沖縄のお葬式にまつわるちょっとびっくりなしきたりや風習って!?

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映画『洗骨』の公開で沖縄のお葬式の風習「洗骨」を初めて知った人も多いでしょう。

でも沖縄のお葬式には「洗骨」以外にもまだまだビックリな風習がたくさんあります。

私も本土出身者なので、最初に沖縄のお葬式のしきたりや風習を聞いた時にはびっくりしました。

ただその風習も意味を知ると「なるほどね」と思うことが多く、逆に「こんな意味があるのなら風習とはいえとてもいいことだな」と思うこともあります。

そこで私自身も驚いた沖縄のお葬式にまつわるちょっとびっくりな風習について紹介してみます。

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沖縄のお葬式にまつわるしきたりや風習って!?

沖縄はご先祖様を大事にする「先祖崇拝」が今も根強く残っています。

でもお葬式のスタイルは一般的な仏教式。

だからお葬式のときにもお坊さんを呼ぶ人が多いですし、お葬式の流れとしてもそれほど大きな違いはありません。

ただもともと地域や一族の風習を大事にする沖縄ですので、仏教式のお葬式でもお供え物やお葬式のやり方、考え方がいろいろと違います。

 

・枕飾りは三具足ではなく五具足
どの宗教・宗派でお葬式をするにしても、遺体を安置した後には「枕飾り」と呼ばれる道具を一式準備します。

日本のお葬式で最もオーソドックスな仏式の場合、「経机(きょうづくえ)」と呼ばれる焼香台をまずは準備します。

その上に「香炉」「花瓶」「燭台」をそれぞれ1つずつ置きます。

この3点セットのことを「三具足」といいます。

一般的にはこれが枕飾りの基本となります。

では沖縄ではどうなのか、ということですよね?

実は沖縄では三具足ではなく五具足が基本です。

 

五具足は「香炉×1」「花瓶×2」「燭台×3」です。

つまり5点セットです。

これには私も最初びっくりしました。

「仏式なのにお葬式で五具足?」と…。

ただ沖縄では三具足だと逆に「なにコレ?」となるようです。

 

もともと五具足の並べ方は中国の文化が強く関係しています。

沖縄はかつて「琉球」と呼ばれていて、中国など諸外国の貿易を通して栄えてきた歴史があります。

特に深いつながりを持っていた中国とは、貿易の中で文化も数多く入ってきました。

現在のように枕飾りを五具足とするルーツはよくわかっていませんが、中国とのつながりが強い沖縄ですので中国の風習・文化が関係しているのかもしれません。

 

・枕団子は「6個」ではなく「7個×2セット」
枕団子といえば仏教世界における六道を意味しているといわれているため、基本的に全部で6個準備します。

団子には六道で考えられているそれぞれの世界を表しているといわれ、1つの団子が1世界を表すため「地獄界」「畜生界」「修羅界」「人間界」「天上界」の計6個となります。

もちろん「枕団子はいらない」という宗派もありますし、地域の風習によっては「3個」「4個」「6個」「10個」「11個」「13個」「16個」「49個」という場合もあります。

 

ただし沖縄はこのいずれとも違います。

1つのお皿に7つの団子を並べたものを2セット準備するので、合計14個の団子を作ります。

沖縄では1つの皿に7つの団子を盛りつけます。

さらに沖縄では基本的に何でも「対」でお供えします。

そのため「7個×2セット=14個」となります。

 

1皿に7つの団子をお供えする理由は、四十九日までに追善供養が全部で七回(沖縄では七回ある追善供養をまとめて「ナンカスーコー」といいます)あることと関係しています。

沖縄では亡くなってから7日目にやってくるのを「初ナンカ」といい、その後7日ごとに全部で7回のナンカを行います。

7つの団子は、「死者が七日ごとに家に帰ってくるとき、途中でマジムン(魔物・餓鬼のこと)に会った時に投げつけて逃げるため」といいます。

 

