お葬式の時に子供がよく聞いてくる「どうして!?」についてのお話

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小さな子供は、時折親が答えに困るような質問を突然してくることってありますよね?

子供の疑問には出来る限りわかりやすく答えてあげたいと思うのが親心ですが、これがお葬式に関わることだと正直言って答えに困るのではないでしょうか?

私もお葬式の現場に立ち会っていますから、遺族として参加している小さな子供からいろいろなお葬式の「どうして?」をきかれます。

若い頃はどうやって答えればよいのかわからず、答えても納得してもらえずかえって「なぜ?どうして?」が増えてしまった経験があります。

そんな経験をいくつも重ねていくうちに、子供でも分かりやすい答え方のポイントが分かってきました。

そこで今回は子供からお葬式の現場で「どうして?」と聞かれた時に子供でも分かる答え方のヒントをまとめてみました。

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「人は死んだらどこに行くの?」と聞かれた時の答え方

小さな子供が「人は死んだらどこに行くの?」と聞いてきたときは、小さいなりに大切な人の死を理解したいと感じている証拠です。

もしも子供のおじいちゃんのお葬式であれば、お葬式が終わるまでは「長いお昼寝をしているおじいちゃん」と見えているはずです。

大人であればお葬式が終われば火葬場に行き、遺体が火葬されるということがわかります。

そして次に目にする時には遺骨になっていることもわかるはずです。

 

でも子供にはそのことはわかりません。

眠っていたはずのおじいちゃんが火葬場に連れていかれると、次に「おじいちゃんだよ」といわれるものは火葬された骨です。

骨がおじいちゃんであるといわれても、そのことを本当の意味で理解することはなかなかできません。

だから「火葬されたおじいちゃんはどこに行ったのか?」と疑問に思います。

この答えはなかなか難しいですが、きちんと伝えてあげることが大事です。

仏教式の場合

仏教式でお葬式をすると、位牌に戒名が書かれます。

戒名は「仏の世界の名前」といわれていますが、正しくは「俗世を捨て仏の世界で生きることを決めた人のための名前」です。

そもそも仏教では、死んだ人は仏の世界に生まれ変わると考えます。

つまり「仏様になる」というわけです。

 

もちろん仏様になるためには、修行をしなければいけません。

また誰でも仏様に生まれ変われるわけではありません。

だから49日間をかけて修行をして仏の世界に生まれ変わることをえらい神様たちに認めてもらう必要があります。

だから仏教式でお葬式をした場合、私は「仏様の世界に生まれ変わるためにお空に修行をしに行ったんだよ」と答えます。

 

こう答えればお葬式のあとに行う四十九日法要などの年忌法要をする意味にもつながります。

それに仏様の世界は空のはるかかなたにあるといわれていますので、「お空に行った」はまったくのウソではありません。

 

・魂の重さを抱っこさせてあげる

火葬をした後の骨は、生前の姿と比べるととても小さく見えます。

まして遺骨を納める骨壺は両手に抱えるほどの大きさしかないので、元気だった時に見た大きな背中と比べるとあまりにも小さく感じます。

でもこの時に私は「死んだ人はどこに行くの?」と聞いてきた子供にわざと骨壺を抱っこさせます。

 

実は生前の頭の重さは5~8㎏あるといいます。

そして遺骨を納めた骨壺の重さがその重さに近いのです。

だから「これが魂の重さだよ」といって抱っこさせるのです。

子供がそれで本当に死を理解できるかどうかはわかりません。

でも体験することは記憶につながります。

 

もちろん小さな子供に限らず、故人に近い人には同じようにして抱っこしてもらいます。

そして「姿が変わったとしても魂はちゃんとここにあります」と伝えます。

そして「この重さを忘れないでほしい」とも伝えます。

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「どうしてお線香をあげなくちゃいけないの?」と聞かれた時の答え方

仏教式でお葬式をする場合、儀式に立ち会うたびに線香をあげます。

このお線香の意味もなかなか子供には伝えにくいものですよね?

