おひとりさまの終活では、元気なうちにどこまで自分で準備を整えておくのかということが大切です。
特に亡くなった場合に必ず問題になる「お葬式」と「お墓」の問題は、おひとりさまにとって悩みも不安も大きいはずです。
そこで今回は「おひとりさまのお葬式・お墓」に関する問題を解決するためのヒントをわかりやすく紹介します。
おひとりさまの終活
おひとりさまというと「結婚をしない人」というイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。
確かに生涯未婚率を見てみると年々上昇傾向にあることがあります。
もちろん積極的におひとりさまの暮らしを選ぶ人もいますが、「経済的な理由で結婚が出来ない人」も増えています。
若い世代が結婚に踏み切れない理由には「結婚資金がない」「家族を養っていく安定した収入がない」ということがあります。
ただ女性のおひとりさまの場合は事情が少し違います。
中でも「社会進出が出来ていて結婚に頼らなくても経済的に自立できている」ことがおひとりさまである理由の上位にあるのが特徴です。
・おひとりさまになる可能性は誰にだってある
おひとりさまになる可能性は誰にだってあります。
結婚をしていても子供がいなければ将来おひとりさまになる可能性があります。
また結婚に対する価値観や女性の社会進出などもあって「夫の退職を機におひとりさまになる」という人も増えています。
さらに親族との付き合い方にも変化があります。
進学や就職を機に田舎を離れ、そのまま生活の基盤が田舎以外の場所にあるという人は、親族との付き合いが希薄になってしまう傾向にあります。
そのため親が亡くなると親族との関係も切れてしまうというケースもよくあります。
つまり今の世の中では「いつ誰がおひとりさまになってもおかしくない」のです。
・おひとりさまの老後は「計画的に準備」が大事
いつどこでおひとりさまになるかわからない今のご時世ですから、もしもに備えて老後の準備を始めていくことは大事なことです。
特に現在おひとりさま生活を満喫している人は「現役で働いている間に計画的に老後の準備をする」ということが大切です。
・自分が認知症になるかもしれないことを意識して準備すべき
病気に対する備えについては多くのおひとりさまが意識していますが、認知症になったときのその後の人生についてまで考えている人は少ないです。
認知症は、発症すれば徐々に進行していく病です。
しかも現時点では有効な治療法が見つかっていませんから、早期発見できたとしても根治は期待できません。
症状の進行を遅らせつつQOLを高めていくしかないのです。
認知症になると一番困るのが「お金の管理」です。
病状が進行していくと「買い物が出来なくなる」「お金の管理が出来なくなる」などの症状がみられるようになります。
また「自分の名前を書く」という簡単な行動ですら難しくなります。
ですから認知症になってから老後のことやお金の管理を誰かに依頼しようとしても、契約の時に必要になる署名が出来なくなってしまうのです。
だからこそおひとりさまの終活は「早めに準備が必要」といわれるのです。
・介護が必要になったときのお金とは別にお葬式とお墓の費用も考えよう
介護が必要になったときには介護保険を利用することが出来ます。
また介護を受ける際にも様々な介護サービスや制度があるため、早めに計画しておけばおひとりさまでも日々の生活に不安を感じる必要はなくなります。
ただしお葬式とお墓は別問題です。
お墓は自分で購入することが出来ますが、亡くなってからお墓に納骨してくれる人がいなければ困ります。
お葬式は、亡くなってから初めて契約が出来ます。
この2つはどちらも避けて通ることが出来ない問題ですし、自分の死に関することですから誰かの助けを借りなければ実行できません。
頼る家族がいないのであれば、それに代わる第三者に依頼をしなければいけません。
第三者に依頼をするのであれば、やはりお金がかかります。
人生の最後も自分らしく終わらせたいのであれば、やはりお葬式とお墓にかかる費用は老後にかかる費用とは別に準備しておく必要があるといえるでしょう。
・自分の老後を安心して任せられる人を探そう
