お葬式にスーツを着ていくのであれば、インナー選びは重要です。
お葬式以外でも着回しをしたいのであれば、やはりシャツを選ぶ方が無難です。
でもお葬式での女性のスーツは「略喪服」とみられるため、基本的にはNGです。
そこへあえてスーツで参加するのですから、インナーとなるシャツ選びは十分に注意する必要があります。
そこでお葬式でスーツにシャツを着る場合に、女性として注意すべきポイントやシャツ選びのヒントを葬儀社スタッフがまとめて解説します。
お葬式にスーツを着る女性がシャツを選ぶ時に守りたい3大ルール
女性のお葬式の服装は「喪服」が基本です。
スーツであっても一応「略喪服」として扱われますが、略喪服はあくまでも平服に分類されます。
ですからお葬式の服装としてはマナー違反になります。
とはいえいろいろな事情があってどうしてもスーツで参加しなければならないこともありますよね?
この場合はお葬式の服装の3大ルールをきちんと守ることが大前提になります。
・基本ルールその①
お葬式の服装は「黒い色を身に着ける」ということが大前提になります。
日本のお葬式の歴史を紐解いていくと、その昔は白い色を身に着けるのが正式なマナーとされていた時代もあります。
ただしそれは日本が戦国時代と呼ばれていた頃の話です。
もちろん今でも白い喪服を着ることはあります。
ただしこの場合は着物になります。
白い着物を着る文化が長く残っていたとされているのは関西地方です。
特に大阪では江戸時代まで白い喪服が主流でした。
現在はこうした地域でも黒い喪服を着るのが一般的ですが、妻が夫の葬儀の喪主を務める場合は例外として認められます。
ただしこれは「死に装束」を意味しているため、「一生あなた以外の妻となることはありません」という意味が含まれています。
ちなみにお葬式で黒い色の服を着るのは「喪に服す」という意味があります。
そのため色が濃い黒喪服ほど格上の喪服として扱われます。
・基本ルールその②
お葬式では「光を反射するものはマナー違反」とされます。
これは喪服だけでなくバッグや靴などの小物においても共通します。
特に服装においては素材に注意が必要です。
服の素材には光沢のある素材が使われていることがあります。
またシャツの場合は、あえて光沢が出るように加工していることもあります。
結婚式のような慶事の場合は光沢がある素材の方が華やかな印象になるので良いのですが、お葬式では小物に至るまで光る素材が使われているのはマナー違反となります。
・基本ルールその③
お葬式の服装では「肌の露出を避ける」ということも重要な基本ルールです。
男性の場合は「ブラックスーツ」が基本ですので、インナーには白い無地のワイシャツをつけ首元には黒無地のネクタイをつけます。
もちろんスーツですからズボンはロングのスラックスとなります。
そのため男性の場合、ブラックスーツを着ていれば肌の露出はほぼありません。
ところが女性の場合は喪服であっても様々なデザインがあります。
フォーマルウェアですのでジャケットにスカートとなりますが、スカートの丈はデザインによっても違います。
またアンサンブルタイプの場合は、インナーも注意が必要です。
ワンピースタイプの場合は胸元がしっかりとカバーされているうえにジャケットを羽織りますから、スカートの丈さえ注意すれば問題ありません。
ところがアンサンブルの場合は、ジャケットとスカートのほかにインナーも準備しなければいけません。
もちろんインナーも露出があるものはNGですし、格式の高い喪服の場合は首元までしっかりカバーされているデザインを選ぶことがポイントになります。
もちろんジャケットは休憩中や移動中であれば脱いでも問題はありません。
だからと言ってノースリーブのインナーはNGです。
いくら休憩中・移動中とはいえお葬式の一連の流れの中にあるわけですから、肌の露出は極力避ける必要があります。
そのため夏でもインナーの基本は長袖です。
一応七分丈と半袖(二の腕が隠れる長さ)は許容範囲とされています。
お葬式でスーツに合わせるシャツとしてNGな生地
・コットン
ボダンダウンシャツやカジュアルウェアとして定番のコットンは、お葬式のシャツの素材としてはNGです。
スーツ用のシャツの場合はコットンといっても比較的太い糸を使っているので、肌が透けるということはありません。
ただしコットン素材のシャツはどうしてもカジュアルな印象になります。
そのためお葬式のシャツとしては適していません。
・シルク
シルクのシャツといえば高級品というイメージがありますが、シルクは独特の光沢感がありますよね?
