お葬式の主流になりつつある「家族葬」というお葬式のスタイル。
言葉から受ける印象は「アットホームなお葬式」という印象がありますが、一般のお葬式とあえて分類を分けている意味があまりよくわからないという人も多いのではないでしょうか?
たしかに家族葬といってもその定義はあやふやです。
でも家族葬として行ったためにおこる問題点もあります。
まずは家族葬の問題点を知り、どのような方法で行うのが一番良いのか改めて考えてみましょう。
家族葬のメリットとデメリットを理解しよう
家族葬という言葉を見ると、「アットホームなお葬式」という印象があるかもしれません。
でも家族葬という定義に「アットホームなお葬式」というものはありません。
ものすごくわかりやすくいってしまうと、「お葬式に参加する人数が少ないお葬式」を家族葬といいます。
そもそも家族葬という言葉自体も葬儀社が提案したもので、一般的なお葬式と比較しやすいことと表現の柔らかさから「家族」という言葉を使っているのにすぎません。
さらに問題なのは「家族」という言葉に対する解釈の違いです。
家族といっても生計を共にしている人だけを「家族」と呼ぶことは、葬儀の現場ではしません。
つまり家族の範囲に明確な決まりがないということでもあるのです。
親族が多い場合はどこまでをお葬式に呼ぶのか困る
家族葬でお葬式をする場合、家族の人数のであればイメージ通りのお葬式になります。
ただし家族葬における「家族」にもいろいろな人が含まれます。
まずは生計を共にしている人は間違いなく「家族」です。
ただし一緒に暮らしていない兄弟や親・祖父母も家族の範囲に入ります。
もちろん孫もこれに含まれます。
でもその家族に配偶者がいる場合は、その配偶者の家族はどうなのでしょうか?
やはりこれも一般的な解釈としては「家族」となります。
では親戚の場合はどうなのでしょうか?
故人の兄弟は「家族」になりますが、その配偶者や子・孫も家族葬の中では「家族」となります。
このようにして考えてみると、親族が多い場合は家族だけでも相当な人数になります。
もしも親族だけで40~50人となれば、一般弔問客も含めるとかなり規模の大きなお葬式になります。
こうなると家族葬のメリットといわれる「身内だけでのお葬式」というイメージとはかなりかけ離れてきます。
お葬式が終わった後の弔問客の対応に困る
家族葬の場合、お葬式に呼ぶ人の範囲は家族が決められます。家族が訃報連絡をしなければ、親族であっても亡くなったことを知ることはできません。
さらに故人の友人や知人などの場合は、人づてに訃報を聞くことが多いです。
訃報を知ったときにはすでにお葬式は終わっているわけですから、弔意を表すためにも自宅を訪問します。
でもお葬式が終わった後も家族にはやらなければならないことがたくさんあります。
初七日の法要はお葬式が終わったらすぐに準備を始めなければいけませんし、お葬式の清算もしなければいけません。
さらに死亡後に行う各種手続きは窓口が一つとは限りませんので、時間もかかります。
それだけ忙しいお葬式後の毎日の中で、個別に自宅を弔問に訪れてくると対応に苦慮します。
また「せっかく訪ねてくれたのに留守であったらいけない」という気持ちも働くはずですから、なかなか自分の用事を済ませられなくなります。
香典の収入は期待できない
お葬式に参加する人が多いということは、その分香典による収入も大きくなるということです。
お葬式を行うとなれば、葬儀社に支払う費用以外にも様々な費用が必要になります。
またお葬式が終わった後も初七日や納骨の準備や手配も必要になりますし、そのことにもお金がかかります。
こうした費用の一部を賄う役割があるのが香典なのですが、お葬式に人を呼ばないのであれば香典による収入も見込めません。
提示される費用の金額は安いかもしれませんが、家族が負担する金額としてはかなり大きくなります。
個別に返礼品を準備しなければいけなくなる
家族や親族だけのお葬式だからといって香典返しを準備しないというケースもあります。
