生前整理がブームになっている今、「家にある古い遺影写真を処分したい!」と考えている人が増えています。
ただ遺影写真はただの人物写真というだけでなく、供養行事などを通じて代々大事に受け継いできたものという意識が強いですよね?
だからこそ簡単に処分ができないと悩んでいる人が多いのです。
でも遺影写真の処分を考えている人の多くが「この問題を自分たちの子どもの代まで引き継がせたくない」という強い想いを持っています。
そこで今回は古い遺影写真を処分する方法についてあなたが納得できる方法をあらゆる角度から解説!
どうして生前整理で遺影写真を処分しようと考える人が増えているのかも含めて、あなたの生前整理のヒントを紹介します。
遺影写真の処分を生前整理として行いたい
終活をしている人からの相談の中でここ数年増えてきていると感じるのは、60~70代の夫婦からの相談です。
生前整理の一つとして古い遺影写真の処分をしたいと考えている人もいますが、現場で私が話を聞いている限りそれは生前整理のほんの一部であるような気がします。
例えば「先祖代々の位牌を処分したいと考えているけれど、一緒に遺影写真も処分する方法はないか?」とか「子どもが娘しかいないし皆嫁いでしまっているので、自宅にある仏壇と遺影写真を自分たちの代できちんと整理しておきたい」などの相談があります。
もちろんこれは相談内容のほんの一部ではあるのですが、特徴的だなと思うのは相談者の多くが「○○の処分+遺影写真の処分」と考えていることです。
この「○○」に当てはまるものは人によって違います。
位牌と考える人もいれば仏間そのものの処分と考える人もいます。
もっと極端な例でいえば「先祖代々の墓を処分して墓参りがしやすい形に切り替えたい」というケースもあります。
そしてこうした人たちの多くが「次の世代に問題を先送りさせたくない」という言葉を口にします。
・供養行事に対する考え方の変化を一番強く感じているのが団塊の世代
先祖代々の位牌が納められている仏壇と遺影写真はセットで存在します。
もともと日本は神道の国ですから、亡くなったご先祖様の魂の供養を子や孫が代々引き継いでいくという文化があります。
でも核家族化が進んでからは供養に対する考え方も変わりましたし、住宅事情などから戸建て住宅でも仏間がなかったり集合住宅のために仏壇を置くスペースがないというケースも増えました。
特に住宅環境の変化は大きいですね。
例えばマンションの場合は間取りが限られていますし、最近のマンションの場合は仏間がない間取りの方が多いです。
和室よりも洋室の人気が高いですし、家具なども洋室に合わせたソファーやダイニングテーブルがメインになっています。
こうした洋風の暮らし方を積極的に取り入れたのが、現在60~70代の団塊の世代と言えます。
また家に関する考え方も変わりました。
そのため「家を持つ」ではなく「家を借りる」という考え方も多いです。
賃貸住宅という暮らし方ですね。
賃貸住宅は自由に暮らす場所を変えることができる点が魅力ですし、節税対策として賃貸住宅を選ぶ人もいます。
ただし賃貸住宅では賃貸契約の中で「退去時には原状回復させること」とあります。
もちろんこれは「借りたままの状態に戻すこと」ではなく「経年劣化を踏まえたうえで明らかに故意と思われる破損などを修復すること」をいいます。
でも仏壇供養となれば基本的に焼香がセットですよね?
