自分の人生を振り返りつつ、残していく家族のために自分でお葬式の準備を始めるのが終活です。
そんな終活を始めた人の多くが、「自分のお葬式くらい自分らしいお葬式にしたい」というのが本音のはずです。
そんな人こそぜひ準備しておいてほしいのが、遺影写真です。
お葬式の準備はその時にならなければできないものもありますが、自分で準備しておくことができるものもあります。
そのうちの1つが遺影写真です。
特に遺影写真はお葬式が終わった後も長く家に飾られるものですから、子どもや孫たちが「この写真の人コワイ!」と嫌がるような写真を選ばれてしまうのはさすがに嫌ですよね?
そこで今回は、終活で遺影写真を準備するメリット・デメリットを説明しながら、準備をする時のポイントについて解説します。
終活で遺影写真を選んでおく!
お葬式といっても、あなたの体を火葬するだけがお葬式ではありません。
宗教や宗派によってもお葬式の流れは異なりますし、どのような規模のお葬式にするのかによっても葬儀費用は変わります。
でもどのようなスタイルや規模でお葬式をしたとしても、遺影写真だけは必要になります。
でもお葬式の準備はとても大変なのです。特に葬儀の進行を依頼する葬儀社との打ち合わせは、本当に大変なのです。
実際に喪主をつとめたことがある人であれば分かるかもしれませんが、「お葬式について知っている」と思っている人の大半が、本当の意味でのお葬式の打ち合わせについて知らないはずです。
とにかく葬儀社との打ち合わせは時間がかかります。
なにしろ葬儀を担当する葬儀社としては、「どのようなお葬式をしたいのか」と家族の希望だけでなく、家族構成や家族の経済状況、さらには故人の交友関係や親族との関係など細かな点まで把握していなければ、どのような事態が起きたとしても家族が不安に思うことがないように対応することはできません。
そのためこれらの聞き取りも同時に行いながら、様々なものを決めていかなければいけないのが葬儀社との打ち合わせです。
ですからサービスが良いと評判の葬儀社の場合は、担当者の打ち合わせだけで2~3時間かかるのが基本です。
ところが葬儀社との打ち合わせさえ終われば、後は全て任せておけばよいというわけではありません。
特に早めに準備が必要になるのが、遺影写真用の写真の手配です。
お葬式の祭壇中央に飾られる大切な写真ですから、家族としても「どのような写真を選べばあなたらしい写真と思ってもらえるのか」と、あれこれ悩みます。
さらにあなたが写真嫌いだったとすれば、選ぶための写真すら見つからないということもあります。
たとえあなたがどのような死を迎えたとしても、一緒に時を過ごしてきた家族にとっては辛い別れです。ショックも大きいでしょうが、それ以上に「家族として立派に送ってあげたい」という想いの方が強いでしょう。
このような状態に追い込まれてしまうのが家族なのですから、少しでもその時の負担を減らしてあげたいとあなたが思うのは当然です。
だからこそせめて遺影写真だけでも自分で準備しておくことが、終活では大切なのです。
自分で遺影写真を選ぶメリットとデメリット
事前に遺影写真を選んでおくことは、その時が来た時に家族の負担を少しでも減らすことにつながります。
でも自分で遺影写真を選ぶことは、メリットばかりではありません。
・自分で遺影写真を選ぶメリット
自分で遺影写真を選ぶメリットは、①自分が納得できる写真であること ②家族の負担が減るの2つになります。
どちらもあなたと家族のためになることなので、本格的に終活をしている人の多くがすでに遺影写真を準備しています。
・自分で遺影写真を選ぶデメリット
自分で遺影写真を選ぶということは、あなた自身が自分の死について考え始めているということですよね?
