お葬式の専門ホールであるセレモニーホール。
最近は様々な形態のホールがあり様々な人が利用しているため、一度くらいはみなさんの中でも足を運んだ経験があるのではないでしょうか?
そんなセレモニーホールですが、賢い選び方にはポイントがあることをご存知でしょうか?
セレモニーホールにもメリットとデメリットがあります。
しかもセレモニーホールのタイプによって、選び方のポイントも違います。
そこで今回はどのようなセレモニーホールを選べば良いのか、賢い選び方のコツと利用方法について紹介します。
セレモニーホールの選び方
セレモニーホールは、その名の通り「お葬式専門の貸しホール」のことを言います。
基本的な設備としては、「葬儀会場となるホール」と「遺体安置が出来る安置室」があります。
セレモニーホールで出来ること
遺体の安置から葬儀・告別式までお葬式に関することであれば基本的にすべてできます。
葬儀会場となるホールも様々な大きさがあり、お葬式の規模によって選ぶことが出来ます。
また宗教・宗派問わずどのような宗教的儀式にも対応できる道具がすべて準備されており、冷暖房完備なうえに広い式場があるため天候に左右されずにお葬式をすることが出来ます。
セレモニーホールには様々な使い方がある
セレモニーホールは、様々な使い方が出来ます。
オーソドックスな利用方法は、「遺体の安置~葬儀告別式」までをすべて同じホールで行うという方法です。
この場合は遺体の移動は最小限にとどめられる上に宿泊設備も整っているため、遺族にとっての身体的疲労を極力抑えることが出来ます。
次は「安置室のみ利用」という方法です。
「すでに寺や教会などをお葬式の会場と決めているけれど、自宅には連れて帰ることが出来ない」という場合は、安置室のみを利用することもできます。
ホールの運営方法によっても異なりますが、貸しホールとして一般に開放しているセレモニーホールの場合は、別の葬儀社を利用しつつ安置室のみ利用するということもできます。
ただしこの場合は「ホールを所有する葬儀社の家族」が最優先されます。
ですから別の葬儀社で葬儀施工を依頼し安置室だけ別の葬儀社のホール(安置室)を利用する場合、「安置室の空きがある」ということが前提にあります。
お別れ会や偲ぶ会の会場としてセレモニーホールを利用することもできます。
式場のレイアウトは基本的に自由に使うことが出来るので、会場の中央にメモリアルコーナーを設置し飲み物や軽食を準備すれば立食スタイルのお別れ会や偲ぶ会を行うこともできます。
最後は「安置室で葬儀式まで行う」という方法です。
ごく親しい人だけで小さなお葬式を行いたいという場合は、安置室を利用してお葬式を行うことが出来ます。
ただしこの場合は安置室のスペースが限られていることが問題となります。
さらに「お葬式が終わった後に出棺・火葬をする」ということが基本条件となるため、火葬後に安置室を利用することが出来るかどうかは運営している葬儀社の判断次第となります。
セレモニーホールのデメリット
セレモニーホールのデメリットは、「利用時間に制限があること」と「落ち着ける場所がない」の2点があります。
まず1つ目の「利用時間の制限」ですが、セレモニーホールも稼働率が上がらなければ葬儀社としての売り上げが上がりません。そのため安置室の場合も「○泊までは○万円、それ以降は1日につき○万円追加」とあらかじめ決められています。
特に安置室の需要は高いため、「出来るだけ早く安置室を空けたい」というのも葬儀社の本音です。
そのため時間が来ると、「ご利用できる時間が来たため、お早めにご退出ください」という感じで急かされてしまいます。
せっかく最後の時間をゆっくり過ごしたいと思っても、最後にこのような形で急かされてしまうとさすがに気分を害してしまいます。
そうならないためにも葬儀社側としては「出来るだけ予定時間よりも早めにスケジュールを進めていく」が鉄則です。
そのためセレモニーホールでのお葬式を経験した人の多くが「慌ただしいお葬式だった」と答えます。
もう一つは「落ち着ける場所がない」という問題です。
確かに葬儀会場には、遺族・親族専用の控室があります。
もちろん安置室の場合も、同じ部屋に別の家族が入るということはありません。
ですから「プライベートがない」というわけではありません。
ただし限られたスペースですから、なかなか一人きりに慣れる場所がないというのが現実です。
自宅であれば家族以外の人が入ってこれないスペースもありますから、1人になりたいと思った時でもある程度思い通りになります。
お葬式は様々な儀式があります。
さらに弔問客の対応もしなければいけません。
とはいえ最も大きいのは「大切な人を失ってしまった悲しみ」の方です。
心が落ち着くという時間はお葬式にはほとんどありません。
様々な想いが次々と浮かんできますし、それによって感情の様々に変化していきます。
