お葬式の費用は、お葬式が終わるまでにかかる費用だけでなく納骨・法要などにかかる費用までとなると数百万円にもなります。
ここ数年は積極的に自分の最期について考える「終活」がブームになっていることもあって、お葬式にかかる費用は予め準備しておきたいという人が増えています。
そんな中で注目されているのが「お葬式の保険」です。
お葬式の費用として使うことが出来るだけでなく、納骨や追善供養、永代供養などの費用にも使うことが出来ます。
しかも生命保険とは違い比較的審査が緩いのも特徴です。
それだけに今現在、ものすごい数のお葬式の保険があります。
そこで今回はお葬式の保険について分かりやすく解説!
種類によって特徴が違うお葬式の保険のポイントと選ぶときの注意点をまとめて解説します。
お葬式の保険の種類とそれぞれの特徴
お葬式の保険には様々な種類があります。
共通することも多いですが、保険会社の商品ですから少しでも他社のプランとの差別化を図るために様々な種類の保険が登場しています。
・お葬式保険で共通していること
お葬式保険の加入を考えている人の多くが「残す家族の負担とならないようにしたい」と考えています。
つまり加入を考えている人の多くが「自分が死んだときのお葬式代として保険を考えている」と言えます。
保険というと「医療保険」の方が一般的ですが、医療保険の場合は加入できる年齢に制限がありますよね?
特に病気などのリスクが高い高齢者の場合は、加入が出来ないことも多いです。
ところがお葬式の保険は「加入者が死亡したときのお葬式台としての保険」ですから、加入できる年齢の上限が高く設定されています。
基本的にはほとんどの保険で高齢者の加入がOKです。
場合によっては90歳未満であれば加入できる保険もあります。
さらにほとんどのお葬式保険では医師による健康状態のチェック(医師の診断)は必要ありません。
さらに掛け金もプランによっては月々2000円台とかなりお得ですので、年金生活の高齢者でも生活費に負担をかけずに保険料を支払うことが出来る点も魅力です。
保険会社によって違うお葬式保険の大きなポイント
お葬式の保険といっても加入するプランによって違う点はあります。
もちろん支払われる保険金の額も変わりますが、それよりも大きな違いがあります。
それが「お金を受け取るタイミング」です。
もしもあなたが「お葬式の費用として保険に入る」というのであれば、亡くなった後すぐに現金が支払われる保険に加入しないと加入する目的は達成できません。
保険金の支払い方法は、同じ保険会社でも保険の内容によって違います。
逆に「お葬式の費用はすでに準備してあるから、お葬式が終わった後にかかる費用を保険でカバーしたい」というのであれば、費用の内容に重視した方が良いです。
すぐに現金にする必要がないのですから、少しでも残す家族のためにお得なプランをじっくりと検討すると良いでしょう。
自分のお葬式の費用のために保険に加入するときの注意点
・保険料が安いプランを選ぶ
お葬式の保険は加入条件が生命保険と比べると緩いとは言いましたが、保険料だけに注目すれば生命保険の考え方と同じです。
加入時の年齢が高くなるほど月々の保険料は高くなります。
ここでポイントは1か月のお金の流れをきちんと確認することです。
年金生活の中で高額なお葬式の保険に加入すれば、すぐに家計に響いてきます。
そもそもお葬式はやり方次第で費用を節約することはできます。
でも生活にかかる費用は、どんなに節約してもどうしてもカットできないお金はあります。
加入した後に生活に困ってしまえば、残す家族や子供たちのために入った保険なのに結果として家族や子供たちに面倒をかけてしまうことになります。
お葬式のために加入するなら医師の診断が必要ないプランの方がお得
お葬式の保険では医師の診断を必要としない保険プランの方が多いです。
でも中には特約が付いている保険もあります。
例えば入院したときの保証がついているお葬式の保険の場合は、医師の診断が必要になります。
また医療費の精算を保険で対応してくれるプランの場合も、医師の診断が必要なことが多いです。
ちなみにすでに医療保険に加入しているのであれば、シンプルにお葬式の保険だけに加入した方が保険料は安く済みます。
またわざわざ医師の診断を撮りに病院に足を運ぶ手間もいりません。
ですから「お葬式のための保険に入りたい」というはっきりとした目的があるのなら、医師の診断御必要がないプランを選ぶ方がお得です。