それはあなた自身にとっては生き方を見直す良い機会といえますが、あなたの家族にとってはそのようには受け取りません。
逆に「死ぬ準備を自分でするなんて縁起が悪い!」と不快に思う方が多いです。
エンディングノートを作る程度であればそれほど深く考えないかもしれませんが、お葬式で必要となる遺影写真の準備となれば話は変わります。
特に家族と離れて暮らしている場合はコミュニケーション不足の可能性も考えられますから、あなたの行動が家族との関係を悪くさせる原因になることもあります。
自分で遺影写真を選ぶ時のポイントは?
自分で遺影写真を選ぶということは、「この表情こそが自分らしい」と思える写真があるということですよね?
でもちょっと待ってください。
もしかしたらあなたが今遺影写真にしようと思っている写真は、お葬式の遺影写真としては使えないかもしれません。
・背景に別の人が写っている場合
遺影写真は、葬儀会場の祭壇に飾るだけでなく、喪主が挨拶をする時などでも家族が必ず胸元に持っておく大切なものです。
ですからあなたの表情だけでなく、あなたの背景にも注意が必要です。
特に問題なのが、あなたの後ろに別の人が写っている集合写真の場合です。
このような集合写真の場合、背景を修正することによってあなただけが写っている写真に加工することはできます。
でも集合写真の場合は、引き伸ばして初めてピントが自分に合っていなかったことに気が付くことがあります。
そのため「あなたにだけピントが合っている写真」でないと、遺影写真としては使えない場合があります。
・正面を向いていない写真
遺影写真には「あなたの想いを伝える」という大事な意味があります。
そのため横を向いた状態の写真は、基本的にNGです。
もちろん「本人が横顔の写真を強く希望していた」という場合は良いのですが、あくまでもそれは著名人に限られます。
ですからいくら「横から写してもらったときの方がキレイに見える」とあなたが主張しても、遺影写真としてはNGなのです。
・ラフな服装の場合
遺影写真では、服装のみを修正することもできます。
ただしこの場合、首から下は他人のものになります。
もちろん着せ替えることが出来る服の種類はたくさんあります。
でもこれらのパーツは、事前にモデルにそれぞれの服を着せた写真を合成しやすいように作ったものです。
ですから服装のみの修正は、「首から下は別の人」ということになります。
もちろんラフな服装の社員は、家族の悩みの原因にもなります。
もしもあなたがラフな服装で写っている写真を「自分のお葬式の時にはこの写真を使って」と頼んでいたとしましょう。
そうなると家族は「ラフな服装のままの写真を希望しているのか」「着せ替えが出来ることをわかっているうえで頼んでいるのか」の2つで悩みます。
そんな余計な悩みを家族にさせないためにも、着せ替え修正がいらない服装で写真に写っておくということが大切です。
・若すぎる写真の場合
自分で遺影写真を選ぶ時に大切なのは、「2~3年おきには見直す」ということです。
加齢とともに見た目も今後変化してきます。
例えば今のあなたの年齢が60歳だったとしましょう。
この時点であなたが遺影写真を準備したとすれば、それは60歳以前に撮った写真ですよね?
でもあなたが100歳まで生きたとしたら、60歳の時に準備した写真と亡くなった時の年齢に40年の差が出ます。
これではいくら何でも遺影写真としてはおすすめできません。
そのため2~3年ごとに写真を見直してみるということが大切です。
自分で準備した写真と今のあなたの姿が違うと感じられたら、それが遺影写真を選びなおすタイミングです。
まとめ
自分で遺影写真を選ぶ時には、「あえて自分でやることがあなたの家族にとって本当に良いことなのか」ということをまずは考えてみてください。
もしも家族があなたの終活に否定的な場合は、あなたが遺影写真を選んでいる作業そのものに対して強い不満を感じるはずです。
でもあなたが自分で遺影写真を選ぶ本当の理由をきちんと説明すれば、大抵の人はあなたの気持ちを受け入れてくれます。
そして否定的だった考えも、少しずつ理解してくれるようになります。
とにかく終活では「家族とのコミュニケーション」が何よりも大切です。
遺影選び通して、改めて家族とのコミュニケーションをとってみてください。
それこそが正しい遺影写真の選び方であり、自分で選ぶ時のポイントです。