沖縄の先祖崇拝の考え方だと、亡くなった人は四十九日を過ぎるまでは七日ごとに生まれ育った家(仏壇のある家)に戻ってくるといいます。

四十九日は「あの世とこの世に区切りをつける日」とされ、その昔は食い別れの儀式を行います。

ただ魔物はこの世にも影を潜めて存在しているといいますので、無事に家にたどり着くために持たせたのだといいます。

このように説明を受けると、沖縄には独特の死後の世界観があることがわかります。

 

・仏教式でも豚肉をお供えする
仏教の場合、殺生を禁じるという意味からお葬式で準備する料理には肉を使いません。

こうした料理のことを「精進料理」といいますよね?

ところが沖縄では、一膳飯や枕団子と一緒に豚肉もお供えします。

これは仏教式のお葬式であっても行います。

豚肉は「地域の風習」としてのお供え物なのですが、お供えの仕方は地域や一族によって違います。

例えば豚バラ肉のブロックをそのまま茹でて味をつけないままでお供えすることもありますし、カットしたものを同じ数だけ小皿に乗せそれを2セット準備することもあります。

ここで共通しているのは「味をつけない」という点です。

 

沖縄の郷土料理である「三枚肉」と途中までは作り方が一緒ですが、味をつけないところが違います。

その昔中国でも獣肉を茹でたものを神事でお供えしていたという記述がありますので、もしかしたらそのあたりが「味をつけない豚肉」とつながっているのかもしれません。

 

・卵焼き・ゆで卵をお供えすることもある
もっとびっくりしたのが、豚肉をお供えする代わりにゆで卵や玉子焼きをお供えしていることです。

一説によると本来は「牛」をお供えしていたのだといいます。

ただ牛は庶民にとっては食べることが出来ない家畜でした。

口にすることが出来たのも王族など一部の特権階級に限られており、しかもそのほとんどが何らかの儀式として食べていたといいます。

そのため庶民が口にすることが出来る最高級の家畜は「豚」でした。

そこでお葬式では豚をお供えしていました。

でも豚も庶民が口にすることが出来るのは1年に1~2度あるか、ないかです。

それほど貴重な豚ですので、本来であれば丸ごと一頭お供えするものだったらしいのですが一部の部位をカットしてお供えするようになったといいます。

 

ただ貧しい農民たちには豚肉を手に入れることはできません。

そこでもっと身近な家畜であるニワトリを豚のお供えします。

でもニワトリも貴重な家畜なので1羽丸ごとお供えすることが出来ないこともあります。

それでも何とかして贅沢な食事を食べさせてあげたいと思ってたどり着いたのが、ゆで卵や卵焼きだったというわけなのです。

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沖縄の葬儀ではお通夜をしない

沖縄は遺体を埋葬する文化はありませんでした。

「風葬」にして白骨化させたものを墓に納めるという独特の文化があります。

古代沖縄ではそれこそ自然のままに白骨化させていたようですが、文明とともに遺体を安置する場所も変わっていき、いつしか密閉された墓の中で遺体を白骨化するまで安置するという方法に変わります。

そして白骨化した骨は墓から一度取り出し、海の水で浄めたのちに改めて墓に埋葬します。

これを「洗骨」といいます。

 

このように死後何度も弔いの儀式を行うことを「複葬」といいます。

このような独特の弔い方をしてきた沖縄では、昔から「亡くなったその日のうちに最初のお葬式(遺体を墓に安置する)を行う」というのがお葬式の流れでした。

もちろん夜を挟んでお葬式をすることもありました。

ただこれはあくまでも例外で、「夜に亡くなった場合」「親族が遠方にいてその日のうちに集まることが出来なかった場合」などに限られていました。

 