・相続税対策も意識しよう
お葬式の保険も生命保険と同じなので、契約する人と被保険者が同じならば相続税の対象になります。
ただし相続税には基礎控除額というものがあります。
これは法定相続人(あなたの財産を相続する法的権利を持つ人)の人数によっても変わります。
ちなみに基礎控除額は相続する人数(法定相続人の数)が多いほど控除額が高くなります。
ここでのポイントは「保険金の相続税の控除額は法定相続人1人あたり500万円」という点です。
たとえばあなたに妻と2人の子どもがいるとしましょう。
妻は配偶者となるので、自動的に法定相続人になります。
またあなたと直接血のつながっている2人の子は法定相続の順位で第1位となるので、この場合も法定相続人となります。
そのためあなたが死亡した場合、あなたの遺産を相続する法定相続人は3人となります。
保険金においては、法定相続人1人あたり500万円までが相続税の控除となります。
ですから「500万円×法定相続人3名=1500万円」がお葬式の保険金から控除となります。
このようにあなたの家族状況によって保険金の控除額が変わります。
せっかく残す家族のためにお葬式保険に加入しても、控除額を超える保険金が支払われるプランに加入すると相続税の対象になってしまいます。
ちなみに現在の相続税に関する法律では、法定相続人の基礎控除額は4200万円まで下がっています。
そのため一般家庭であってもきちんと相続税対策をしておかないと、せっかくの遺産が相続税の支払いでゼロになってしまいます。
ですから加入する時も「相続税の控除範囲内で支払われる保険を選ぶ」ということはとても大事ですよ。
お葬式の後にかかる費用のために保険に加入するときの注意点
・保険金は相続税の対象です!
第2章でも説明しましたが、お葬式の保険も生命保険と同じなので相続税の対象になります。
ですから支払われる保険金の総額が相続人の非課税額(生命保険の場合は1人あたり500万円が非課税)よりも超えた場合は相続税の対象になります。
ここで問題なのは、すでに死亡した場合の保証がついている医療系の生命保険に加入している場合です。
この場合死亡した後に保険金が支払われるようになっているので、新たにお葬式の保険に加入すると2つの保険から保険金が支払われることになります。
相続税では生命保険に関する控除は1人500万円としていますが、1つの保険プランに対して500万円とはなっていません。
あくまでも生命保険として支払われる保険金の総額に対するものなので、注意しないと相続税の課税対象になってしまいます。
お墓や仏壇・仏具は生きているうちに準備する方が節税効果は高い
「お葬式の費用ではなくお墓や仏壇のためにかかる費用の足しにしてほしい」と考えているのであれば、生きているうちにお墓や仏壇・仏具を購入した方がずっと節税効果はあります。
ポイントは「生きているうちに支払いが完了していること」です。
特にお墓の場合、使用する石やデザインによって料金が変わります。
まして立地条件が良い場所にお墓を立てるとなれば、なおさら費用は高くなります。
そのためほとんどの人がローンを利用してお墓を購入します。
ただし遺産相続というのはプラスの財産だけでなくマイナスの財産も引き継ぎます。
そしてローンは「マイナスの財産」になりますので、支払いが完了していなければ相続の対象となります。
ところがお墓や仏壇は一般的な財産とはみなさないため相続税の対象とはなりません。
でもそれはすでに支払いが完了している場合に限られます。
ですから本当に残す家族のことを考えるのであれば、お墓や仏壇・仏具は元気なうちに購入し支払いもすべて終わらせていることが重要です。
まとめ
「お葬式にかかる費用が高い」という言葉だけが独り歩きしていますが、お葬式の費用はやり方次第で抑えることが出来ます。
そうはいってもお葬式にかかる費用は大きなものです。
少しでも残す家族のことを考えれば、「保険金で少しでも足しにしてほしい」と思うのは自然な想いです。
でもお葬式の保険も生命保険と考え方は同じです。
種類も多いですのであなたの目的に合った保険を選ばなければ、あなたがイメージしている通りには行きません。
またお葬式の保険は節税対策にもなりますが、ちょっと間違えると相続税の課税対象になります。
ですからもしも加入するのであれば、家族と一緒にじっくりと検討してみるのがおすすめですよ。