祖父母のお葬式の場合、孫であれば「お葬式にきちんと立ち会いたい」「おじいちゃんやおばあちゃんのために最後まで見送りたい」という気持ちになるのは当然です。
でも乳幼児がいる場合は、子どもの世話をしなければならないということもあり、連れて行って良いのか判断に困るという人も多いはずです。
もちろん乳幼児がお葬式に参列することはマナー違反ではありませ。
とはいえ乳幼児の場合は自分で様々なことが判断できません。
たとえお葬式の会場に行ったとしても、いつもと違う雰囲気に不安を感じて泣き出してしまうこともよくあります。
さらに地域によっては、「小さい子供や赤ちゃんはお葬式に連れて行ってはいけない」といわれることもあります。
このように言われた時には、子連れで参列することはやはりマナー違反となるのでしょうか?
お葬式に赤ちゃんや小さな子供でも連れて行っても大丈夫!?
お葬式に小さな子どもや赤ちゃんを連れていくことは、決してマナー違反ではありません。
確かに小さな子どもは、たとえおじいちゃんやおばあちゃんだったとしても「死んだ人=怖い」と思うかもしれません。
さらに普段とは全く違う雰囲気や大人たちの様子から、精神的に不安定になってしまうことはあります。
また赤ちゃんの場合は、授乳やおむつ替えなど様々な子どもの世話が必要になります。
もちろん泣くことも赤ちゃんの仕事の一つですから、ちょっとした変化でも泣き出します。
そのため「厳粛なお葬式のセレモニー中に泣きだされたらかえって迷惑になるので?」と思う人の方が多いです。
でも遺族や親族にとって小さな子どもや赤ちゃんの存在は、実は精神的な負担を減らしてくれる驚きの効果があります。
非日常のお葬式の中で普段の自分を一瞬だけでも取り戻すことが出来る
乳幼児といっても状況の判断が出来る月齢でなければ、たとえどんなに「静かにしていなさい」と親がいってきかせても、そのことの意味を理解することはできません。
しかも普段は常にそばにいて安心を与えくれるパパやママも、いつものような優しい表情ではなく硬く怖い印象に見えます。
さらに子どもなのですから、たとえお葬式であったとしても遊ばせてあげることも必要ですしオムツ替えや授乳も必要です。
でもこうした当たり前の子どもの世話が、悲しみと緊張の中で過ごす両親にとっては何よりもありがたいことなのです。
当たり前のことが普通に出来ないことは、人の心に大きなストレスを与えます。
そしてその状況が長時間にわたって続くのが、お葬式の現場です。
そんな状態でも、遺族である以上その場を離れることが出来ません。
遺族としてその場を離れることが出来ないということは、否が応でも亡くなったおじいちゃんやおばあちゃんの姿を見続けることになります。
さらに人の死を前にした時、家族であればだれもが後悔をします。
「もっと頻繁に様子を見に行けばよかった」「私が病気のことをもっと早く気づいて上げられたら…」「もしも違う治療を選択していたら結果が違っていたのではないのか」など、心に浮かんでくる後悔の気持ちはとめどなく溢れ出てきます。
そんな時にふといつものように接してくれる子どもたちがいれば、一瞬ではありますが普段の生活に戻ります。
もちろん両親にとってはカワイイ孫たちですから、近寄ってくればいつものように笑顔で接します。この一瞬が、両親にとってなによりも救いとなるのです。
乳幼児を連れてきてはいけないと言われる本当の意味
乳幼児または妊婦の場合、周囲から「お葬式に出てはいけないよ」といわれることがよくあります。
でもこの言葉の意味は、「迷惑だから」ではありません。
「子供や妊婦の健康のために気遣っている言葉」なのです。
お葬式では様々な儀式があります。
葬儀・告別式となると、長時間同じ場所に同じ姿勢で座り続けなければいけません。
また式場から別の式場への移動も多く、体への負担も多くなります。
特に妊婦の場合は、安定期であったとしてもやはり母体の健康がお腹の中の赤ちゃんに影響をします。
もしもお葬式での無理がたたって流産してしまったとなれば、それこそ2重の悲しみとなります。
そのため昔から「お葬式には乳幼児や妊婦は連れて行かない」といわれているのです。
でも今は家族葬のような規模の小さなお葬式が主流です。
そのためお葬式の会場でも乳幼児を連れて参列する遺族の姿を見ることが増えています。
もちろん小さな子どもたちを連れての参列ですから、自分で様々なことが判断できる子どもと比べれば手間も荷物も増えます。
それでも子どもたちの体調が良いのであれば、「乳幼児がいるから」という理由でお葬式に参列しないというのは考えなくても良いと思います。
何しろお葬式は「1度きり」のことです。
あなたが後々祖父母のお葬式に参列できなかったことを後悔するくらいなら、多少周りに迷惑をかけることになったとしても参列すべきでしょうね。
お葬式で小さな子どもの場合はどんな服を着せればよいの?
