お葬式の服装は喪服が原則です。
ただ喪服以外にもお葬式の装いではマナーがあります。
中でも女性の場合は「小物」に関するマナーが細かいため、いざという時に「あれ?これって大丈夫?」と不安になる人も多いです。
中でも意外とマナーについて女性の質問が多いのが靴「ヒール」です。
「黒であればなんでも良いのか?」「ヒールの素材に決まりはあるの?」「ヒールの高さは何センチまでならOK?」などヒールにまつわる疑問はたくさんあります。
そこで今回はお葬式の女性の小物で最も悩むことが多い「ヒール」について分かりやすく解説!
ヒール選びのポイントやヒール以外の靴でもマナー違反にならない靴なども紹介します。
お葬式の女性の服装はヒールも含めて「喪服と合わせる」が基本
お葬式の女性の服装といえば「喪服」があります。
喪服といっても様々なデザインがあります。
ところが実際の分類では「正喪服」「準喪服」「略喪服」の3つしかありません。
まず最も格式が高いのは「正喪服」です。
正喪服は格式が高いだけでなく、身に着けても良いとされる対象者が決まっています。
正喪服を身に着けることが出来るのは、「喪主」「遺族」「三親等内の親族」のみです。
この対象以外の場合は、一つランクが下になる「準喪服」がマナーです。
では一般的に「女性用喪服」と呼ばれる準喪服と最も格下に位置する略喪服の違いはどこにあるのでしょうか?
簡単にこの2つの違いを言うと「身に着けても良いとされる場所が違う」となります。
準喪服は「一般的な女性用喪服」と呼ばれています。
ですから遺族・親族だけでなく一般弔問客でも身に着けることが出来ます。
その上通夜式や法事などでも身に着けることが出来ます。
そのため「喪服=準喪服」と考えておけばまず問題ありません。
これに対して略喪服は「三回忌以降の法事」または「やむを得ない事情がある場合」のみ身に着けることが出来る喪服です。
三回忌は、亡くなってから2年目に行う追善供養です。
一般的にここまでは遺族・親族など故人と血縁関係のある人であれば参加するのがマナーです。
このような席は「フォーマルな場」と判断されます。そのため女性の服装は「喪服」になります。
ただし三回忌以降は徐々に規模を小さくして行うのが慣例となっています。
そのため遺族やごく近い親族のみで行ってもマナー違反となりません。
内輪だけで行う追善供養ですから、この場合は準喪服ではなく略喪服を身に着けるのが一般的です。
では「やむを得ない事情がある」というのはどのようなケースのことを言うのでしょうか?
まず一つ目は「お葬式の準備をする暇がなく、取り急ぎ式に参加する場合」です。
最近は「家族葬」と言って遺族とごく限られた親族のみで行う小規模なお葬式が主流になりつつあります。
とはいえ家族葬は「一般弔問客は一切お断り」ということではありません。
そのため故人と親しい友人やビジネス上で付き合いのある人、恩師などの場合は参加してもマナー違反とはなりません。
ただし家族葬の場合は訃報連絡の範囲も家族に決定権があるので、お葬式当日になって訃報を知るということも増えています。
このようなケースではわざわざ喪服に着替える時間がないのがほとんどです。
その場合は略喪服で参加してもマナー違反とはなりません。
もちろんこの場合は「失礼を承知のうえで最後のお別れをさせていただきたい」という気持ちが伝わるようにすることが参加者としての心得になります。
またこのように突然の連絡の場合は「式には参加せずに供花・弔電などの供物で対応する」という方法もあります。
いずれにしても女性の場合、お葬式に略喪服で参加するということは原則マナー違反となります。
・喪服に合わせる靴は「黒いヒール」が基本
正喪服、準喪服、略喪服のいずれの場合も、女性の靴はヒールが基本です。
ヒールの色は黒が原則です。
革製のものがほとんどですが、光沢がある革製のヒールはマナー違反になります。
