お葬式の費用は、ある日突然必要になります。
しかも一つひとつの商品の内容を細かく吟味するほどの時間も余裕もないまま次々と決めていかなければならないため、お葬式後に葬儀社から請求される費用に驚くことがあります。
でもお葬式の費用についてあらかじめ家族や親族と話し合いをするということ自体も、あまり一般的ではありません。
そのためいざその時になると、残された家族にだけ負担がかかってしまうということもよくあります。
そこで今回は「お葬式の費用がない!」と慌てないために、事前に知っておきたいお葬式費用のポイントについてわかりやすく紹介しておきます。
お葬式の費用がない!
お葬式では、支出だけでなく「御香典」という収入もあります。
もちろんすべての葬儀費用を香典費用で賄うことは難しいです。
でもお葬式の費用の一部を香典で賄うことはできます。
葬儀費用の予算は「香典で賄える額」がいくらあるのか計算する
お葬式にかかる費用には「葬儀社への支払い」「宗教者への支払い」「火葬料金」の3つがあります。
3つの中でお葬式の当日に支払いをしなければいけないのは、「宗教者への支払い」と「火葬料金」です。
宗教者への支払いとは?
「宗教者への支払い」というのは、主にお坊さんへの支払いのことを言います。
日本のお葬式の多くは仏教式でのお葬式です。そのためお坊さんを頼むことになるのですが、その時に必要になるのが「お布施」と「戒名料」です。
お布施は、お通夜からお葬式、火葬場の炉前の供養に対して支払います。
ただしお坊さんにお葬式を依頼すると、お布施とは別に「戒名料」というものが発生します。
戒名というのは、「仏の世界の住人としての名前」のことを言います。
これはお坊さんにわざわざ名前を決めてもらう必要があるため、お布施とは別に戒名料として支払います。
火葬料金とは?
火葬料金というのは、最もわかりやすく言えば「火葬の炉を使用するための料金」といえます。
火葬場には公営・民営の違いがあるだけでなく、施設によっても設備内容に違いがあります。
火葬から収骨までにかかる所要時間も火葬場によって違いますが、いずれにしても火葬が終わるまでの間、収骨に立ち会う遺族・親族はどこかで休憩する必要があります。
火葬場によっては、無料で専用個室が利用できることもあります。
ただし施設によっては「専用の個室を利用する場合は別途追加料金が発生する」こともあります。
とはいえここでいう「火葬料金」というのはあくまでも「火葬をする料金」のことであり、別途追加料金が発生するようなオプション料金は含んでいません。
日本では衛生管理上、遺体は火葬をしなければいけません。
つまり火葬料金は「どのようなお葬式においても必ず必要になる費用」となります。
香典費用で賄える費用は「葬儀社への支払い」と考えるべき
香典費用だけで「葬儀社への支払い」「宗教者への支払い」「火葬料金」のすべてを賄おうと考えるのは間違っています。
あくまでも香典費用は「葬儀社への支払い」の一部として考えるものです。
そもそも香典をいただくということは、お礼の品を返すということが前提にあります。
この時に準備する品物のことを「返礼品」といいます。
お葬式の返礼品には、金額の異なる商品がたくさん準備されています。
値段を安く抑えようとするとどうしても単価の安い商品を選んでしまいがちですが、返礼品にも金額の目安があります。
実はお葬式の返礼品には「半返し」というマナーがあります。
これは「いただいた香典費用の半額程度の品をお返しする」というものです。
もちろんお香典の費用にも相場があり、故人との付き合いの深さによって相場も変わってきます。
つまり「どのような関係の人をどの範囲までお葬式に呼ぶのか」ということが重要になってきます。
ちなみに返礼品の手配をするのは葬儀社です。
ということはお香典で賄える費用の対象となるのは「葬儀社への支払い」となるわけです。
菩提寺がないなら「僧侶派遣会社」を利用するといい
最近は仏教式でお葬式をする人の中でも、菩提寺がなく宗派にこだわりがない人が増えています。
とはいえお葬式はある日突然起こる出来事ですから、いざお葬式の手配となるとどこに頼めばよいのかわからなくなります。
そのため特に付き合いのあるお坊さんがいない場合は、ほとんどの人が葬儀社が勧めるお坊さんに頼んでいます。
でも葬儀社からお坊さんを紹介されたからといって、お布施の相場通りの金額になるとは限りません。
お布施には地域によって相場がありますが、戒名料には相場があってもないようなものです。
でもお坊さんにお葬式を依頼した以上、請求された金額を支払はなければならなくなります。
ちなみに葬儀社から紹介されたお坊さんは、菩提寺にお願いするよりも基本的に金額が高いです。
なぜなら葬儀社から紹介してもらった場合は、お布施に対して何パーセントかを「紹介料」という名目でキックバックするのが暗黙のルールだからです。
そのため相場よりも若干高めに設定しておかなければ、お坊さんだって儲からないのです。
このようなケースを避けるためには、明瞭会計なシステムでお坊さんを依頼することができる「僧侶派遣会社」を利用するのがおすすめです。
僧侶派遣会社の特徴とは?
