同世代の有名人や友人などの訃報を聞くと、否が応でも意識させられるのが「終活」なのではないでしょうか?
元気なうちに始めることが何よりも大切だといわれる終活ですが、意外と後回しにしてしまいがちなのが「生前整理」です。
特にまだ元気なうちは「先の生活よりも今の生活が充実している方が良い」と思う人の方が多いですから、どうしても身の回りのものを整理しようという気持ちになれないのは当然です。
でもいざその時が来た時に残される家族が一番困るのが、「遺品の整理」なのです。
お金をかけずに家族の負担を減らすことが出来る生前整理は、実は最も難しい終活の一つです。
だからこそ少しずつ始めるのが、生前整理のポイントです。
でも物を捨てることだけが生前整理ではありません。
「あえて残す」ということも、生前整理には含まれます。
とはいえ必要な物と不要なものを見分ける判断力は、精神的に元気なうちでなければできません。
そこで今回は捨てる物・残すものを見極めながら、元気なうちに生前整理を進めるためのポイントをまとめて紹介します。
生前整理のやり方って!?
生前整理は「全てのものを整理する」というわけではありません。
必要な物と要らない物を見極め、今よりもほんの少しだけ身軽な生活を手に入れることがポイントです。
でもここで問題になるのが「必要な物」と「いらない物」の見極め方です。
元気なうちに生前整理をする理由とは
生前整理は「元気なうちにする」のがポイントです。
そもそも元気なうちだからこそ、整理をする必要があるのです。
家の中にある物の一つひとつには、それぞれに思い出があります。
そのため物を捨てる・整理することに抵抗を感じているはずです。
つまりあなたの中で「物を捨てる=思い出が無くなる」とイメージしているはずなのです。
でも物を捨てることで思い出が無くなるわけではありません。
あなたの中に記憶が残っているうちは、たとえ物が無くなったとしても思い出が無くなってしまうことではありません。
そうはいっても人の記憶というのは、非常にあいまいなものです。
とても大切にしていた思い出だったはずなのに、いつの間にかに記憶からすっかりなくなってしまっていることもあります。
そんな時に記憶を思い出させる一つのツールとなるのが「形のある物」になります。
確かに年をとればとるほど、新しい出来事に出会う機会が少しずつ減っていきます。
それとともに大切な人との別れもたくさん経験していきます。
それまで当たり前にあったものが、少しずつ失われていくことは不安でもあり心細くもなるでしょう。
だからこそ過去の思い出が1つでも多くあることが、日々の生活の支えになります。
そのために年を重ねるほど物を整理することが出来なくなっていきます。
ところがまだ元気なうちは、まだまだ新しい思い出を作ることが出来ます。
たとえ古い記憶が無くなっていったとしても、それ以上に多くの新しい思い出が出来ればそれが日々の支えになります。
でもそれも「想い出をストックするためのスペース」があるからこそできるのです。
つまり元気なうちに生前整理をするということは、これまでの思い出を整理するだけでなく新しい思い出をストックするためのスペース作りでもあるのです。
生前整理に大切なのは「はじめの一歩」だけ
生前整理は一気に終わらせる必要はありません。
最初は「新しい思い出をストックすることが出来るスペースを作るだけ」で良いのです。
ですから今のあなたに必要な物なのであれば、周りから処分をすすめられたとしてもその意見に従う必要はないのです。
大切なことは「はじめの一歩をいつ踏み出すか」です。
少しずつ始めるにしても、最初の一歩を踏み出さなければ何も前には進みません。
ところがこの最初の一歩が、生前整理をする上では大きなハードルになります。
このハードルは実際に越えてみなければわかりません。
しかもその時に起こる感情の種類は、人によってそれぞれ違います。
場合によっては「いざやってみるとそんなにたいしたことではなかった」と思う人もいるでしょう。
でも逆に「やらなければよかった」と後悔する人もいるはずです。