でも「お別れなのだからお線香をあげなさい」といわれただけでは子供には伝わりません。

子供には「お別れのためのお線香」といわれても納得できないのです。

やらなければいけない理由がきちんとわかっていなければ、「お母さんに言われたからやる」にしかなりません。

 

・「お線香の煙がご飯の代わりなんだよ」

線香の煙は「供物」の意味があります。

「焼香をする=お別れをする」というイメージが強いかもしれませんが、もともとは線香を供物としてお供えするというところに由来があります。

 

たとえばお葬式のときには「御霊供膳(おりょうぐぜん)」と呼ばれるお膳料理をお供えしますが、実際にその料理を亡くなった人が食べることはできません。

でも仏様の世界に修行に出かけるのですから、それまでの間も食事をしなければいけません。

 

実は線香の煙は「死者の食事」といわれています。

御霊供膳や好きだった食べ物などをお供えするときにもお線香をあげますが、これは香の煙を通して食事を食べてもらうという意味があります。

もちろん線香をあげるということにはほかにも意味があるのですが、小さな子供に対しては「お線香の煙はご飯の代わりなんだよ」と言ってあげた方がイメージはしやすいようです。

 

ちなみにこの話を私が現場ですると、それまでお線香をあげるのを嫌がっていた小さな子供も「それならたくさんあげなくちゃね」といって自分からお線香をあげるようになります。

また手を合わせさせる時も「“ご飯をたくさん食べてね”ってお話しするんだよ」というと、お線香をあげた後にちゃんと手を合わせるようになります。

これは現場でもかなり効果があるので、困ったときにはおすすめですよ。

「死んだらお化けになるの?」と聞かれた時の答え方

子供がお葬式の現場でしてくる質問の中で一番困るのが「死んだらみんなお化けになっちゃうの?」ですよね?

これもこたえるにはなかなか難しい質問です。

私の場合はこう答えています。

 

・目をつぶっているけどみんなのお話をちゃんと聞いているんだよ

「死んだらお化けになるの?」という質問をする時には、「死んだ人=怖い」というイメージを強くもっていることが理由にあると思います。

怖いと思う理由にはいろいろなことが関係していると思います。

 

まず亡くなった人の顔を直接触れる大人がいないと「触ってはいけない人=怖い」と子供はイメージします。

もちろん亡くなった人の顔や体を触れても問題はありません。

逆に触ってお別れをした方がよいのですが、大人の中でも「触ってはいけないのでは?」と思っている人が多いのは確かです。

でも子供は大人の様子を観察して状況を判断しますので、いつものように接していない大人たちの様子から「死んだ人は怖い人なんだ」と感じます。

 

ところが親を含め周りの大人がいつものように亡くなった人と接していると、子供は不思議とこの質問をしません。

それどころか自分からおでこに手を当てて「冷たいね?」と素直な感想を口にしたりします。

その体験は将来子供が死を理解するときに大事な体験になります。

 

この段階になったら私は「実はお耳が聞こえているから、目をつぶっていてもみんなのお話を聞いているんだよ」と話します。

そして「いろんなお話を聞いているから、楽しいお話は聞かせてもいいけれどケンカをしたり“怖いよ”って言ったりしたらとっても悲しむよ」といいます。

この話をすると、小さな子供なりにお葬式では何をしてはいけないのかを考えるようになります。

だからほとんどの子供は、この話をするとその後棺の周りで静かに過ごすようになります。

まとめ

お葬式での子供の「なぜ?どうして?」は答えに困ることが多いものですが、子供なりにお葬式について考えようとしているからこそ質問が出てくるのだと思います。

その時にウソを伝えるとつじつまを合わせるのが大変になりますが、今回紹介した内容であれば私自身が現場でよく使う答え方なので効果は実証済みです。

 

もちろんあなたにとっては大切な人とのお別れの場面ですから、子供がこんな質問をすると「今は黙ってて!」と思ってしまうこともあるでしょう。

でも子供なりにその場を理解しようと一生懸命なのだということもわかってあげてください。

どんなことでも子供は意味が理解できればきちんと大人の話を聞くようになります。

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