この線香の臭いは壁紙に染み付いてしまいます。
臭いは賃貸住宅にとって致命傷ですので、線香の臭いが染みついてしまっている壁紙は張替えとなります。
また就職や進学などで都会に移り住みそこで結婚して家を持つ人が60~70代には多いです。
そのため仏壇供養をするにしても親族がみな遠方にいるというケースが都会で目立ちます。
仏壇を引き継いだとしても供養行事をするのは仏壇を持っている家族単位となってしまうので、供養にかかる費用(お坊さんへのお布施や仏壇の手入れなど)の負担は1つの家族だけにかかっていきます。
こうした苦労を長年自分達だけで解決してきた60~70代だからこそ、子どもたちの世代に同じ苦労をさせたくないという気持ちが強くなったのでしょう。
ただし簡単に処分ができない理由にはもう一つの原因があります。
・「自分たちの代まではこのまま供養を続けたい」という想いがある
子どもたちの世代に自分たちが経験してきた苦労をさせたくないと考える一方で、「自分たちの代まではこのまま供養を続けていきたい」と考えている人が多いのも60~70代の特徴です。
大事に受け継いできたご先祖様の供養だからこそ自分たちの代まではきちんとやり続けたいという想いなのでしょう。
でもこの2つの問題を同時に解決することは難しいです。
遺影写真を処分するということ自体はとても簡単です。
でも供養を続けたいという想いは「心の問題」なので、気持ちがきちんと整理できないとたとえ写真1枚であっても処分することは難しいです。
だからこそ多くの人が古い遺影写真の処分について真剣に悩んでいるのでしょう。
遺影写真の処分の方法
遺影写真の処分の仕方にはいくつか方法があります。
・お金をかけずに処分する方法
遺影写真の処分といっても元はただの写真です。
ですから要らなくなった写真を処分するのと同じように考えるのであれば、燃やすごみとして処分すれば何も問題ありません。
ただ「ゴミにして処分するのはちょっと気がひける」という気持ちはありますよね?
その場合は写真額から遺影写真を抜き取り、遺影写真のみをごみ袋に入れます。
そして封をする前に粗塩を写真の上にふりかけ封が開かないようにしっかりと締めます。
ポイントは粗塩です。
粗塩は浄化作用があります。
お葬式に行くと、式場を出る時に塩を体にかけますよね?
あれは汚れを祓うという意味があります。
遺影写真に振りかける粗塩もこれと同じ効果があります。
ですから燃やすごみとして遺影写真を処分することは同じであっても、気持ち的にスッキリするはずです。
・お寺や神社にお焚き上げを依頼する
お寺や神社にお焚き上げを依頼するという方法もあります。
この場合はきちんとしたお祓いをしたうえでお焚き上げをして処分するので、気持ちの部分では最もスッキリする方法かもしれません。
ただしお焚き上げを依頼するにはお焚き上げ料がかかります。
またお焚き上げをするためには写真に込められたご先祖様の魂を抜き取るという儀式が必要になるので、その費用も別途必要になります。
遺影写真を処分するときの注意点
・三回忌までは遺影写真は残しておいた方がよい
遺影写真の中でまだ三回忌を迎えていない写真がある場合は、処分を待っておいた方がよいです。
お葬式が終わった後の年忌法要も三回忌までは親族が集まります。
三回忌が過ぎると家族のみで行うのが一般的で、年を追うごとに規模を小さくしていきます。
そのため三回忌を供養の区切りとして考えるのが最近の傾向です。
なお三回忌ではお坊さんに読経供養をお願いすることが多いので、その場合は位牌とセットで遺影写真も必要になります。
ですから三回忌を待たずに遺影写真を処分するのはあまりおすすめしません。
・仏壇に入る小さなサイズに加工しなおす方法もある
一般的な遺影写真だと大きくて飾る場所に困ります。
また部屋の雰囲気にも関係してくるので処分をしたいと思う気持ちはわかります。
でも仏壇を部屋の雰囲気に合わせたモダンでコンパクトなものに切り替えるという方法もあります。
こうしたコンパクトな仏壇であればスペースもあまりとりませんし、扉を閉めると普通の家具のように見える仏壇が最近増えています。
そのため賃貸住宅に住む人や和室がない家に住んでいる人などに人気があります。
このようなコンパクトな仏壇に切り替えるタイミングで遺影写真を小さなサイズに加工しなおせば、遺影写真を処分しなくてもよくなります。
まとめ
遺影写真の処分は、単に写真を処分するだけとは違います。
そこには供養という問題も関係してきますので、心の整理も必要になります。
処分の方法は今回紹介したもの以外にもまだあります。
でもどの方法で処分をするにしても、処分をすると決めるまでに心の中でけじめがつけられるかが問題です。
慌てて処分をしても、処分してからでは元に戻すことはできません。
ですからまずはあなたの心の問題に向き合ってみてください。
遺影写真の処分はそれからでも十分間に合いますよ。