お葬式に一般会葬者として参加することはあっても、喪主・遺族・親族としてお葬式に参加することはそれほど多くはありません。
まして「喪主」という立場でお葬式に立ち会うということは、人生の中でも1回多くても2回まででしょう。
でも実際のお葬式の現場では、次から次へと様々な儀式に立ち会います。
もちろんその中では会葬者への対応も必要になるでしょうし、お礼のあいさつも喪主を務めるとなれば対応しなければいけません。
そこで当日に慌てないためにもまずはお葬式当日の喪主の流れをザックリと頭に入れておきましょう。
流れがある程度わかっていれば「喪主でなければできないこと」と「誰かにお願いが出来ること」がわかります。
少しでも喪主であるあなたの気持ちの負担を減らすためにも、このポイントをわかりやすく解説します。
お葬式当日の喪主の流れ
・集合時間の1時間前には式場に到着
お葬式当日のスケジュール表の中には、必ず【遺族・親族集合時間】と書かれている部分があります。
これは正しい解釈をするとすれば「喪主とその家族を除く遺族・親族の集合時間」と理解してください。
喪主を務めるあなたとあなたの家族は、そのほかの遺族・親族から見ればホストとなります。
ただし一般の弔問客から見たときは、喪主であるあなたもあなたの家族も「遺族・親族」となります。
とはいえ最近のお葬式は家族を中心にしたコンパクトなお葬式【家族葬】が主流です。
ですから一般の弔問客の数はそれほどいません。
ですからどちらかというと【遺族=喪主(あなた)とその家族(あなたの家族)】と分けて考えるのが一般的で、親族はその他の遺族と親族と一般の弔問客と考えるとわかりやすいです。
このことを踏まえておくと、喪主であるあなたはスケジュールよりも前に指定された場所に到着していることが大事だということがわかります。
お葬式の当日も集合時間よりも少し早めに到着し、葬儀スタッフと最終打合せを済ませゆとりをもってその他の参加者を迎えることが出来るようにしましょう。
・各係の配置の確認
式場への入場時間の30分前までには、係を頼んだ人がそれぞれの場所に待機しているか確認してください。
特に受付係は香典の管理をする人になるので、受け付け開始時間までに葬儀スタッフから対応の仕方などの説明を受けます。
もしも受付係を頼んでいた人から「時間に遅れる」という連絡があれば、代理となる人を急ぎ手配し受付が予定通りにスタートできるように手配しなおしましょう。
・式場入場
式場への案内は、葬儀式が始まる15分前が目安です。
席順は前日の通夜式と同じです。
喪主が着席をしなければほかの遺族・親族はなかなか席に座ることが出来ません。
ですから式場への入場時間までにはトイレや所用を済ませ、入場の案内が始まったら真っ先に着席をするようにします。
・導師入場(入堂)
葬儀式が始まる直前にお坊さんが式場に入場してきます。
この時点からお葬式はスタートすると思ってください。
・葬儀・告別式開式
定刻通りに式は始まります。葬儀・告別式は葬儀スタッフ(司会担当者)の「開式宣言」で始まります。
・読経開始
開式宣言の後、すぐに読経が始まります。
しばらく読経が続きますが、読経スタートから15~20分後を目途に遺族・親族焼香が始まります。
それまでの時間は仏教における葬儀の儀式の中でも最も大事な部分ですので、心静かにお勤めするように心がけてください。
・喪主の焼香および遺族・親族焼香
司会担当者が「遺族・親族焼香」の案内をします。遺族・親族焼香は初めに喪主が行います。
ですから喪主であるあなたは、司会者の案内に従い焼香所に進み焼香をします。
あなたの焼香が終わり着席をすると、式場誘導員の案内によって着席している遺族・親族が順に焼香をします。
・一般焼香
遺族・親族の焼香が終わると、一般会葬者の焼香となります。
こちらも司会者及び式場誘導員が会葬者への案内を行いますので、喪主であるあなたは着席のままで会葬者の弔問を受けます。
・葬儀・告別式閉式
一般焼香が終わると、司会者が「閉式宣言」をします。
これによって葬儀・告別式は終了となります。
ただしすぐに出棺の準備が始まりますので、あなたや遺族・親族はそのまま式場内に残ります。
・出棺準備
最後のお別れの時間です。
副葬品(故人の愛用品や手紙など棺に入れる品物)を棺に納めます。
この場でのお別れが最後の時間と思ってください。
一般会葬者は出棺の立会いのために外で待機します。この時の誘導は式場誘導員が担当します。
・謝辞
霊柩車に乗り込む前に、出棺に立ち会っている皆様方へお礼のあいさつを行います。
一般的にこのときの挨拶は喪主が担当します。
・出棺
一般的に霊柩車に同乗するのは喪主です。
