お葬式屋さんのタイプには様々なものがありますが、その中でもよく耳にするのが「互助会系のお葬式屋さん」です。
互助会系のお葬式屋さんの多くは、お葬式専用のセレモニーホールがあり、定期的にテレビコマーシャルや新聞の折り込みチラシなどを使って告知しているため知名度も高いのが特徴です。
でも互助会系のお葬式屋さんの場合、勧誘の営業がしつこいと感じることもよくありますよね?
もしもあなたが「そろそろお葬式について考えておかなければ…」と思っているのであれば良いのですが、「気にはなるけど、まだまだ先のこと」と思っている場合は面倒にしか感じないはずです。
そうはいってもいつかは必ず訪れる大切な人との別れ。
「今のうちから少しでも何かできるのなら、考えてみた方がいいのかな?」と漠然と思っている人も多いはずです。
そこで今回は互助会系のお葬式屋さんの仕組みと、お葬式を頼んだ時のメリット・デメリットについてわかりやすく説明していきます。
互助会系葬儀社のサービスやシステムは普通の大手葬儀社とほぼ一緒
互助会系葬儀社とそれ以外の大手葬儀社には、明確な違いが1点だけあります。
それが互助会系の葬儀社は「割賦(かっぷ)販売法」によって営業をしていることです。
割賦販売法ってなに?
割賦販売法というのは、れっきとした日本の法律です。
お葬式以外にもこの方法によって営業をすることはありますが、代表的なものがお葬式における割賦販売法です。
お葬式で説明するとよくわかりにくいのですが、身近な例で考えると分かりやすくなります。
このシステムを利用した身近な例といえば、デパートや百貨店などで行っている「友の会」があります。
友の会では、「月々一定の金額を積み立てる」または「あらかじめ決められた金額を一括で支払う」ことによって、事前に告知されていた商品またはサービスが受けられるというものですよね?
そのため頻繁にデパートや百貨店を利用する人は、お気に入りの店舗の友の会に加入することでお得に買い物を楽しんでいます。
実は互助会の割賦販売法も、このシステムとほぼ同じです。
加入をする前には必ず「積み立てが満期を迎えるとこのようなお葬式をすることが出来ます」ということをあらかじめ加入希望者に提示します。
もちろん積立金額によって保障されるサービスの内容が異なる場合もありますが、いずれの場合も契約時に確約した内容は全て提供しなければいけない義務があります。
割賦販売法には「前払い方式」と「後払い方式」がありますが、前払い方式の場合は業者が倒産した場合加入者が損をしてしまいます。
ただしお葬式の場合は「そのようなことがあってはならない」という理由から、互助会として営業をする上では厳しい審査をクリアする必要があります。
また経営状況が厳しくなった場合も、行政からの指導が入ります。
そのため互助会系のお葬式屋さんは、基本的に倒産しません。
あらかじめ加入しないと互助会系葬儀社は利用できないはウソ!?
互助会の勧誘営業を受けると、「事前に会員にならないと、わが社のセレモニーホールは利用できませんよ」といわれることがあります。
でも、これは正直に言ってしまえばウソです。
互助会系の葬儀社といっても、中身は一般的な大手互助会と何も変わりません。
ですから会員でなくても、いざその時が来た時に互助会系葬儀社にお葬式を依頼してもちゃんと引き受けてくれます。
では「どうして勧誘営業の時にそのような営業トークを使うのか?」という疑問がありますよね?