ちなみに若い女性遺族によくありがちなのが「エナメル加工をしているヒール」です。
これは「カジュアルに見える」というだけでなく「光沢がある」ということもあって絶対に避けなければいけません。
お葬式の服装別ヒール選びのポイント
・正喪服の場合
正喪服の場合は、ローヒールが基本です。
ローヒールはかかとの高さが3cm以下のものを言います。
・準喪服の場合
準喪服の場合は、ローヒールまたはミドルヒール(中ヒール)になります。
ミドルヒールのかかとの高さは4~6cmですが、あまりかかとが高いと長時間かかるお葬式では体に負担がかかります。
理想はかかとの高さが5cm以下のヒールです。
ヒール部分が太いものを選ぶことも、足にかかる負担を少なくするポイントになります。
またお葬式場や火葬場などでは音が響かないようにすることも大事なポイントです。
かかとが細いと音が出やすいですので、こうしたことも含めてヒール選びをするのが大事ですよ。
・略喪服の場合
略喪服の場合はヒールであれば特に制限はありません。
ハイヒールのようにかかとが7cm以上あるものでも、略喪服では一応許容範囲内と判断します。
ただし7センチ以上あるハイヒールとなると、見た時に華やかな印象を受けます。
お葬式では周囲の服装に合わせるということも大事なポイントです。
ですからその点でいえば、ハイヒールであってもかかとの高さは7センチまでとするのが無難ですよ。
お葬式の靴はヒール以外でも条件によってはマナー違反にならない
・子供の場合
子どもの場合は「ヒールを履く」ということ自体が一般的ではありませんね?
そもそもシューズショップを周っても子供用のヒールを見つけることはほとんどないはずです。
もちろん子ども用のヒールもあることはあります。
ただこれはあくまでも特別なものです。
つまり「おしゃれ」としての要素が加わります。
お葬式では年齢問わず「オシャレな服装はNG」ですから、子どもがヒールを履くことはマナー違反となります。
基本的に未成年の子どもの場合は「年齢に応じた服装」がお葬式の正装になります。
ですからわざわざ革靴を買う必要もありません。
それよりもシンプルな白の運動靴の方が好印象です。
ちなみに運動靴は白以外にも黒、グレーでも問題ありません。
ただしローラーシューズや歩くたびに光る運動靴はNGですよ。
・学生の場合
制服がある学生の場合は、運動靴のほかにもローファーでもマナー違反になりません。
一般的な女子学生の制服姿といえば、制服にローファー、無地の靴下がほとんどです。
つまりこのスタイルは「年齢にあった服装」と判断されるためマナー違反にならないのです。
ただし色には注意した方が良いです。
黒のローファーであれば問題ありません。
でも種類によってはブラウン系のローファーや少し赤みがかかった黒色のローファーもありますよね?
一応制服にローファーを合わせるのであれば、多少色が違っていても許容範囲内ではあります。
ただし黒以外のローファーの場合、明るい場所に立つと茶色っぽく見えます。
黒一色のお葬式会場で一人だけ足もとが目立ってしまうことになりますので、この場合は白い運動靴に切り替えた方が無難です。
・正喪服の場合はパンプスが正式
正喪服の場合はローヒールでも問題ないのですが、正式にはパンプスを選びます。
パンプスはかかとがないだけで、正面から見た印象はヒールと同じです。
また革製の黒いパンプスよりも、布製の黒いパンプスを選んだ方がより格上に見えます。
まとめ
ヒール一つをとってもお葬式には様々なマナーがあります。
ただしいずれにしてもお葬式はフォーマルなセレモニーです。
しかも「別れの場」としてのセレモニーになるので、服装においてもマナーが細かいのです。
でもお葬式の服装にマナーが多い理由には「周りに不快な思いをさせない」という心遣いも含まれています。
ですからお葬式に参加する以上、マナー違反といわれるようなヒールを選ぶのは避けるようにしましょうね。