その他の遺族・親族はそれぞれの車または葬儀社が手配しているマイクロバスにて火葬場へ向かいます。
・荼毘式
火葬場に到着すると、指定された火葬炉の前に棺と共に移動します。
火入れの直前には立ち会っている参加者全員で手を合わせます。
場合によっては炉前でお坊さんによる簡単な読経が行われることもあります。
・休憩
収骨予定時刻までは、指定された休憩場所で待機します。
地域によっても異なりますが、この時間に初七日繰り上げ法要を行う場合もあります。
あらかじめスケジュールを確認しましょう。
・収骨
火葬場職員の指示に従い、骨壺に遺骨を納めていきます。
・帰宅
一般的に納骨は後日行います。
ですから火葬場で収骨が終わったら、立ち合いをした遺族・親族はその場で解散となります。
遺骨は自宅に設置された中陰祭壇(法要祭壇という場合もあります)に安置します。
これにて葬儀当日のスケジュールはすべて終わりです。
葬儀当日に慌てないために通夜の間に喪主がすべきこと
・各係の手配の確認
葬儀当日に各係の手配をすることは、時間的に無理があります。
ただし通夜式にも係の手伝いが必要になります。
通夜式で係を担当した人に葬儀当日の係もお願いするのであれば、通夜の前日までに確実にお願いをするようにしましょう。
もしも通夜とお葬式で別々の人が係を担当するのであれば、通夜の間にその確認を済ませておきましょう。
・火葬場への移動方法の確認
喪主は式場から火葬場までは霊柩車で移動しますが、火葬場から自宅へ帰る時には霊柩車はありません。
ですから喪主が火葬場から移動するときの車の準備が必要です。
さらに喪主以外の関係者が火葬場まで行く移動手段も確認しておきましょう。
もしも地方からの参加者が多い場合は、自家用車での移動は参加者の負担となります。
この場合は事前に送迎用のマイクロバスを葬儀社に手配しておくようにしましょう。
・挨拶文の準備
出棺前の挨拶は、基本的に喪主が行います。
この時の挨拶では、「来ていただいてありがとうございます」というお礼の言葉と「今後とも故人同様のお付き合いを宜しくお願いします」というお願いの言葉があります。
葬儀社に依頼すれば挨拶の例文を準備してもらうことが出来ますが、最近は故人の晩年の様子などを盛り込んだオリジナルの文章を準備する人も多いです。
もしもオリジナルのあいさつ文で謝辞を行うのであれば、通夜までに準備しておくようにしましょう。
喪主以外でも対応できることは人にお願いしよう
「理想」で言うならば、喪主はお葬式に関するすべてのことに対応しなければいけません。
でもこれはあくまでも「理想」です。
喪主であるということは、亡くなった人とあなたはお葬式に参加する人の中で最も近い関係といえます。
ですからあなた自身も気持ちを整理するための時間が必要です。
お葬式当日にすべての気持ちの整理がつく人はいません。
でもお葬式が終わった後に時間をかけて気持ちの整理をするためには、お葬式当日にどれだけ亡くなった人と時間を過ごすことが出来たかが関係します。
ですから大まかな葬儀の打ち合わせが終わったら、その他の細かな打ち合わせはあなたの子供たちや親族の中で最も信頼が出来る人にお願いしましょう。
最終的な判断は喪主が行いますが、それまでの細かな打ち合わせは喪主が立ち会わなくとも問題ありません。
また人前で挨拶をするのが苦手な人は、喪主であっても別の人に挨拶をお願いしても構いません。
最近ではあなたが書いた手紙を葬儀の司会者が代読して挨拶をするスタイルもあります。
・喪主でなければできないことをするのがお葬式
お葬式の現場にいると「謝辞のことが気になってゆっくりとお別れをすることが出来なかった」と葬儀が終わった後で本音を漏らす喪主に出会うことが多いです。
これは「万蔵できるお葬式」とは言えないマイナス要因となります。
あくまでも「喪主」としての務めは「お葬式が終わるまでを最後まで見届けること」です。
それ以外のことは、たとえ喪主でなければ格好がつかないと思うようなことであっても代理は可能です。
ですからどんな些細なことでも不安がある場合は、その不安を素直に周りの人に相談してください。
もしもあなたの方から頼みづらいのであれば、葬儀担当者に仲介役を頼んでみるのも一つの方法です。
まとめ
喪主の務めはいろいろありますが、何が最も大事かというと「最も近い関係者として最後までお葬式を見届けること」にあります。
ですからまずはあなたがお葬式当日、最後まで体調を崩さないことが大前提です。
また「喪主だから頑張らなければいけない」という気持ちも大事ですが、喪主でなくても対応できることはたくさんあります。
あなた自身もきちんとお別れをすることが大事なので、周りにお願い出来ることは潔くお願いしましょう。