僧侶派遣会社の特徴は、「事前に料金が分かる」ということです。
派遣会社から派遣されたお坊さんだからと言って怪しいお坊さんが来るということはありません。
もちろん派遣されるお坊さんも、きちんと修行をし僧侶の資格を持っています。
ですからお葬式でやってもらう内容は、葬儀社から紹介してもらうお坊さんと同じです。
僧侶派遣会社を利用するデメリット
僧侶派遣会社を利用する場合は、「菩提寺がない」または「菩提寺が遠い」という条件が付きます。
菩提寺があって菩提寺にお墓がある場合は、お葬式の依頼も菩提寺にお願いしなければトラブルのもとになります。
もちろんお葬式の会場を菩提寺に指定した場合、菩提寺のお坊さん以外がお経をあげることはできません。
また菩提寺にお墓がある場合は、菩提寺以外のお坊さんにお葬式を依頼すると納骨ができないことがあります。
これは同じ仏教といっても宗派によって死後の世界の考え方が違うため、戒名のつけ方にも違いがあるからです。
つまり「供養の仕方にも違いがある」ということなので、結果として「納骨を拒否される」ということにつながります。
そうはいっても家族にはそれぞれ諸事情がありますから、菩提寺があっても依頼ができないケースもあります。
このような場合には、「菩提寺の許可をもらったうえで利用する」という方法があります。
葬儀社によってはカード払いOKの業者もある
葬儀社への支払いは、基本的に現金払いです。
ただし葬儀社によっては、クレジットカード払いに対応している葬儀社もいます。
クレジットカード払いに対応している葬儀社の数は限られていますが、大手の葬儀社であればほぼ対応しています。
利用する際も一般的なクレジットの利用方法と同じですので、普段の買い物でもクレジット払いをしているという人にとっては「葬儀代を支払ってポイントが付く」というメリットもあります。
ただし注意しておきたい点があります。
葬儀社から請求される金額はやはり高額です。
そのため、あなたが所持しているクレジットカードの限度額によっては利用ができない場合があります。
さらにクレジットカード払い対応をしている葬儀社であっても、お葬式を依頼する際に「支払いをクレジット払いにしたい」と申告をしていないと利用ができないこともあります。
つまり「基本は現金払いである」ということは変わらないのです。
あくまでもクレジット払いという支払方法は「特別」なわけですから、お葬式が終わった後でクレジット払いにするということは難しいと思っておいてください。
まとめ
お葬式のお金は高額であるだけでなく、ある日突然必要になるお金でもあります。
しかも現金払いが基本ですので、「一度にけ多くのお金を準備することができるのか?」と不安に思う気持ちが起こるのもわかります。
でもあらかじめお金を準備する方法や節約する方法、支払い方法などが分かっていれば、少しは気持ちにも余裕が出てくるはずです。
まずは不安に思った場合は、それぞれの業者に相談してみてください。電話などでの事前相談であれば、基本的にどの業者でも無料で対応してくれますよ。