香典を準備する場合には、お札の準備にもマナーがあります。
一般的に「香典に新札を使うのはマナー違反」といわれます。
でも香典の金額は亡くなった人との関係によっても相場が異なります。
場合によっては数万円以上を準備することもありますので、銀行からお金をおろしたときにすべて新札が出てくることもあります。
でもわざわざ銀行からおろした新札を使用済みのお札にすべて変えることが難しいことってありますよね?
では本当に香典で新札を使うのはマナー違反なのでしょうか?
もしも新札しか準備できない場合は何か対策はあるのでしょうか?
今回はそんなお悩みを持つあなたのために、新札がマナー違反とされる理由や新札しか準備ができなかったときの対処法を紹介します!
香典に新札を使うのはマナー違反!?
・昔は新札を手にすることは滅多になかった
現在の日本ではわざわざ銀行に行かなくてもコンビニやスーパーにもATMが設置されているので、急なお葬式であってもお金を準備することは簡単にできるようになりました。
でもひと昔前までは金額が大きなお金を準備する場合にはわざわざ銀行に行かなければいけませんでした。
さらにこの時代には新札を手にすることは滅多になく、新札を用意する場合は銀行で交換をしてもらう必要がありました。
今のような便利な世の中では「まさか?」と思うかもしれません。
でもかなり高齢の方が身近にいる人の行動を観察していると、「そういえば…」と思いあたる行動があるはずです。
例えば年末の銀行の窓口を思い出してみてください。
混雑する銀行の窓口の前で、孫やひ孫のお年玉を準備するためにわざわざ手持ちのお札を新札に返る人の姿を見かけたことはありませんか?
お年玉を新札で準備する行動の意味にはいろいろな考えがあるとは思います。
お年玉をもらう側からみれば使われているお札も新札もお金には変わりませんし、気になるのは金額の方です。
でも渡す法としては「新年の挨拶」という意味で準備をするのですから、年末の忙しい時期でもわざわざ銀行に足を運んで新札に換えるわけです。
ここでカンの良い人なら香典に新札を使うと縁起が悪いといわれる由来が何となくわかったのでは?
そうです!昔は新札を手にするということは滅多にありませんでした。
どうしても新札が必要なときにはわざわざ銀行に行かなければいけませんでした。
ではわざわざ行く理由はどうしてなのでしょう?
それは新札が必要だからですよね?
つまり新札を香典に使うということは「お葬式があるということを予想してわざわざ銀行に行ってお金を準備していた」ということになるわけです。
現在のような便利な時代では考えつかないことなのですが、昔のお金事情を知ってみるとその理由が分かってきます。
また日本のお葬式では古い慣習が根強く残っているので、「新札を使うことは縁起が悪い」という考え方も今の時代に受け継がれているのです。
・祝儀の場合は新札が基本
同じフォーマルシーンでも、結婚式のようなカラーフォーマルでは祝儀に新札を使うのがマナーです。
新札を使う意味には諸説ありますが、先ほど紹介した「かつての日本の事情」を考えてみると納得できるのではないでしょうか?
まず結婚式は新郎新婦にとって門出の日でありおめでたい祝賀の席です。
ですから準備をするにしても時間をかけて丁寧に進めていきますし、参加する側もあらかじめいろいろな準備をします。
ここでポイントとなるのは「あらかじめ準備する」という点です。
お葬式でも結婚式と同じように大きな金額のお金を不祝儀として準備します。
ところがお葬式は予め日程が決まっているものではありません。
予定が分からないのに大金を自宅に置いておくということはありません。
また慌ただしいスケジュールの中でわざわざ新札を準備するためだけに銀行の窓口に行くことはまずありません。
でも結婚式の場合は違います。
招待される側には招待状が送られますし、招待状が届いてから式当日までは十分に時間があります。
だから手間がかかったとしても新札を準備する時間があります。
このことからも分かる通り祝儀と不祝儀でお札に関する考え方が違うのには「あらかじめ準備する時間があるか・ないか」の違いにあるといえます。
新札でなくてもマナー違反とされるお札がある
香典には新札を使うのはNGと言いましたが、これは新札以外であれば何でもよいということではありません。
新札でなくても明らかに汚れがひどい、シワだらけ、ボロボロなお札はNGです。
その理由もちゃんとあります。
その答えを考えるには香典の意味を知ることがポイントです。
まず考えてほしいのですが、あなたはお葬式で誰のために香典を準備するのでしょうか?
現実的には準備した香典は遺族の手に渡るわけですから、「遺族のために香典を準備する」となります。
でもそれならばなぜ「香典」という呼び方をするのでしょうか?
そもそも香典とは「香を供える」という意味があります。
香を供えるという行為は仏教儀式であるのですが、「誰に対して○○を供えるのか」ということを考えたときの答えは宗教問わず「死者の霊」ということになります。
たしかに香を供える行為は、仏様に対してお供えをするということです。
でももっと突き詰めて考えれば死者の霊(亡くなった人)に対してお供え物をしているわけです。
現在では現金をお供えするのですが、かつては現物をお供えするのが一般的でした。
だから神道であれば榊や玉串、キリスト教では生花をお供えしました。
ではこの時代に香典を出すとしたら、あなたはどのように準備をするでしょうか?
家にあった使いかけの線香を寄せ集めたものやパッケージがボロボロになっている線香をもっていくでしょうか?
枯れかけているユリの花や榊を神様へのお供え物として持っていくでしょうか?
答えは「NO」ですよね?
つまりそういうことなのです。
香典はあくまでも神仏や死者の霊に対してお供えする大切な品物です。
ですからいくら新札がNGだったとしても、あまりに汚れがひどいお札は「使いかけの線香」や「枯れかけた花や榊」と同じなので香典のお金としてはNGなのです。
新札でも折り方次第でマナー違反とならない!?
どうしても新札しか準備ができなかったときでも、ある方法を使えばマナー違反になりません。
まず新札をイメージしてください。
今、あなたはどんな状態のお札を思い浮かべましたか?
きっと折り目がついていないまっすぐなお札をイメージしましたよね?
それがポイントです。
香典を受け取った遺族も「これ、新札じゃない?」と思う時は折り目がついていないまっすぐなお札を手にしたときです。
ということは折り目がついていないまっすぐなお札じゃなければ新札とは見られないといえますよね?
だから新札の場合は真ん中に折り目を折ります。
これで遺族が感じる新札の条件は解消しました!
たったこれだけですが、香典に新札を使うのは縁起が悪いといわれるようになった由来を考えてみればこれだけで十分なのです。
ちなみに必要以上に折り曲げる必要はありません。
まして使用感をあえて付け加えるためにお札をグシャグシャにしてわざとしわをつける必要もありません。
逆にこのようにする方がマナー違反ととられかねません。
香典のマナーまとめ
新札を香典に使うのがマナー違反問われるようになったのは、日本の古い慣習がもとにあります。
でもお葬式では古い慣習を未だに受け継いでいる面も多いです。
なおお葬式の参加者のマナーとして「遺族に不快な想いをさせないこと」は大前提にあります。
だからこそこうした古い慣習もきちんと理解してお葬式に参加することはとても大事なことなのです。