こうしたことが繰り返す中で儀式や弔問客の対応をしなければならないわけですから、ほんの少しだけでも一人きりの時間が欲しいと思うのは当然です。
ただ残念ながらセレモニーホールには、他の家族も利用します。
葬儀スタッフの出入りも、葬儀社だけでなく花屋や仕出し屋なども出入りします。
そのためどこに行っても誰かに会います。
このようにセレモニーホールでは、「ゆっくりと気を落ち着かせる場所がない」というのがデメリットといえます。
セレモニーホールには様々なタイプがある
様々なニーズに対応するために、最近のセレモニーホールはかつてのような大型のものばかりではなくなっています。
セレモニーホールのタイプによっては、セレモニーホールのデメリットも解消されています。
そこで今度は、最近見られるようになってきた特徴あるセレモニーホールを紹介してみます。
完全貸切型セレモニーホール
1日に1組限定の完全貸切型セレモニーホールがあります。
このタイプのセレモニーホールであれば、他の家族のことを気にすることなく自宅葬と同じようにお葬式をすることが出来ます。
ホールの外観も、「いかにもセレモニーホール」というような無機質なタイプもあれば、見た目は一般住宅のようなタイプもあります。
しかも1日1組限定なので、セレモニーホールでよくありがちな「祭壇の使いまわし」がありません。
そのため「自分たちのためだけのお葬式」ということが実感できます。
家族葬専用セレモニーホール
最近主流となっている家族葬ですが、その定義は「家族だけのお葬式」とは限りません。
家族を含めた概ね20名までの小規模なお葬式のことを「家族葬」と呼びます。
このような小規模なお葬式に特化した「家族葬専用セレモニーホール」が最近増えています。
広い葬儀ホールを持つ必要がないため、建物の規模も比較的小さいのが特徴です。
家族が安心して宿泊できるように、宿泊設備が充実しているのが特徴です。
住宅街にある小規模セレモニーホール
住宅事情により自宅でお葬式が出来ないこともよくあります。
それでも「出来るだけ自宅に近い場所でお葬式をしたい」という家族も多いです。
そうした複雑な住宅事情を抱えた家族のために特化しているのが、住宅街の中にある小規模なセレモニーホールです。
自宅からセレモニーホールまでの距離が近いため、近所に住む知人や友人などが参列しやすいのが特徴です。
多目的型貸しホール
お葬式以外でも利用できる「多目的型貸しホール」も人気があります。
多目的型貸しホールのメリットとしては、「自由に式場をアレンジできる」という点にあります。
そのためオリジナルの演出がしたいと思っている人におすすめです。
大型のセレモニーホールにありがちな問題点
大型のセレモニーホールは、規模の大きな葬儀社や互助会系の葬儀社が運営していることが多いです。
こうした大型のセレモニーホールの場合、よく問題になるのが「祭壇の使いまわし」です。
お葬式の価格表示では、祭壇の金額を決めるとその他もろもろの道具一式がセットでついてくる「パック料金表示」です。
大型のセレモニーホールの場合は、収容人数によって使用する会場が決まります。
会場の大きさによって祭壇が決まるため、一般的な規模のお葬式をするとある程度使用する式場が決まってきます。
例えばあなたが「Aホール50万円の祭壇」を選んだとしましょう。
同じ日に別の家族が「Aホール50万円の祭壇」を選んだとしたら、式場に使われる祭壇の花は2件とも同じものを使います。
ですから遺影写真さえ入れ替えれば、あなたのお葬式も別の人のお葬式も1件分の費用しか掛かりません。
これが「祭壇の使いまわし」です。
悪質な業者になると、1度使った祭壇の数日間使い続けます。
もちろん生花を使っていますから、部分的に枯れてしまったりしおれている部分が出てきます。
この部分だけをピンポイントで手直しすれば、1回分の祭壇費用だけで何件ものお葬式をすることが出来ます。
こうした事情があるため、式場に飾られた花を持ち帰ることを禁止している葬儀社がたくさんあります。
もちろんきちんと1件ずつオリジナルの祭壇を作る良心的な葬儀社もいます。
でもこの場合はほとんどが中・小規模な葬儀社です。
確かにこうした値段の不明瞭さについては、昔から何度も指摘されてきました。
それでもお葬式の費用についてはグレーゾーンが多いため、未だにしっかりと明瞭会計で対応してくれる葬儀社の方が数は少ないです。
このことも理解した上でどこのセレモニーホールを利用した方が良いのかを検討した方が賢い利用法といえます。
まとめ
セレモニーホールにも様々なスタイルがあります。
葬儀社側としては便利さを売りにしているのですが、実際にはそれぞれのホールによっても様々な違いがあります。
どのようなお葬式をしたいのかということを考えた時、式場選びは重要なポイントです。
後悔しないお葬式をするためにも、心に余裕があるうちにホールを見学してみるのもおすすめです。