親の終活を進めていくと親の介護の話は避けられません。
でも親の介護を経験した人から話を聞いても「大変だった」という言葉ばかりが聞こえてきますよね。
でも介護が必要になったとしても「介護保険」を利用することで負担を軽減させることが出来ます。
ですから親の老後のことを考えるならば、まずはこの制度についてきちんと理解しておくことも大事なことです。
そこで今回は親の終活で知っておきたい「介護保険」について分かりやすく解説していきます。
介護保険や介護サービスをかしこく受けるには!?
介護が必要になる人は年々増加傾向にある。
平成26年3月時点の調べによると、65歳以上の5人に1人は何らかの介護支援を必要としていることが分かっています。
つまり「今元気な親もいつどのタイミングで介護が必要になるかわからない時代になっている」といえます。
もちろん65歳だからすぐに介護が必要になるというわけではありません。
年齢階級別にみてみれば75歳以上がピークになっていますから、60代の親が今すぐ介護の必要があるというわけではありません。
ただし要介護認定率がグッと上がるのが80歳以上ですから、60代の親が祖父母の介護を経験する確率は高くなります。
親の介護だけでなくあなたも介護が必要になる可能性がある
介護が必要になるきっかけは加齢による体力の低下だけではありません。
例えばけがや病気がきっかけで寝たきりになる可能性もあります。
特に脳血管性の疾患の場合、発症するリスクは40代から徐々に高まっていきます。
しかも病気の予兆がなく突然倒れてしまうというケースもあります。
また一命をとりとめたとしても身体に重度の後遺症が残る場合もあり、このような状態になれば日常生活においても介護が必要になります。
つまり40歳を過ぎたなら、親の介護だけでなくあなた自身が介護を必要となる可能性もあるというわけなのです。
そもそも介護保険って何?
介護保険には「民間の介護保険」と「公的な介護保険」があります。
一般的に介護保険というと「公的な介護保険」のことを言いますが、民間の介護保険に加入している人の割合も年々増えています。
公的な介護保険では主に介護サービスを提供しますが、民間の介護保険の場合は現金の支給がメインになります。
公的な介護保険制度を利用するために必要なこと
公的な介護保険制度を利用するためには、要介護者としての認定を受ける必要があります。
要介護認定には「要介護認定区分」というものがあります。
区分には「要介護」「要支援」「特定高齢者」の3つに分かれており、認定されることによって介護サービスを利用することが出来るようになります。
要介護と要支援の違いは?
要介護というのは、普段の生活をする上で介助が必要と認定されることを言います。
自分一人で立つ・歩くが困難な人や食事やトイレの介助が必要な場合などは要介護と認定されます。
これに対して要支援は、現時点では定期的な介護や支援を必要としていないものの今後自立した生活を続けることが困難になると見込まれる場合などが該当します。
年齢にも指定があり「65歳以上であること」が条件になります。
どんなサービスが受けられるのか?
要介護認定によっても公的な介護保険で受けることが出来るサービスの種類は変わります。
サービス内容を大きく分けると「施設サービス」「介護予防サービス」「在宅サービス」「地域密着サービス」となります。
介護サービスの負担額も条件によって変わる
介護保険の自己負担額は原則として1割負担となっています。
ただし同じ高齢者であっても所得が高い場合は負担額が2割となる場合があります。
さらに2018年8月以降は、所得の高い高齢者の場合は自己負担額が3割となることもあります。
介護サービスが高額になった場合も費用軽減制度がある
介護サービスを利用していても、利用額が高額となる場合もあります。
このような場合は「高額介護サービス費支給制度」を活用することが出来ます。
ただし上限は世帯の所得状況や介護者の生活状況などによっても異なります。
高額介護サービス費の払い戻し制度って!?
介護は一度始まれば長期戦です。
どのタイミングから介護が必要になるのかも、いつまで介護が必要になるのかも個別によって状況が違います。
それだけに介護サービスの利用料金が高額になることもあります。
高額介護サービス費の払い戻し制度とは?
介護サービスを利用するには、何割かの自己負担が発生します。
この自己負担額が一定の上限を超えた場合、後日市区町村から払い戻しを受けることが出来ます。
これが「高額介護サービス費の払い戻し制度」です。
介護保険料を滞納した場合はサービスが受けられないこともある
介護サービスを利用するためには、介護保険料をきちんと払っていることが前提にあります。
もしも2年以上の滞納の場合は、高額介護サービスを受けられないケースもあります。
利用する上での注意点は?
高額介護サービス費の計算は、1日からその月の末日までにかかった利用料金で計算します。
つまり月をまたいでいる場合は、それぞれの月の利用料金で計算するという点に注意が必要です。
また介護保険制度は数年ごとに大幅な見直しが行われます。
現在の制度が数年後には変更になるということもよくありますので、定期的に制度内容のチェックを行う必要があります。
医療費と介護費を合算して費用を抑えることもできる
介護が必要になる年齢になると、病院への通院や入院なども増えてきます。
つまり介護費だけでなく医療費もかかるわけです。
ここで知っておきたいのが「医療費にも軽減制度がある」ということです。
高額医療費制度とは?
高額医療費制度というのは、一定の上限を超えて支払った医療費を後日市区町村から払い戻しする制度です。
高額医療費制度には世帯の所得によって基準となる上限額が決まってきます。
★限度額認定証という制度もある
医療費を軽減させる公的制度には「限度額認定証」もあります。
こちらはあらかじめ限度額認定証を発行してもらうことによって、医療施設の窓口負担を軽減することが出来る制度です。
1度に支払う医療費の額を抑えたい時には「限度額認定証の申請」をしておくのがおすすめです。
高額医療・高額介護合算療養制度とは?
高額医療・高額介護合算療養制度というのは、世帯の医療費と介護サービス費の自己負担額の合計金額に上限を設け、限度額を超えた金額を払い戻しする制度です。
この制度の単位は「個人」ではなく「世帯」なので、夫婦でそれぞれ介護と入院となった場合でも利用が出来るのが大きな特徴です。
★現役並みの所得がある場合は上限が高くなる
高齢者であっても現役並みの所得がある場合は、限度額の上限が高く設定されています。
まとめ
介護にかかる費用は家計の負担にもなります。
でも介護は病気の治療と違い長期戦です。
少しでも無理なく介護を続けていくためにも、介護費用の軽減に役立つ公的制度の存在はきちんとチェックしておく必要があります。
介護制度をフル活用すれば、無理なく介護を続けられるようになりますし介護の質も上がります。
親の老後の生活を守るためにも、こうした制度に関する情報を積極的にチェックするようにしてくださいね。