仏教式のお葬式に参列する場合には、数珠をもって参列するのが社会人のマナーです。
でもお葬式以外にほとんど使うことがない数珠なので、できれば長く使い続けられるものを選びたいですよね?
でも数珠には本式数珠と略式数珠があり、男性用・女性用でも選び方が違います。
長く使い続けても恥ずかしくない数珠選びのポイントをまとめてみました。
本式数珠と略式数珠、男性用・女性用の違いとは?
数珠は「仏様に敬意を表する」という意味があり、仏教においては大事な仏具の一つです。
もちろん宗派によって数珠には決まりがありますが、宗派に関係なく使うことが出来る数珠もあります。
本式数珠とは?
本式数珠というのは、宗派ごとに異なる正式な数珠のことを言います。
一般的な宗派であれば数珠の形にそれほどこだわりはありませんが、日蓮宗の場合は本式数珠でなければいけないという決まりがあります。
★天台宗の本式数珠
天台宗の場合は「天台念珠」が本式数珠ですが、一般的には略式数珠で問題ありません。
ただし振分念珠の方がフォーマル度はアップします。
★臨済宗の本式数珠
臨済宗の場合は、看経念珠が正式です。
一般的には略式数珠を持つ人が多いのですが、女性の場合は振分念珠を選ぶ人が多いです。
★真言宗の本式数珠
真言宗の場合、在家信者は「振分念珠」が正式です。
★日蓮宗の本式数珠
日蓮宗の場合「二双半法華」または「三双法華」が正式です。
日蓮宗の場合は房の色に指定はありませんが、日蓮正宗の場合は白房ときめられています。
★浄土宗の本式数珠
浄土宗の本式数珠は「日課念珠」が正式です。
男性用は「三万浄土」か「九寸浄土」、女性用は「八寸浄土」となります。
★曹洞宗の本式数珠
略式数珠とは?
略式数珠とは、日蓮宗を除くすべての宗派において共通して使うことが出来る数珠です。
合掌する際に左手のみにかけることもあることから「片手数珠」と呼ばれることもあります。
決まった宗派を信仰しているのであれば宗派の正式な数珠を持つのが良いのですが、お葬式のマナーとして数珠を購入する場合は略式数珠の方がおすすめです。
サイズのバリエーションも多いので、手の大きさに応じて選ぶことが出来るのも略式数珠の特徴です。
数珠には男性用・女性用がある
数珠には宗派だけでなく男性用・女性用でも分かれています。
この違いは玉の大きさにあり、男性用の方が女性用よりも大きめに作られています。
見た目の印象も変わりますので、略式数珠を選ぶ際にも男性用・女性用に注意が必要です。
女性の場合は地域によって数珠の色に決まりもある
★東海地方・北陸地方の場合
東海地方・北陸地方では、お葬式とその他法事・墓参りで数珠の色が異なります。
お葬式の場合の数珠は、玉の色は無色で房は白い振分念珠となっています。
ただし法事や墓参りなどで数珠を使う場合は、玉の色は房の色に決まりはありません。
全国的にみるとこうした使い分けをしているところは東海・北陸地方以外では見られませんが、この地域でお葬式に女性が色付きの数珠を身に着けるとマナー違反になります。
数珠の色の違いって意味があるの?
数珠の形は宗派や男女で違いがありますが、色や素材には特に決まりはありません。
ただ数珠そのものには魔よけ・厄除という意味があるので、長く使い続けることが良いとされています。
ですから実際に数珠を購入する場合でも、素材・色が気に入ったものを選ぶという人が多いです。
・房の形は様々なものがある
数珠には必ず房が付いています。房の形のバリエーションも多いのですが、代表的なものとしては「頭付房」「梵天房」「紐房」の3つになります。
最もよく見られるのが「頭付房」で、略式数珠でもよく見かけるスタイルです。
男女問わず人気があるので、最初に購入する数珠としてもおすすめです。
房の上部に美しいアミ込みが施されているのが「かがり房」ですが、こちらは上品でおしゃれな印象になるので女性に人気があります。
次に人気があるのが「梵天房」。
頭付房と違い房が絡まることがないので「いつまでも長く使い続けたい」という人に人気があります。
最後が「紐房」。
本来は浄土真宗の男性用本式数珠の房なのですが、その他の宗派であっても使うことが出来ます。
「数珠にも個性が欲しい」という人におすすめです。
・数珠の素材その①木製素材
最も一般的なものは、「黒檀」「紫檀」「栴檀」「柘植」「屋久杉」「鉄刀木」などがあります。
「沈香」「白檀」「伽羅」などの香木は最近では手に入りにくい素材なので非常に高価です。
ただ香木ですのでリラックス効果があり珍重されています。
・数珠の素材その②天然石
パワーストーンとしても近年人気が高い天然石には、石そのものに不思議な力が宿っているといわれているため縁起を担いで選ばれる人も多いです。
男性に人気の天然石としては男性らしい印象の「オニキス」がありますが、仕事運・勝負運が上がるといわれている「虎目石」「青虎目石」も人気があります。
女性の場合は「千万倍の徳」と呼ばれる水晶が昔から人気です。
ほかにも柔らかい色が印象的な「ローズクォーズ」「ビルマ翡翠」なども人気があります。
・数珠の素材その③菩提樹
仏教の中で菩提樹は重要な意味を持つ樹です。
お釈迦様が悟りを開いたとされているのが菩提樹の下といわれているだけに、仏教では最上の素材といわれています。
主な菩提樹の材料としては「星月菩提樹」「天竺菩提樹」「鳳雁菩提樹」「龍眼菩提樹」があります。
お葬式用の数珠の値段の相場は?
数珠の値段は、はっきり言って素材次第です。
高価な天然石や貴重な天然木を使った数珠は数十万円の根が付くものもありますし、その日限りであれば100円ショップでも数珠はあります。
ただ数珠は何度も買い替えるということはあまり縁起の良いことではないので、長く使い続けることを考えれば5千~3万円の範囲で選ぶと良いでしょう。
お葬式のためだけに準備するのであれば3千~5千円の範囲で選んでも十分です。
保管するときは数珠ケースにきちんと収めることで房が絡まることもありませんし、色が褪せて見た目が変わることもありません。
まとめ
数珠の選び方も様々です。お葬式のために準備をするのであれば、略式数珠の中から玉や房の色、サイズ、値段などから自分にピッタリなものを選べばよいでしょう。
ただしいくら「数珠」であっても「数珠ブレスレット」はお葬式ではアクセサリーとしてしか見られません。
社会人としてはマナー違反となりますので注意が必要です。