入籍・結婚式まであとわずかというところで身内に不幸があった場合、優先させるのはやはりお葬式の方です。
とはいえいろいろな苦難を乗り越えてようやくあとすこしで入籍・結婚式というところまでやってきた2人ですし、式場のキャンセルなどを考えると出来れば予定通りに進めていきたいと思う気持ちもわかります。
では身内に不幸があった場合、間近に迫った入籍や結婚式はどうすればよいのでしょうか?
本来であれば喪中に結婚式は避けるべき
弔事(お悔やみ事・お葬式)と慶事(お祝い事・結婚式)の場合、優先するのはやはり弔事の方です。
結婚式もお葬式もひとくくりでいえば「冠婚葬祭」となりますが、実際にはこの2つには大きな違いがあります。
まず結婚式のような祝いのセレモニーにおいては、時間をかけて準備をするのが一般的です。
結婚をするにしても、「今日出会ったけれど相性が抜群に良かったから明後日には結婚式を挙げよう!」という人はいません。
もちろん中にはそういった人もいるでしょうが、やはり家族同士の問題も関係してきますので一般的とは言えません。
ところがお葬式の場合は結婚式と同じくらい(またはそれ以上)にお金がかかりますが、ほとんどの場合亡くなってから数日以内に式が行われます。
準備をする時間も限られていますが、お葬式に呼ばれた人もよほどの事情がない限り優先して参加します。
もちろんこうした事情をあなたもよくわかっているからこそ、2人の入籍・結婚式のタイミングに悩んでいるのですよね?
では一般常識の範囲で「結婚式をしても良いタイミング」について説明しましょう。
・喪が明ければ結婚式を行っても問題はない
お葬式の期間を含めてある一定の期間のことを「喪中」といいます。
喪中とは「喪に服す期間」という意味があり、この期間には結婚式やお祝い事はもちろんですが不要な外出も避けるべきというのが昔からの慣習です。
ただし喪中の期間も故人との関係によって変わっています。
最も長い期間喪に服すのは、故人とのつながりの深い「配偶者」「親」「子」です。
これらに該当する人は1年間を喪中とします。
もちろんこれに該当する人の配偶者や親なども同じ期間喪に服します。
また故人のきょうだいや孫も喪に服しますが、その期間は比較的短いです。
考え方や地域の慣習・宗教によっても違いはありますが、仏式でお葬式をすることが多い日本では49日法要が終わるまでは控えることが多いです。
・入籍と結婚式は別と考える人も多い
結婚式となると多くのゲストを招待して結婚を披露するパーティーとなりますので、さすがに身内のお葬式があった場合は喪が明けるのを待ってから行うという人が多いです。
でも入籍に関していえば、それほど厳しく考えない人も多いです。
たとえばよく耳にするのが「入籍は予定通り行い、結婚式は喪が明けてから行う」というケースです。
入籍は「婚姻関係をスタートさせるための法的手続きをする」ということですから、お祝いのためのパーティーを行う必要はありません。
とはいえ両家の家族が集まって入籍報告を兼ねた食事会を開くというケースもありますし、結婚式のスケジュールが変更になった理由を説明することと併せて、友人と入籍パーティーを開くケースもあります。
いずれにしても喪中であるため、パーティーといっても食事会程度に済ませるのが一般的です。
お葬式が理由で結婚式を延期するとキャンセル料はかかるの?
結婚式の予定が間近に迫っている段階だと「式を延期したら費用が追加されるのでは?」という不安もありますよね?
ただこれに関していえば式場によって対応が変わっています。
一般論でいうと「身内のお葬式を理由に結婚式そのものをキャンセル」の場合、間違いなくキャンセル料が発生します。
キャンセルを申し込むタイミングにもよりますが、式の直前の場合はほぼ全額請求となります。
ただし「身内のお葬式を理由に結婚式の日程を延期する」の場合、申し出るタイミング次第では延期にかかる費用が無料の場合も多いです。
もちろんすでに出来上がってしまった招待状のような印刷物に関してはキャンセル料が発生します。
でも内容に大きな変更がなく日程のみの変更であれば、予定日の1か月前までの申し込みがあればほとんどキャンセル料なしで延期することが出来ます。
・とにかく担当のプランナーに相談することが大事!
ここで紹介した日程の目安は、あくまでも一般常識の範囲内です。
私が過去に担当した家族の中には、式まで2週間となった時点で日程の変更となったものの、料理内容とドレスの変更のほかはほぼ予定通り。
しかもキャンセル料なしで結婚式を延期が出来たというケースもあります。
ただしこのケースの新郎新婦は、身内の訃報が入った時点ですぐに担当のプランナーさんに相談していました。
そのことで事情を理解してくれたプランナーさんが関係各所に直接交渉にあたってくれたらしく、ほとんど追加料金なしで結婚式を挙げることが出来たそうです。
このようにどんな件に関してもまずは担当者に相談をすることが一番です。
事情が分からないままキャンセルまたは延期となれば、そこまでにかかった費用や人件費などを請求されたとしても仕方のないことです。
でもお葬式は人の死が関係していますからいつ起こるかわかりません。
また身内であれば自分の幸せを祝ってもらうよりも、その場に出向いてお別れに立ち会いたいという気持ちが強いのは当然です。
だからこそきちんとした理由を早めに担当プランナーに相談することが大事なのです。
ちなみに最後のポイントとしては「悲しい出来事をみんなで乗り越えたら、その分みんなに祝福してもらえると思うんです!」とアピールすることです。
これってプランナー泣かせの名言なので、使ってみるとかなり効果がありますよ!
喪中でも結婚式を強行した人もいる
身内が亡くなり喪中だったにもかかわらず、予定通りに結婚式を行った先輩たちもいます。
・招待客の数が多く、日程の変更をすることが難しかった
最近では家族と身内だけの小さな結婚式も人気がありますが、中には招待客の数が数百名規模という大きな結婚式の場合もあります。
しかも訃報を聞いたのがすでに招待状を発送した後だった場合、さすがにゲスト全員に日程の変更を連絡することが難しい場合もあります。
このような場合はゲストには身内に不幸があったことを知らせずに、予定通り結婚式を行うこともあります。
ただしこの場合は「事情を説明して二次会への新郎新婦の参加はキャンセル」というケースもあります。
・親族から促されて予定通り結婚式を挙げた
亡くなった本人が2人の挙式を楽しみにしていたというケースでは、親族側から「あなたたちが結婚式を予定通り挙げてくれるのが一番の供養になるから」と諭されるケースもあります。
・式の内容を変更して内輪だけで結婚式を行った
予定では披露宴まで行う予定だった結婚式を、家族・親族とごく親しい友人・知人のみの小さな結婚式に内容を変更して行ったという人もいます。
規模が小さくなった分結婚式にかかる費用もかなり抑えられたため、キャンセルにかかった費用も含めても当初予定していた予算の範囲内で収めることもできます。
また参加者も式の内容が変更となった事情を知っているだけに、そのことに対してクレームが起きることもありません。
まとめ
入籍や結婚式の予定日間近に身内の不幸があると、やはり結婚式の日程は延期するというのが一般論のようです。
でもそこにあるのは「新しいスタートだからこそ、みんなに心から祝福してもらいたい」という新郎新婦の願いも込められています。
もちろん予定通りに結婚式を挙げる人もいますので、必ずしも延期しなければいけないということではありません。
いずれにしても結婚式は2人だけの問題ではありませんから、参加者全員が納得できる方法を相談して決めることが一番ですよ。