これは「光を反射するものは身につけてはいけない」という基本ルールに反します。
・サテン
シルクよりも手ごろな値段で手に入るサテンシャツですが、シルクと同じように光沢があるのがこの生地の特徴です。
色は関係なく光沢があるものは避けなければいけませんので、やはりこれもNGです。
・デニム
もともと作業着用の素材として使われていたデニムは、耐久性に優れているのが大きな特徴です。
そのためパンツ用の素材として使われることが多いですが、シャツの素材としても人気があります。
ただしデニムはカジュアルウェアの素材です。
また基本的に色はインディゴブルーが使われます。
もちろん白いデニムシャツもありますが、そもそもカジュアルな服の素材として使われますのでお葬式用のシャツとしてはNGです。
・フランネル
コットンやウールを使って作られるフランネル生地は、保温性があるので秋・冬衣料の素材としてはよく使われます。
ただしフランネル生地で作られるシャツの代表といえば、カラフルなチェック柄が特徴のネルシャツです。
さすがにお葬式でネルシャツをインナーにするのはマナー違反であるということは、説明をしなくてもわかりますよね?
・リネン
麻を原料にして作られるリネン素材は、夏のシャツ素材としては非常に人気があります。
何しろ麻が原料ですから吸水性に優れています。
そのため汗をかいてもシャツが肌にピタリとくっつくことはありません。
また肌触りも良いので、清潔感があります。
ただしリネン生地はカジュアルシャツによく使われる素材です。
そのため夏のお葬式であったとしてもリネン生地のシャツを着るのはNGです。
・コーデュロイ
ウールやコットンが原料のコーデュロイは、保温性が高いので寒さをしのぐには適した素材です。
ただしコーデュロイは独特の光沢があります。
さらに秋・冬のカジュアルウェア素材として定番ですので、お葬式のようなフォーマルなシーンではNGです。
お葬式にスーツを着る女性が気を付けたいシャツのデザイン
・裾がウエストラインでカットされているデザイン
裾がウエストラインでカットされているシャツはスカートやパンツの中に入れずに着てもスッキリとした印象になるので、女性用のシャツではよくあるデザインです。
でもお葬式ではジャケットを着ていたとしても、シャツはスカートの中に入れるのが基本です。
ところがお葬式では「床に座る」「椅子に座る」「立つ」「かがむ(特に故人との対面をする場合)」など様々な動作があります。
そのためウエストラインで裾がカットされていると、動くたびにシャツがスカートから外に出てきてしまいます。
これはかなりみっともない印象になりますので要注意ですよ。
・袖の長さ
スーツのインナーとしてシャツを着るのであれば、長袖が基本です。
これはシーズン問わず共通します。
男性であってもお葬式の場合は長袖のワイシャツを着るのですから、スーツにシャツを合わせるのであれば女性も長袖をつけるのが基本です。
まとめ
お葬式では本来は喪服を着るのが女性のマナーです。
事情があってスーツを着る場合も、出来るだけ喪服に見せるような配慮は必要です。
そのためスーツで参加するのであれば、せめてインナーだけはフォーマルなものを選んだ方が無難です。
ただどうしても事情があってシャツしか準備できない場合は、お葬式の服装の3大ルールを絶対に守るようにしてください。
最低限この3つのルールさえ守られていれば、服装に関してそれほど厳しく指摘されることはないはずですよ。