でもとにかく最初の一歩を踏み出してみなければ、「本当に生前整理が必要なのか」という疑問の答えすらあなたにはわからないはずです。
だからこそ、小さなことを1つだけ整理するところから始めればよいのです。
生前整理は期限を決めてするものではない
「物にあふれた生活をしている人」も「物に頼らない生活をしている人」も、生前整理は必要です。
こういってしまうと几帳面な性格の人は「目標を決めて進めていかなければいけない」と感じてしまうかもしれません。
でも生前整理は期限を決めてしまうと、逆に失敗します。
今出来ることを少しずつ進めていくうちに、必要な物だけがきちんと残るのが生前整理です。
ですから「さあ、始めるぞ!」と気合を入れて行う人ほど失敗してしまいます。
思い出と向き合うことこそが、自分の人生を整理するということです。
その思い出がまだ今のあなたに必要な物であれば、それをわざわざ捨てる必要はどこにもありません。
ただ思い出と向き合うことによって気持ちが整理できたのであれば、物を取っておく必要もなくなります。
心を整理することは、頭で考えるよりもはるかに難しい作業です。
だから期限を決めたとしても、その通りに全てが整理できるとは限らないのです。
まずは写真を整理してみよう
生前整理は、「いつ始めるか」ということも大切なポイントになります。
今がその時かどうかを見極めるためにちょうど良い作業が「写真の整理」です。
写真といってもきちんとアルバムに整理している写真もあれば、「まとめて後で整理しよう」と思ったまますっかりその存在を忘れている写真もあるはずです。
まずはこうした写真の整理から取り掛かってみましょう。
写真の整理が思っている以上にはかどる場合は、生前整理を始めるチャンスと思ってください。
あなたの中でこれまでの思い出はきちんと整理がつけられていますから、身の回りの物の整理に取り掛かっても心に大きな負担がかかることも少ないはずです。
逆に写真の整理が思うように進まない場合は、まだ生前整理を始めるに早いと思ってください。
あなたの心は、あなたが思っている以上に過去の思い出に支えられています。
そんな状態の時に物を整理すると、あなたの心を支えていたものも一緒に無くなってしまいます。
でもそんな時も少し時間を空けてもう一度取り組んでみてください。
1回目の時よりも少しだけ作業が進んだと感じたなら、その時があなたにとって生前整理を始めるいいタイミングといえます。
捨てることに悩んだら判断を先送りにする事も大事
自分のタイミングに合わせて生前整理が始められたのなら、次にポイントになるのは「要る物・要らない物の判断」です。
その場で処分できるものであればよいのですが、思い出や記憶がたくさん詰まっている物もありますからすべてがうまくいくとは限りません。
でもそんな時は「迷ったら取っておく」でいいのです。
生前整理で躓きやすいのが「迷った時の判断の仕方」です。
たしかに思い切って捨てる勇気を持つことが大事な時もあります。
でも迷いがあるということは、まだ心の整理がついていないということでもあります。
きちんと心を整理することが、物を整理することにつながります。
言い換えれば「物が整理できないうちは心が整理できていない」といえます。
心の整理をすることが生前整理においては何よりも大事なことですから、迷った時はその判断を先延ばしにしても良いのです。
でもきちんと生前整理をするためには、この作業を何度も繰り返さなければ前に進みません。
ですから先延ばしにした判断も、時間を空けてもう一度向き合うようにしてください。
何度も繰り返すことによってあなたの気持ちが整理できれば、きちんと処分することもできます。
まとめ
生前整理は、自分のこれまでの生き方を振り返ってみるチャンスです。
でもこれまでの生き方をすべて切り離すということではありません。
人生を振り返り心を整理することで、これからの人生をより豊かなものに変えることが出来ます。
たくさんの思い出を抱えたままでは、新しい思い出を作る余裕は生まれません。
まだまだ元気な今だからこそ、新たな出会いや思い出もこれからたくさん出来ます。
だからこそ今のうちに始めておくのが生前整理を成功させるポイントなのです。