これは所詮ただの営業ノルマの達成のためです。
互助会の会員勧誘スタッフは、ほとんどの場合、葬祭部門とは切り離された独立部署になっています。
そもそも互助会系の企業の場合、お葬式だけでなく結婚式などのお祝い事としても利用できなければいけません。
つまり「冠婚葬祭互助会」というものなのです。
ですからお葬式のことが気になる年齢のお客さんに対しては「お葬式の時に便利ですよ」といいますし、お葬式はまだ先の話だけど何かの時のために積み立てしておきたいと思っているお客さんに対しては「お子さんの結婚式やお祝いの時にも使えますよ」といいます。
もちろんお祝い事に関するサービスの提供内容も、契約を交わす前には必ず説明をする必要があります。
ですから互助会の勧誘員は、「お葬式の知識が豊富」というわけではないのです。
そのため実際に加入した会員がいざお葬式を依頼すると、「加入した時の話と内容が違う!」というトラブルがよくおこります。
積立金だけでお葬式が出来ることはない
互助会の勧誘を受けると、「あらかじめ積み立てしておけば、いざとなった時にお葬式の費用のことを心配しなくても大丈夫」なんてトークがありますが、このトークが決め手となって加入をした場合は後でとんでもないことになります。
そもそも互助会の規約で決められた内容は、「必要最低限のお葬式セット」と考えた方が良いです。
もちろん積立のプランにはランクもあるので、加入したプランによってはそれ以上のサービスが提供されることもあります。
ただしお葬式には、「変動費用」といって実際にその時になってみなければわからないお金もあります。
その代表的なものが「食事代(通夜ぶるまいなど)」や「返礼品」です。
通夜ぶるまいの食事は実際にお葬式の打ち合わせをし、お葬式に呼ぶ人の人数が決まらないと計算できません。
しかもそこに飲み物も提供すれば、注文した本数(実際に栓を開けた数)分請求されます。
通夜ぶるまいは弔問客に対するお礼も兼ねているだけに、「足りないよりは少しお目に注文する」が一般的です。
さらに厄介なのは、当日に注文数の変更・キャンセルが出来ないという点です。
返礼品も同じことが言えます。
返礼品には品物と併せてお礼状とお清めの塩がセットになっていますが、お礼状は印刷物になるため注文した枚数分請求されます。
互助会系葬儀社によっては「○○枚までの礼状を含む」と規約に書かれていることもありますが、その場合も既定の枚数以上に注文した場合は追加料金となります。
その他にも「お葬式の祭壇のランクを上げたい」「備品のランクを上げたい」などの変更があれば、それも追加料金となります。
つまり「互助会の積み立て費だけでお葬式にかかるすべての費用が賄える」ということはないのです。
互助会系葬儀社を利用するメリット
互助会の葬儀社を利用するメリットは「事前に葬儀社が決まっているため、いざその時が来た時に慌てずに済む」ということです。
どんなに冷静沈着な人であっても、大切な身内の死を前にすると、正しい判断が出来なくなります。
でも家族が亡くなった瞬間から、家族はお葬式に関する様々な決断を即座にしていかなければいけません。
まず初めにしなければいけないのが、「どこの葬儀社に頼むのか」です。
もしも自宅に連れて帰ることが出来ない状況であれば、安置スペースのある葬儀社を探さなければいけません。
これに対して互助会系の葬儀社は、基本的に会員専用のセレモニーホールを完備しています。
しかもすでに会員として加入しているわけですから、電話連絡をすればすぐに引き取り用の車の手配から安置まで対応してくれます。
「いざとなった時にどこに連絡すればよいのか決まっている」というのは、その時を迎えた家族にとって何よりの安心となります。
これは互助会系葬儀社を利用する最大のメリットといえます。
互助会系葬儀社を利用するデメリット
互助会系葬儀社を利用する時のデメリットは、「葬儀プランの不透明さ」といえます。
互助会以外の葬儀社でもよく起こるトラブルなのですが、お葬式のサービスは「セットプラン」となっているのがほとんどです。
希望するランクの祭壇を選ぶと、自動的に骨壺や棺、その他の備品などが決まります。
変更する場合は、オプション費用として追加料金となります。
また会員に加入し積み立てを行っていても、悪質な互助会系葬儀社の場合は「あなたが加入しているプランではお葬式には使えません」といわれることがあります。
そのためせっかくお葬式の費用として積み立てていたつもりなのに、実際には積立金がお葬式費用に充当されなかったというトラブルもあります。
まとめ
互助会系のお葬式屋さんを賢く利用するポイントは、「あらかじめお葬式の事前見積りをとってから加入を検討してみる」ということです。
基本的に互助会の場合は冠婚葬祭に関する全てにおいて積立金は利用できます。
ですからお葬式以外で使うことも含めて加入を検討するのであれば、わざわざお葬式の見積もりを取る必要はありません。
ただしお葬式の費用が目的で互助会の加入を検討しているのであれば、必ずお葬式の見積もりを貰ってください。
実際に加入したことを想定した上でお葬式の見積もりを出してもらえば、いざその時が来た時に「積立金が使えない」「聞いていた時と話が違う」というトラブルを避けることが出来ます。