お葬式に参加する一般弔問客に人気があります。
・ブラックコーラル(黒珊瑚)
ブラックコーラルは、仏教では「七宝」の一つとして古くから大切にされてきました。
ブラックオニキスのように深みのある黒色が特徴ですが、珊瑚が原料なので軽さあるのが特徴です。
そのためネックレスとして身に着けていても重さが気になるということはありません。
ブラックコーラルにはブラックオニキスとおなじように「邪気払い」「魔除け」としての意味があります。
現在は輸入が禁止されているので、非常に高価なアクセサリーといえます。
光沢感もありますが、パールよりもやや控えめなのでより上品な印象があります。
お葬式用に女性がネックレスを購入するなら長さがポイント
お葬式では「涙を連想させる素材」を使ったアクセサリーであれば身に着けてもマナー違反になりません。
そのため「パール」「ブラックオニキス」「ブラックコーラル」などを使ったアクセサリーはお葬式の装いとしてよく使われます。
ただしこうした素材を使ったネックレスを買う時には、「長さ」に注意が必要です。
・基本は40~45㎝のプリンセスタイプ
冠婚葬祭でオールラウンドに身に着けることが出来るのが、長さ40~45㎝のプリンセスタイプです。
1つ持っているだけでどのシーンでもワンランク上の装いに仕立ててくれるので、結婚や成人のお祝いに親から娘へプレゼントすることもよくあります。
襟元の詰まった正喪服のインナーに合わせればより上品な印象になりますし、襟元が開いたワンピースタイプの喪服に合わせても上品さが出てきます。
また年代問わず使うことが出来るので、冠婚葬祭用に購入している人も多いです。
・若い人なら約40㎝のチョーカータイプもおすすめ
長さが40㎝のチョーカータイプは、若い女性におすすめです。
若い女性の喪服としては「ジャケット&ワンピース」が多いですが、ワンピースだと首周りが少し寂しい印象があります。
その首元に上品な輝きをプラスしてくれるのがチョーカータイプになります。
ただしどの年代にも似合うという長さではないので、「一生もの」として買うのであればチョーカータイプではなくプリンセスタイプをおすすめします。
・お葬式にNGの3タイプ
ネックレスの長さにはこのほかにも「マチネー」「オペラ」「ロープ」の3タイプがあります。
まず「マチネー」ですが、長さの目安は50~55㎝となります。
この長さを1連でつけると胸元あたりまで石が届いてしまいます。
基本的にカジュアルなシーンでワンランク上のオシャレをする時に使う長さなので、お葬式ではNGです。
次の「オペラ」も、お葬式ではNGです。
長さの目安は70~80㎝ですので一連でつけるとかなりのボリュームがあります。
そのため社交界では夜会の定番アイテムとして使われています。
あくまでもお葬式では「華やかさ」は求められませんので、こちらはNGです。
最後は「ロープ」です。こちらは107センチ以上の長さのネックレスのことを言い、通常は連巻・3連巻として使います。
お葬式では1連巻のみが認められていますので、ロープはその意味でもNGです。
お葬式の服装で女性がアクセサリーをつける時の注意点
・ネックレスをつける時には1連巻のみ
お葬式でネックレスをつける時は、必ず1連巻です。
ネックレスの長さによっては2連巻・3連巻というつけ方もありますが、お葬式ではこれらのつけ方はNGです。
お葬式で1連巻に限るのは「不幸が重ならないようにする」という意味があります。
2連巻・3連巻は、1本のネックレスを2重・3重に重ねてつけますよね?
つまり「重ねてつける=不幸が重なる」となるためお葬式ではNGなのです。
・ネックレスをつけるならイヤリングもセットが基本
お葬式はフォーマルな場です。
フォーマルなシーンでアクセサリーを身に着ける時には、「耳元」と「首元」はセットで考えるのが基本です。
つまり「ネックレスだけつける」も「イヤリングだけをつける」も、フォーマルなシーンでのアクセサリーのつけ方としてはNGなのです。
ですからお葬式でアクセサリーを身に着けるのであれば、どちらか片方をつけるのではなく「ネックレス&イヤリング」でつけましょう。
・イミテーションはNG
パールはフォーマルなシーンだけでなく普段遣いとしてもオシャレに見えるアイテムです。
もちろん本物のパールを日常遣いすることが出来る人もいますが、高価なアクセサリーですのでなかなか本物を持っている人の方が少ないです。
でもその見た目の美しさはやはり真似したくなるものです。
そのためパールのイミテーションは非常に多く出回っています。
お葬式でイミテーションのパールネックレスを身に着けるのはNGです。
はっきり言いますが、本物とイミテーションの違いはすぐに分かります。
光沢感が違いますし重量感も違います。
それに本物のパールネックレスをつける人の喪服は、素材やデザインがワンランク違います。
ですから全体のバランスを見てもすぐに「これはイミテーションだ」とわかります。
・喪服や年齢によって宝石1粒の大きさは変えるべき
現場スタッフとしていろいろなお客さんを見てきた私から言わせてもらうと、「本物のパールネックレスでも、1粒のサイズがある程度大きなものでなければつけない方が潔くていい」と思います。
もちろん年齢によっても似合うサイズは違いますが、上品で高級な喪服をつけているのに粒の小さなパールネックレスをつけていると「あら?」と思います。
これに対して若い人が粒の大きなパールネックレスをつけていると、無駄に華美な感じに見えてしまい嫌味な印象を受けます。
あくまでもお葬式ではアクセサリーはNGが基本ですので、喪服や自分の年齢に合わないアクセサリーの場合は身につけない方が逆に上品に見えます。
まとめ
お葬式のアクセサリーは基本的にNGです。ただし「涙を連想させる宝石」を使ったネックレスやイヤリングの場合は、身に着けることによってより上品な印象になります。
ただし身に着ける場合も、つけ方にマナーがあります。
このマナーを守らずにつけてしまうと「この人、非常識だわ!」となります。
ですからつけ方に悩んだときは「アクセサリーは一切つけない」とした方が間違いありません。