ただし家族葬といっても、中には一般の弔問客も含まれています。
こうした方々に対してお礼をしないというのはマナー違反になりますので、やはり個別に対応をしていくことになります。
またお葬式が終わった後に訃報を聞いた人も香典を持参してくるはずですから、それに対してのお礼もしなければいけません。
個別に対応していく方が手間もお金もかかります。
場合によっては「あらかじめ返礼品を用意しておいた方がはるかに安くできた」ということもあります。
故人の交友関係から非難される
お葬式は家族だけのものではありません。
故人と付き合いのあった人のためでもあります。
できるだけ規模を小さくするためにと思って故人の交友関係に訃報連絡を入れておかないと、そのことに対して後から非難されることがあります。
いくら費用を抑えたいとはいっても、故人と親しい付き合いをしてくれた人の悲しみの場を奪う権利はありません。
きちんとお別れの場を準備することは、喪主・家族の務めでもあるのです。
年配の親族から非難される
お葬式に対する考え方は年代によってもそれぞれ違います。
特に高齢の親族の場合は、昔ながらのお葬式のスタイルしか知らないことも多いです。
そのため家族葬というお葬式のスタイルそのものに否定的な考えを持っている人もいます。
またお葬式は地域の風習やしきたりも関係してきます。
こうした風習やしきたりを知っている年長者のアドバイスは、葬儀社のアドバイスよりもはるかに有効です。
規模を小さくすることによってこうした貴重なアドバイスをもらえないことも、家族葬のデメリットといえます。
家族葬のデメリットをメリットに変えられる?
家族葬のメリットは「コンパクトなお葬式」です。
コンパクトなお葬式をするのであれば、やはり参加する人数をある程度絞る必要があります。
でもそのことによって周りの人から非難を受けたり、葬儀終了後に個別で弔問を受けるなどのデメリットが出てきます。
このような場合は、とにかく訃報連絡だけはきちんと入れておくということが大事です。
その際に「今回は家族葬で行いたい」という家族側の意向をきちんと伝えます。
このことによって相手側にも参列するか・しないかの判断をゆだねることが出来ます。
一般的に「家族葬で行いたい」といった場合は、一般の弔問客(知人やビジネス上の付合い)は参列を遠慮します。
その代りに供花や弔電などで弔意を表します。
どうしても直接お別れがしたいという場合は、その気持ちを素直に受け入れればよいのです。
ただしこれは、決定権が相手側にあるからこそできることです。
まずはきちんと訃報を伝え、家族としてどのようにしたいのかをきちんと伝えるべきです。
葬儀後の個別対応に困るのなら…
葬儀後の個別対応に困るというのは、訃報連絡がきちんと行き届いていないからです。
故人を哀悼する気持ちは、家族であっても否定することはできません。
亡くなったという事実を現実のものとして受け入れるには、どんな人でも何らかの方法が必要になります。
その一つが弔問になるのです。
遺影写真を見て手を合わせることによって、はじめて死が現実であるということを受け入れます。
そしてこの経験を通して、悲しみを現実のものとして受け入れることが出来ます。
だから家族が弔問を断るということはできないのです。
とはいえお葬式が終わった後も家族は大変な毎日を過ごします。
お葬式をする前は「お葬式当日までのこと」しか考えられないのですが、実際に体験してみるとその大変さが良く分かります。
だからこそお葬式後にかかる負担を少しでも減らすためにも、きちんと訃報連絡をするということが大切です。
まとめ
家族葬のデメリットも、その内容が理解できればメリットに変えることが出来ます。
言葉のイメージだけで家族葬を選ぶのは、正しい選択とは言えません。
どのようなお葬式が良いのか考えたときには、まずはデメリットを見てください。
もしもそのデメリットをメリットに変えられると感じたなら、あなたの理想のお葬式が実現できるはずです。