頼れる家族や友人がいなくても、自分の老後を安心して任せられる人がいれば心強いものです。
実はおひとりさまの場合、家族や友人ではなくあえて第三者に任せた方が安心できることも多いです。
もちろん第三者に任せるからには正式な契約を結んでおく必要があります。
でも正式な契約を結んでいれば、その契約を実行する義務が第三者に発生します。
しかもあらかじめ契約内容を確認したうえで契約するわけですから、実際にどのようなことを任せられるのかが可視化されています。
「見える安心」はおひとりさまの老後にとって力強い存在です。
安心をお金で保証する関係といってしまえばドライな印象があるかもしれませんが、感情に左右されずに任せることが出来るという安心感は代えがたいものがあります。
おひとりさまのお葬式はこうすれば大丈夫
おひとりさまだからといってお葬式をしないわけにはいきません。
さらにひとりさまの場合、「もしも孤独死してしまったら…」という不安はあるはずです。
・喪主がいないお葬式をすることもできるけれど…
葬儀社によっては、いざとなったときのためにあらかじめ生前契約を行う葬儀社もあります。
こうしたサービスを利用すればお葬式にかかる費用をあらかじめ準備して契約を済ませればよいのですから、お葬式費用に対する不安はなくなります。
でもいくら葬儀の契約を葬儀社と済ませていたとしても、いざ亡くなったときに葬儀社を手配することが出来ないと意味がありません。
・任意後見契約をしていても死後の処理に関する法的効力はない
生きている間の財産の管理やその他手続きの代行などは、任意後見契約でカバーすることが出来ます。
ただ任意後見契約の法的効力は、委任者が死亡すると同時に終了します。
つまり任意後見契約の契約内容に「死後の処理」が含まれていたとしても、実際に実行されない可能性があるうえにその法的効力も責任も後見人にはないのです。
・死後事務委任契約ならお葬式から納骨まで任せることが出来る
死後事務委任契約は、名前の通り「亡くなった後に行う事務手続き・作業を委任する契約」です。
この契約であればおひとりさまのお葬式も納骨も全て任せることが出来ます。
・死後事務委任契約はだれに頼むべき?
死後事務委任契約を結ぶ相手に決まりはありません。
信頼できる友人がいれば、その方に委任しても構いません。
場合によっては地域の民生委員が引き受けてくれることもあります。
専門家に依頼する場合は弁護士、司法書士、行政書士などがあります。
・事後事務委任契約をする時のポイント
事後事務委任契約を交わせば、お葬式の手配や立会、納骨、その他死後にかかわる手続きを委任することが出来ます。
ただし預貯金からお金を引き出すことはできません。
あらかじめ葬儀社と契約を交わし、支払いまで全て済ませておくことがポイントです。
おひとりさまのお墓もこうすれば大丈夫
・事前にお墓を購入しているだけではだめ
おひとりさまの場合、お墓を事前に購入していてもそのことをだれにも伝えずにいては意味がありません。
死はいつ来るかわかりません。
いざその時が来た時にお墓を購入していることを誰も知らなければ、せっかくお墓を購入しても別の場所に納骨されてしまうかもしれません。
まずはあなたがお墓を購入していることを周りに伝えておく必要があります。
それと同時にエンディングノートなどを使ってお墓がどこにあるのか、どのような契約をしているのかなどを詳しく記録しておくようにしましょう。
・お墓に納骨してもらうところまで考えるべき
お墓があっても、それだけでは納骨できません。
自分でお墓に入ることはできませんから、誰かに納骨まで依頼する必要があります。
自分の納骨を頼むことが出来る家族や友人・知人がいない場合は、弁護士などの第三者と死後事務委任契約を結んでおくとよいでしょう。
まとめ
おひとりさまの終活は、「どこまでやっておけば安心なのか」という質問に答えはありません。
なにしろおひとりさまの老後を狙った犯罪も多く、「お金を払えばあとは安心」とはいかないのです。
ただ早めに準備をしていくことによって「本当に自分の死後のことを任せられる相手なのか」を見極めることが出来るようになります。
その見極めをするための期間も含めれば、早いうちに終活を始めておくことが何よりも大事なのです。