小さな子どもの場合は、服装に決まりはありません。
わざわざ子供用の礼服を購入する必要もありませんし、男児だからといって必ずジャケットを着せなければいけないということでもありません。
ただし肌の露出はできるだけ避けるというのが基本です。
黒または紺色のパンツ・スカートに白いシャツを着せるのが定番ですが、無い場合は出来るだけ無地の黒系の服を着せるだけでもOKです。
靴も光沢のない革靴が望ましいのですが、お葬式のためだけに高い靴を買うのは不経済です。
しかもお葬式では移動も多いですから、履きなれていない靴の場合は痛がって嫌がることもあります。
そのため子どもの場合は、普段使っている運動靴やお出かけ用の靴でも構いません。
ただし出来るだけ地味な色の靴を選ぶのがマナーです。
ちなみに幼稚園や小学校などによっては制服がある場合もありますよね?
この場合は、「制服着用」が基本です。
お葬式に小さな子どもや赤ちゃんを連れて行くときのポイント
おもちゃや絵本は必ず持っていく
お葬式の状況を理解できない小さな子どもや赤ちゃんの場合は、いつもと違う環境に不安を感じます。
少しでも子供の不安が減らせるように、お気に入りのおもちゃや絵本を持っていくのがおすすめです。
ベビーカーはNG
お葬式では移動が多いのですが、ベビーカーを持ち込むのはマナー違反です。
また抱っこ紐をつけた状態で式場に入ることも、出来れば避けましょう。
ベビーカーや抱っこ紐は、あくまでも普段の育児に役立つアイテムです。
でもお葬式は普段とは異なります。
ただし子供をあやすために控室に移動したあとであれば、抱っこ紐を使っても問題はありません。
オムツと着替えは多めに持っていく
不安な状態が続くと、いつもよりおしっこの回数が増える子供がいます。
お葬式の会場の近くにすぐにオムツを購入することが出来るお店やコンビニがあればよいのですが、場合によってはセレモニーホール周辺に店が一切ないこともあります。
オムツが濡れたままの状態が長く続くと、子どもの不快度も上がります。
それが原因で機嫌が悪くなってしまうこともあります。
使用済みオムツの臭い対策もきちんとしておくこと
セレモニーホールによっては、オムツ替え専用の台がトイレにセットされていることもあります。
ただしこれはあくまでも葬儀社のサービスであって、必ずあるものとは限りません。
またオムツ替え専用の台があったとしても、使用済みオムツを処分する専用のゴミ箱まではあるとは限りません。
そのため使用済みのオムツは自宅に持ち帰る必要があります。
お葬式に参列する人は、臭いに敏感です。
あなたは遺族なのですから、参列する方への配慮として不快な原因となるオムツの臭いは出来るだけ避けるべきです。
★使用済みオムツの臭い対策としておすすめのアイテム
まとめ
小さな子どもや赤ちゃんがいても、お葬式に参列できます。
もちろんその分子どものお世話にかかる手間は増えますが、あなたにとても両親にとっても「子どもたちの存在に必ず救われた」と素直に思える時がやってきます。
お葬式に行かずに後悔するよりも、大変なことは承知で連れていくことの方を私はおすすめします。