「香典を辞退する」家族葬が最近増えています。
実際にそのことを弔問客に伝えて家族葬を行ったものの、供花や弔電が贈られればやはり受け取るのがマナーです。
では香典を辞退したけれど実際に香典や供花、弔電などを受け取った場合には、どのように対応するのがマナーなのでしょうか?
家族葬で香典を辞退した場合でも受け取るべき
香典に対する考え方は、地域によっても違いがあります。
関西圏では「香典は受け取らない」というのが慣習となっているところもあります。
そのため香典を辞退することを訃報連絡で伝えなくても、一般の会葬者は香典を準備せずに弔問に訪れます。
ところが関東圏ではそのような慣習はありません。
それよりも出された香典を辞退すること自体に否定的な人も多いです。
ですから家族の意向で香典を辞退すると決めた場合は、訃報連絡においてもそのことを付け加えておくことが基本となります。
でも香典そのものは、弔問をする側からの弔意を表すものです。
決して家族の負担になることを狙って行うものではありません。
ですから香典を辞退すると申し出があった場合でも、弔問する側からの強い意向で差し出された香典については、快く受け取るのもマナーです。
供花や弔電を受け取らないのはマナー違反?
香典と同じく弔意を表すものといえば、供花や弔電があります。
供花には「故人に対して哀悼の意を表する」という意味があります。
また弔電には「遺族に対する励ましの言葉」という意味もあります。
どちらも故人や遺族との付き合いの度合いによって贈られてくるものなので、基本的には受け取るのがマナーです。
お供え物は素直に受け取っておきましょう
香典を辞退するということは、弔問する側としても「遺族に何らかの事情があるのだろう」ということは伝わっています。
でも気持ちだけでなく形で弔意を表したいと思う人がいることも理解する必要があります。
弔電を辞退した場合は、香典・供花・弔電の代わりとして「お供え物」を贈る人がいます。
これは「遺族の負担にならないように配慮しながらも形として弔意を表したい」という思いが見て取れます。
お供え物の中身も故人が好きだったお菓子や香りのよい線香などが多いので、いただいたらありがたく仏前にお供えしておきます。
辞退の案内をする文面は必ず張り出すこと
訃報連絡の際に直接辞退の意向を伝えた人だけが弔問にやってくるわけではありません。
辞退していることを知らずに弔問に訪れる人もいます。
そのままでは弔問客が混乱してしまいますので、受付所などで必ず辞退案内の文面を張り出す必要があります。
香典・供花・弔電・供物全てを辞退してもらう場合の文面
「参列してくれるだけで充分です」という場合は、「ご厚意辞退申し上げます」とします。
このようにすれば、香典だけでなく供花や弔電などすべてのものをご遠慮させていただくということになります。
香典以外を辞退してもらう場合の文面
「香典はありがたく受け取るけれどそれ以外はご遠慮願いたい」という場合もありますよね?
その場合は「供花・供物の儀はご辞退申し上げます」とするのが正しいです。
このようにはっきりと「供花・供物」の辞退を申し出る文面だと、わかりやすいので混乱が起こりにくいです。
受け取る場合のマナーとは?
香典を辞退しているということは、香典返しの準備をしていないということです。
でもいただいたからには、お礼と感謝の気持ちを込めて香典返しを準備する必要があります。
香典辞退でも家族や親族の場合は受け取るのが常識
香典辞退といっても、この場で辞退しているのは「一般会葬者」のことを意味するのが一般的です。
ですから家族や親族からの香典は、快く受け取るのがマナーです。
この場合はお返しの品は四十九日法要の当日またはその後2~3日以内に自宅に郵送します。
お香典のお返し物には「半返し」のマナーがあります。
半返しとは、いただいた金額の1/3~半額程度を目安にお返しするというものです。
ちなみに家族や親族からの香典は、一般弔問客の香典の相場よりも高いです。
あまりにも値段の安すぎる香典返しを贈ると失礼になります。
一般会葬者から香典を受け取った場合
一般会葬者から香典を受け取った場合は、初七日当日またはその2~3日後までに返礼品を準備して渡すのがマナーです。
親しい友人・知人から受け取った場合は、お葬式が終わった後にお礼の電話だけでも先に入れておくのが良いでしょう。
お葬式終了後に自宅に弔問してきた人にはどう対応すべき?
お葬式会場では「香典の辞退」を申し出る案内看板が出ていますが、葬儀後に自宅へ弔問をする人の中にはお葬式に参列できなかったことが理由で自宅に足を運ぶ人も少なくありません。
この場合は無理にお断りをすると角が立ってしまいます。
ですからこの場合はかたくなに拒否をするのではなく、素直に受け取りましょう。
その際には「故人の遺言により葬儀では香典をご辞退させていただいていたのですが、○○さんのお気持ちですのでありがたく受け取らせていただきます」「故人の供養のためにありがたく使わせていただきます」などの一言を付け加えると良いでしょう。
香典に住所と名前があることを必ず確認する
香典返しの準備をしていないはずですので、受け取った場合には後日香典返しを郵送する必要があります。
でも自宅には芳名録(参列者の記録簿)がありませんから、住所を確認することが出来ません。
ですから必ず香典袋の裏面に住所が書かれていることを確認してください。
もしも書かれていない場合は、「葬儀の記録をまとめておりますので、ご住所を教えていただけませんか?」と一言申し出てください。
自宅に弔問客が訪れるのはいつごろまで?
お葬式が終わった後も家族には納骨や初七日法要などの準備や手配、さらには死亡後の各種手続きなどがあります。
ですから「自宅に弔問客が訪れた場合のために家を空けることが出来ない」となると大変困ります。
あくまでも目安になりますが、初七日法要は出来る限り自宅を開けないようにしましょう。
初七日法要は仏教式でお葬式をした場合には重要な供養儀式がある日なので、お葬式に参列できなかった人も自宅にお参りに訪れることがあります。
四十九日法要も大切な供養ですが、最近では寺やセレモニーホールで読経供養をした後場所を移動し食事会を行うことが多いです。
ですから弔問客は自宅ではなく、法要が行われる施設に直接弔問に訪れます。
亡くなってから四十九日法要を済ませるまでが一つの区切りとなりますので、弔問客が自宅に訪れるのも四十九日までと考えると良いでしょう。
何か準備しておくものはある?
特に改まった準備が必要になるというわけではありません。
弔問客はあくまでも弔意を表すために訪問をしているので、長居をすることは避けます。
線香とローソクは切らさないようにしておけば、和菓子やお返しの品物をあえて準備する必要もありません。
まとめ
香典を辞退したとしても、場合によっては受け取ることもあります。
受け取った場合は、お礼の意味を込めて必ずお返しの品を準備します。
手配が面倒だと思うかもしれませんが、故人のためにわざわざ準備していただいたものなのですから、それに対してお礼の気持ちを表すのは遺族としてのマナーになります。