こうした昔からのしきたりが関係しているからなのか、沖縄では今でも「通夜式」と呼ばれる形式的なセレモニーはありません。

お坊さんを呼んでお葬式をするにしても、枕経を上げることはありません。

弔問客はやってきますが、わざわざ別席に案内して通夜ぶるまいをすることもないです。

さらにお通夜は「この世で家族や親族が故人と最後に過ごす夜」ですから、一般の弔問客の基本的には見られません。

翌日に行われるお葬式に参列できない人が弔問に訪れるだけで、ほとんどの場合は家族・親族だけで過ごします。

本土と全く違うお通夜の過ごし方なので最初は私も驚きましたが、翌日に行われる慌ただしいお葬式を前にゆっくりと家族だけの時間を過ごすことが出来るのはいいことだと素直に思います。

沖縄式の線香ヒラウコーとは!?

仏教では「香の煙は死者の食事」ともいわれているため、お葬式が終わるまでは絶やしてはいけないといいます。

ところが沖縄では亡くなった人に陰膳や食べ物をお供えする時には、ヒラウコーと呼ばれる沖縄式線香を使います。

ヒラウコーというのは1枚の平べったいお線香なのですが、全部で6本に分けられるように溝がつけられています。

ただし実際に使う時には「折らずにそのまま1枚の線香として使う場合」と「1回折ってから2本に分けて使う場合」に分かれます。

 

ちなみに亡くなった人へのお供え物をする時に使うのは「12本3本」です。

このように説明しても、実際にヒラウコーを見たことがない人にとってはわからないと思います。

ちょっとわかりやすく説明します。

折っていない状態のヒラウコー1枚は「一般的な線香6本分」になります。

これがくっついた状態になっているのがヒラウコー1枚なので、「12本」となると一般的な線香12本分となります。

 

また一般的な線香6本分がくっついた状態が1枚のヒラウコーですから、これを真ん中で割ると「一般的な線香3本分×2組」が出来ます。

このうちの1つを使うことを「3本」といいます。

要するに「12本3本」というのは、「折っていないヒラウコー2枚と2つに折ったヒラウコー1枚」となり、一般的な線香の本数でいえば15本の線香となります。

 

もちろんこの数には意味があります。

12本のお線香は干支の神様にお供えするものです。

干支にはそれぞれ神様がいるのですが、沖縄では生まれ年の神様のことを「守り神」と考えます。

干支は一回りするのに12年かかりますから、守り神は合計12人になります。

だからヒラウコーの「12本」は12人の守り神様へお供えするお線香となります。

 

次に3本のお線香ですが、これは「亡くなった人に対するお線香(または自分のためのお線香)」といわれています。

12本3本のヒラウコーはまとめて遺書に香炉に立てるのですが神様の方が亡くなった人や人間よりも偉いので、神様にお供えする12本のヒラウコーは3本のヒラウコーよりも奥に立てます。

この「12本3本」というヒラウコーの使い方は、お葬式の風習ではよく登場します。

 

ただ本土では沖縄式線香そのものを見ることがほとんどないので、「どうやって使えばいいのか」と必ず戸惑います。

でも意味が分かると「なるほどね」と思えます。

ちなみにヒラウコーは手に持つと指が真っ黒になります。

初めて手に持つときには、十分気を付けてくださいね。

まとめ

今回はお葬式のちょっとびっくりな風習として「沖縄編」を紹介してみましたがいかがでしたか?

沖縄は本土と違い、中国文化・日本文化・琉球文化が融合したオリジナルのお葬式文化を持っているのが特徴です。

それだけに全国各地で見られる地域の風習と比べてもびっくりすることが多いですよね?

でも沖縄の風習を紹介してみてもわかるように、地域の風習には若い世代にはあまり知られていない歴史や意味が多く含まれています。

風習は「ちょっと面倒だなあ」と思うことの方が多いですが、意味が分かると納得できるものもあります。

あなたも気になる風習に出会ったらその意味を調べてみてはどうでしょう?

もしかしたらこれまで思っていた風習のイメージとは全く違った考えに変わるかもしれませんよ。

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