お葬式は日程の決め方に悩むことが多いです。
身内であってもそれぞれ違う地域に住んでいることも多く、参加者が集まることが出来るように時間の調整をしなければいけないこともあります。
でもこういった問題がない場合でも「友引」の場合は避ける傾向があります。
ところが友引を避けてお葬式をすることによって結果として亡くなってからお葬式まで時間がかかってしまうということもあります。
ではどうしてお葬式では友引を避ける傾向があるのでしょうか?
またお葬式の日程はどのようにして決めるのでしょうか?
もしも友引でしかお葬式が出来ない場合は、何か対策はあるのでしょうか?
お葬式の日程で友引を避けるようになった理由
お葬式の日取りとしてあまり良くないとされているのが「友引(ともびき)」です。
友引はそもそも日本で昔から使われてきた暦の1種「六曜(ろくよう)」の一つです。
・六曜とは?
六曜は明治時代に広く使われていた暦です。
現在の「七曜(月・火・水・木・金・土・日)」と同じように使われていたのですが、いつの間にかに日の吉凶を調べるために使われるようになりました。
なぜなら六曜にはそれぞれに意味がつけられていて、その意味をもとに吉凶を占うようになったからです。
・六曜それぞれが持つ意味とは?
六曜には「先勝(せんしょう・さきかち・せんかち)」「友引(ともびき・ゆういん)」「先負け(さきまけ・せんぷ・せんまけ)」「仏滅(ぶつめつ)」「大安(たいあん・だいあん)」「赤口(しゃっこう・せきぐち・しゃっく)」の6つがあります。
【先勝】は、「先んずればすなわち勝つ」という意味があります。
つまり何事にも早くする分には吉となるというので、午前中は「吉」と考えます。
【友引】は、「勝ち負けの勝負がつかない」「凶事は友を引く」「友を引く」の3つの意味があります。
おめでたいことを行うのであれば「友を引く=幸せを分け与える」となるので結婚式の日取りとしては非常に喜ばれます。
ただしお葬式では「友を引く=あの世に友を連れて行く」となるので、避ける傾向にあります。
【先負】は、「先んずればすなわち負ける」という意味があります。
急に物事を決めると凶となるとも解釈できます。ちなみに午後は「吉」と考えます。
【仏滅】は、「仏も滅する」という意味があります。
あの仏さまがいらっしゃらなくなるというわけですから、当然おめでたいことを行う日取りとしては最悪とされます。
ちなみに「何をしてもうまくいかない日」とも言われています。
【大安】は、「大いに安し」という意味になります。
つまり何をやってもうまくいく日というわけです。
そのため結婚式のような晴れの日には最高の日取りとなります。
【赤口】は、おめでたい日にはあまり良い日とは言えません。
何しろ午の刻(正午から午後2時ごろまで)のみ吉とされているので、一日を通して何かを行う日としてはあまり良くありません。
特に刃物を扱う人にとってこの日はあまり良いことが起こらないといわれています。
そのため料理人のような刃物を扱う職業の人にとってはあまり好まれない日です。
友引にお葬式をすると本当に不幸が続くのか?
六曜はあくまでも暦の一つです。
ただ六曜が使われるようになる前は旧暦が一般的に使われていました。
旧暦は太陽と月の動きをもとに作られるので、明治以前の人々にとっては仕事の目安になる非常にわかりやすい暦でした。
旧暦は「○○に良い日」のように庶民にもわかりやすいものだったので非常に重宝されたのですが、六曜になるとそれがなくなります。
そこで当時暦票を売って生計を立てていた人たちはなんとか売れる方法はないかと考え、それぞれの日に吉凶をつけることにします。
するとこれが大当たりし、瞬く間に六曜は広がります。
その後現在の暦のスタイルに変わるのですが、日の吉凶占いという六曜の役割は残り、今もその慣習が残っています。
ただ考えてみても六曜が広まったのは明治時代のことです。
それ以前もお葬式はあったわけですから、「友引にお葬式をするのは縁起が悪い」という考えは明治時代以降に広まったと考えた方が正しいのかもしれません。
それに「友引にお葬式をすると不幸が続く」ということに科学的な根拠はありません。
ですから非科学的なことは気にしないという人にとって見れば「友引にお葬式をしても問題はない」と言います。
お葬式にはいろいろな人が参加するからやっぱり友引は人気がない
喪主や遺族が友引を気にしないとしても、やはり現実的には避けるのが一般的です。
お葬式にはいろいろな立場の人が参加します。
喪主や遺族が「友引にお葬式をすると不幸が続くなんてことはない」といったとしても、お葬式に参加するほかの人からすれば「縁起が悪い」と感じる人の方が多いはずです。
身近な親族であれば「友引は縁起が悪いから別の日にしなさい」とアドバイスをしてくれるかもしれませんが、一般の会葬者がそのようなアドバイスをすることはありません。
ですから日の良し悪しを気にする人ならばうちは出さない代わりに「参加しない」となるかもしれません。
お葬式は家族だけのものではありません。
故人と縁のあった人のためのものでもあります。
ですからお葬式を施工する側としては、様々な事情を配慮して日程を決めるということはとても大事なのです。
だから今でも友引にお葬式を行うのは避けるのが一般的なのです。
お葬式の日程の決め方は!?
・仏式の場合、一般的に友引は避ける
お葬式の日程は火葬場の予約状況とも関係します。
ですからまず初めにいつ火葬をするかを決めます。
ただし火葬の前にはお葬式が行われるので、友引を避けて火葬の予約を入れるのが一般的です。
ちなみに全国的に見ると仏式のお葬式では友引は避ける傾向が強いです。
・キリスト教では友引でも関係ない
キリスト教では、死者は約束の地に行くと考えます。
死者は必ず最後の審判を受けます。この審判で下されるのは「天国行き」「地獄行き」のどちらかということです。
キリスト教の考えには「罪は悔い改めれば良し」と言います。
ですから基本的に地獄に行くことはありません。
つまり天国に行けば死者と再会することが出来るというのが、キリスト教の基本的な考えです。
しかも死を迎えるということは神の国に行くということなのですから、もしも本当に友を引いたとしてもそれ時代を縁起が悪いとは考えません。
ですからキリスト教の場合は友引でもお葬式はします。
お葬式の日程が友引になってしまう場合の対策は!?
どうしても友引の日にお葬式をする場合、昔から「友引人形を入れる」という風習があります。
考え方としては非常に単純で、「生きている人の身代わりとして人形を持たせる」というわけです。
これは友引のときにだけ使う方法ではなく、お葬式が2度続いた時にも行います。
「3人目を連れて行かせないための身代わり人形」ということなのですが、この時に使われる人形も「友引人形」と呼ばれています。
手作りした人形を身代わりとして持たせる地域もありますが、最近では葬儀社にお願いすると火葬が出来る可燃性の友引人形を準備してくれます。
まとめ
友引であってもお葬式はできます。ただしお葬式は縁起が良いものではありません。
また昔から日本人は「死」に対して恐怖心があります。
それだけに「縁起の悪い日にお葬式を行えば不幸が続く」と考えられ、それが今でも慣習として残っています。
もちろん喪主や遺族が友引でも問題ないのであればよいのですが、会葬者を招くお葬式をするのであれば参加者への配慮という意味ではあまり良い選択とは言えません。
いずれにしてもお葬式は「家族だけのものではない」ということも忘れてはいけませんよ。